ソースネクストは、留守番電話を文字起こしして読めるアプリ『スマート留守電』を発表しました。自分の携帯電話にかかってきた留守番電話の内容をサーバー上で文字に起こし、読めるようにするアプリ。うまく文章化されなかった部分は音声でも確認できます。
※5/23 追記:アプリの月額を税込価格に統一し、留守電をインターネット回線に繋ぐ仕組みについて加筆しました。
文字起こし以外の機能としては、メールでも文章と音声を確認可能。文章の途中から音声を再生できる『このへん再生』や、企業やショップなど連絡先に未登録の番号の発信元を特定して表示する機能も備えています。
キャリアが提供している留守電サービスと異なり、回線が受け取った留守電をサーバに流すTropo社の技術を採用しているため、アプリ上での表示やメール配信が可能になっているとのこと。
複数のプラットフォームで扱えるWebメールなどのアドレスを指定しておけば、携帯電話以外のプラットフォームでも留守電を確認でき、また発信元の企業名も表示される点がメリットです。未登録番号の発信元表示機能では、トビラシステムズの電話番号データベースを参照しています。
また、アプリでは文章中に含まれる電話番号から直接折り返せる機能や、日時を表現する「明日」などの単語に反応して、該当する日時でカレンダーアプリを開く機能も利用できます。
留守電を預かる端末は何台でも設定可能。今後は順次外国語にも対応し、連絡先ごとに言語を設定しておくと、設定した言語で文字起こしされるようになる見込みです(翻訳機能ではありません)。なお現状、日本語でも方言を正確に文字に起こすのは難しいとのこと。
アプリの配信は本日から。Android 4.1以降とiOS 9以降に対応し、価格はAndroid版が月額313円(税込)、iOS版が月額360円(税込)。提供するサービス内容は同等ですが、App Storeに登録するアプリの価格が段階制であることから、iOS版の方が高い値付けになっています。
なお、アプリには複数の電話番号を登録可能なので、個人用や職場用の携帯、家の固定電話で預かった留守電もテキストで読めるようになります。保存期間や保存件数は無制限。
ソースネクストの調査によると、携帯電話に留守電が入っていてもすぐに確認しないユーザーは、留守電サービス利用者のおよそ4割におよびます。
その原因としては「用事やTPOによって、入っているのがわかってもすぐに聞けないから」「重要なことならまたかかってくるはずだから」「知らない番号だから」といった理由が挙げられており、留守電というサービスの不便なところについても「メッセージを聞くことそのものが面倒」「相手の言っていることが聞き取りにくい」「聞きたい順番で聞けない」といった問題点が挙げられています。
電話の形は、いわゆる"黒電話"からコードレス電話、フィーチャーフォン、スマートフォンと大きく形を変えて進化していますが、留守番電話は1977年にNTTが開始した『でんわばん』以来サービス内容としては変化しておらず、使い勝手や利便性が向上していません。同社では調査で洗い出された種々の問題点を"もう慣れてしまった不便さ"とみなし、それらの解消を目指したといいます。
都内で催された発表会には女優の剛力彩芽さんが登壇し、実際に使ってみた感想として「複数入っている留守電をテキストでチェックできることから、折り返す優先順位がつけやすい点が便利でした」とコメントしていました。
会場に用意されていたタッチ&トライコーナーで試用してみた限りでは、吹き込んだ内容をかなり正確に文字に起こしてくれるので、LINEなどのメッセンジャーを読むのとほとんど変わらない感覚で使えるように感じました。
録音しはじめの「おつかれさまです」が「かれさまです」になったり、「の」や「と」などの接続助詞が抜けたり、ところどころ気になる部分はありますが、これはどちらかと言えば人間の方の滑舌の問題に近いように思え、また少し文章がおかしいくらいでは文脈を読み取るのに支障はないため、十分実用レベルだと感じました。
とはいえ、実際の留守電の運用では、留守電だとわかると「着信履歴だけ残せばいいか」とか「"また電話します"とだけ残す」といった風に用件の処理を後回しにしがちなので、導入にあたっては、留守電で用件を伝えることが多いかどうかをよく考えた方がいいかもしれません。
(2016年5月23日 Engadget日本版「留守電を自動で文字に起こす『スマート留守電』発表。未登録番号の発信元特定機能やメール転送機能を搭載、ソースネクストが開発」より転載)
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