あなたはこの1ヶ月で、カレーを何回食べましたか?
もし食べたよ、という方がいたとしたら、それはどこで?誰と?
外で食べるカレーと言えば、CoCo壱番屋のようなチェーン店舗のカレー屋か、または下北沢的な、独自のこだわりを貫いたスパイスカレー屋か。そんな二者択一のイメージがある人も多いのではないでしょうか。
誰もが愛してやまないカレー。
何に混ぜても何にかけてもカレーになる融通無碍で自由な存在、カレー。
ご飯にかけても麺にかけてもパンと合わせてもカレー。
食材も選ばない、誰でも簡単に一緒に美味しく作れちゃう。
このポテンシャルの高さに対して、生産や消費のあり方が進化していないのではないか…?
こうしたカレーへの愛と危機感が、僕が「6curry」というサービスを立ち上げた原点にあります。
「6curry」は一言でいうと、月額3,980円で何度でも食べに来ていい、作りに来てもいい、カレーを食べずにおしゃべりするだけでもいい、日本初の会員制・招待制カレー屋です。大事にしているのは「顔の見える消費」です。カレーならそれができる。そう思うのです。
カレーを通して個性がぶつかり合う。
さて、このカレーへの愛をきっかけに僕が作ったお店「6curryKITCHEN」は2018年、恵比寿で生まれました。
コンセプトは『EXPERIENCE THE MIX.』。
レストランではなくキッチンであることを名乗っています。月3,980円の会費を払ってくれるメンバーの方たちは790名にまでなりました。完全招待制で、既存会員さんから紹介をしていただく形でメンバーを増やしています。
キッチンの中に立って一日店長をする会員さんもいれば、イベントを開催したりする人もいる。ここを「拠点」として、カレーを囲みながら仲間が広がっていきます。
ある時は、梅の農家さんとコラボして梅カレーを開発。当日はキッチンにも立ってもらい梅の話をしてもらいました。味もかなり好評で、店頭販売に用意した梅が完売するほど。今でも「あの梅カレーまた食べたいな」とリクエストをもらいます。
またある時は、メイクアップアーティストの方とのコラボも。食以外のコラボレーションも盛り上がります。性別問わず、普段しないようなカラーメイクをしてもらって、写真を撮ったり互いにコメントしあったり。「気になっていたけど自分だけでは踏み出せないものに出会わせてくれる」「みんなの偏愛に触れられる」など、コラボすることで自分たちはもちろん、会員さんの世界を拡げられると思っています。
お店には定番のスパイスカレーも何種類かありますが、会員のリクエストメニューやイベントでのスペシャルカレーなどで、週に1〜2個は新しいカレーが生まれます。メニューはころころ変わります。
現在、恵比寿に続いて2店舗目を渋谷に作っており、Makuakeにて初代会員を募集中。会員も増加中です。
「顔の見える消費」を増やしたい。
様々な店長が立って、彼らの個性が混ざったカレーが作られる。
そしてその想いを聴きながら、その場で食べる。
これって究極の「顔の見える」消費だと思っています。
今あらゆる産業で、生産背景の透明化が叫ばれてますよね。どこの地域で作られたものか。労働環境はちゃんとしているか。そういうプロセスに若い人ほど敏感になってきています。一方で、インフルエンサーという、影響力ある個人がつくるブランドが台頭する流れもあります。それはその人の想いがピュアに体現されたものがほしいし、直接価値を受け取りたいということ。
僕は「6curryKITCHEN」はそういう顔の見える消費を楽しむための場だと考えています。一次産業に関わってる人から、こだわりのライフワークを持ってる人まで、様々な人が店長やスタッフになって、カレーという融通無碍な受け皿を通してプレゼンテーションするキッチン。
これは客単価1,000円前後で、回転率重視の駅前チェーンレストランには提供できない体験だと思うんです。
そういう意味では、僕らが目指すのは本質的には飲食店ではなく、「コミュニティ」です。
「カレー」というのはきっかけでしかなくて、その先に、同じ時間や空間を共有する人たちがつながり、新しい仲間になっていく。
そういう意味ではシェアオフィスで知られる「WeWork」が、「Made by We」という会員セレクトショップでやろうとしてることにも近いのかな? と思ってます。また最近、ニューヨークにある予防ジム「THE WELL」など、「サブスクリプション×コミュニティ型」のビジネスが世界的にも広がってきているようです。今オンラインにある流れは、リアルな小売の世界にも必ず来るでしょう。むしろ、体験の情報量が圧倒的に多い点において、オンラインでは提供できないブランド体験がつくれると思っています。
“新しい生き方”を選んだ人が孤独にならないコミュニティ
今や全世界に展開するコーヒーチェーンStarbucks。コーヒーをきっかけに、家でもない職場でもない「サードプレイス」という場をつくりました。僕もたまに訪れますが、単なるコーヒー屋さんを超えた様々な時間の過ごし方がされていますよね。
僕がつくりたいのは、その次の形です。
6curryは単なる「サードプレイス」にとどまらない。
さらに一歩踏み込んで、現代の悩みに寄り添った場づくりを目指したいと思っています。
なぜそんなことを考えたか?
