全米の警察や政府機関がiPhoneロック解除ツールを導入?証拠確保の動きが拡大か

1回1億円もかからないとか
Engadget日本版

全米の警察や連邦政府機関が、iPhoneのセキュリテイを突破してロック解除するツールを購入しているとのニュースが伝えられています。

米ニュースサイトMotherboardの調べによると、ロック解除に用いられるツールはGrayShift社の開発した「GrayKey」という製品。専門知識は必要なく、マシンにiPhoneを繋ぐだけ。約2時間〜3日以上(6桁のパスコードの場合)かけてロックを解除し、少なくともiOS 11.2.5までは全てのデータ吸い出しができると報じられていました。

FBIのクリストファー・レイ長官は、法執行機関が暗号化されたデバイス内に保存された証拠に「ますますアクセスできなくなっている」と述べていました。しかし公文書開示を通じて、全米の警察および連邦政府機関がロック解除ツールを購入していることが判明しつつあります。

Motherboardのレポートによれば、メリーランドやインディアナ州などの地方警察については、GrayKey購入を記録した文書が発見。インディアナ州警察もGrayshift社との取引が確認され、米国務省もすでにGrayKeyを購入済みとされています。

GrayKeyには2つのバージョンが用意され、一つは15000ドルと安価な代わりにオンライン接続が必要で、300回のロック解除ができるもの。もう一つは30000ドルで解除回数に制限がないタイプですが、いずれにしても2015年11月にテキサス州で起きた銃乱射事件につき、FBIがハッカーに支払ったとされる1台100万ドル近い報酬より安価には違いありません。

アップルは同事件で銃乱射犯人が所有していたiPhoneのロック解除のための裁判所命令を拒否し、ティム・クックCEOも顧客のセキュリティを断固として守るとの声明を発していました。

司法当局や政府機関がアップルの協力なしにロックを解除できそうな動きが広まる中、同社がどのような対応を取るかが注目されるところです。

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