それは僕の身の回りで起きている変化が影響しています。
起業や複業がしやすくなるなど、人々の働き方が大きく変わり、独り身も増え、家族のあり方も多様になってきました。
色々な生き方が選べるようになるのは、とても喜ばしいこと。
僕自身も、1年で会社を辞め、その後フリーランスとして全国各地にシェアハウスを作って、そこを転々とする生活をしてました。20代中盤になって、今の会社「NEWPEACE」を起業しましたが、そのタイミングで父親になり、自分の時間の使い方が大きく変わりました。(現在三児の父として育休中です)
“新しい生き方”を選ぶことは、孤独になることでもあります。
作詞家の秋元康さんは「役割とは居場所である」と言ってましたが、まさしくコミュニティというのは、そこに人間関係があり、何かしらの役割を担うところに、持てるものだと思います。
だから家族や会社は最大のコミュニティだし、学校や地域、宗教的な集いもそうです。でも大体、新しい生き方を始める人というのは、そういう既存の価値観や人間関係から抜け出したくて、選ぶ人が多いはず。自由と安定じゃないですが、これまでの生活基盤を変えることはコミュニティを失うことになり、孤独になってしまいがちです。
だから、「6curryKITCHEN」では、何か新しいこと始めようとしてる人が、そのことを話題にして新しい人と出会ったり、自分のことを理解・応援してくれている人とつながれる場所になるといいなと考えています。まるで家でもあり職場でもあるような。
食べるって、プリミティブな体験だからいいんです。知らない人といきなり会議室で話すのはしんどいけど、何かを食べながらだったら話しやすいし、無目的でもつながれる。お腹いっぱいになればまず幸せを感じやすいですしね。ジブリだって、豊かな生き方には、豊かな食卓があることを描いてますよね。
それに、お店に立つ人を増やし、みんながかわるがわる「店主」になることで、人生に主体性を取り戻せる人を増やしていける。なんだか自信が出ると思うんです。
そのための媒介として、カレーほど完璧なものはない、と思っています。
カレーは世界に誇る「日本食」になる。
冒頭で、「カレーはポテンシャルが高いフードだ!」と書きました。
実際に6curryKITCHENを運営してみて、ますますその思いを強くしています。
週数回以上の頻度でお店にやってくる会員さんも多く、カレーってつくづく“中毒性”の高いコンテンツだなぁと改めて感じています。
いつの日にか、カレーを寿司や天ぷら、ラーメンに次ぐ「日本食」の代表として世界に出していきたいと思っています。
カレーはインドの食べ物でしょ?と思ってる人が多いけど、僕は「日本食」と言いたい。
発祥で言えば、寿司だって東南アジアだし、天ぷらはポルトガル、ラーメンは中国ですが、どれも日本が磨きをかけてオリジナルな飲食文化をつくり、世界に誇る「日本食」になりました。昔ニューヨークのIPPUDOに足を運んだとき、感動したんです。ラーメン業界の常識をつくりかえて、新しいカルチャーとして世界に提案している姿に。これが世界にとっての「日本食」なんだなと。
僕はそれをカレーでやりたい。
CoCo壱番屋さんが既にグローバル展開してますが、僕らはチェーンではない形で、コンセプトとしての「カレー」をいろんな都市で展開していきたいなと思っています。先日、台湾でポップアップしたけど大好評でした。あんなにスパイス好きな国民なのに、実は「スパイスカレー」って概念がないんですって。チャンスはいろんなところに転がっているなと思います。
数年後には、カレーを媒介に色んな人たちがつながっていく、6curryコミュニティの「MIX」を、いろんな地域で展開している予定です。お楽しみに!
また、6curryでは新しくできる渋谷キッチンの初代会員を募集中!以下Makuakeのページより御覧ください。