サンドイッチをめぐる精算で解雇された英銀行員。1人で2つ食べた虚偽申請での不当解雇は認められず

銀行員は出張に同行したパートナーとシェアしたサンドイッチ2つを「全部自分で食べた」と主張して経費精算していました
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Ionut Dabija / 500px via Getty Images

パートナーが食べたサンドイッチの代金を会社の経費で支払おうとしたイギリスの金融アナリストが、解雇をめぐる裁判で敗訴した。

金融アナリストは、出張先で食べた2人分の食事を1人で食べたと虚偽の申請をしたものの、解雇は不当だとして銀行を訴えていた。

サンドイッチを2つ食べたと主張していた

労働裁判所の判決によると、ロンドンのシティバンクで働くサボルチ・フェケーテさんは2022年7月にオランダ・アムステルダムに3日間出張し、帰国後に経費を精算した。

フェケーテさんは1人で出張していたが、提出した経費に2人分と思われる食事が含まれていたという。

そのため、担当者は食事した全員の名前を書くように指示したというものの、フェケーテさんは「出張は一人で行った。コーヒーの量が少なかったので2つ頼んだ」と主張した。

担当者が、レシートに含まれていた2つのサンドイッチと2杯のコーヒーを一人で消費したのかと尋ねると、フェケーテさんは「そうだ」と回答。

「この日は朝食を食べずにコーヒー1杯で済ませ、ランチにサンドイッチと飲み物、そしてコーヒーを頼んだ。その後コーヒーをもう一杯頼んでオフィスに持ち帰り、午後に2つ目のサンドイッチを食べた。これが夕食にもなった」と説明し、食事代は会社で認められている1日の上限100ユーロ(約1万5000円)以内だと強調した。

しかし、この日以外の経費にも2人分の食事が含まれていたため、担当者は改めて全員の名前を書くよう伝えたが、フェケーテさんは食べたのは自分一人という主張を変えなかった。

フェケーテさんは「経費は1日に認められている100ユーロ以内だ。何が問題か教えてほしい。ここまで自分の食習慣を正当化する必要はないと思う」と担当者に伝えたとされる。

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Fiordaliso via Getty Images

パートナーとのシェアを認める

一方、この精算で会社側が問題にしたのは金額ではなかった。シティバンクの経費規則では「食事に参加した全員の名前を記載する必要がある」「配偶者の旅費や食費は払い戻しできない」と定められてるという。

フェケーテさんの経費は、会社の倫理オフィスを巻き込む内部調査に発展。

この調査でフェケーテさんは出張にパートナーが同行していたとことを認めたものの、領収書に書かれていた「ペーストパスタとボロネーゼをパートナーと共有したか」という質問には「ノー」と答えた。

しかし最終的にフェケーテさんが一部の食事をパートナーが食べたことを認めたため、シティバンクはフェケーテさんの行為は経費管理規則に違反しており、内部調査で嘘をついたと結論づけた。

虚偽申請をした理由について、フェケーテさんは「精算のやりとりをしていた時は病気療養中で強い薬を服用していたほか、祖母を亡くして個人的な問題を抱えていた」と説明したが、シティバンクは同年11月に重大な違反行為で解雇した。

その後、フェケーテさんは解雇は不当だとしてシティバンクを訴えた。

しかし裁判官は9月の判決で、申立人であるフェケーテさんの経費精算の仕方や、その後の行動に問題があったと指摘。

会社には従業員に誠実さを求める行動規則があり申立人もそれを認識していた他、申立人には何度も間違えを正す機会があったのにしなかったと述べ、解雇は合理的な対応の範囲内として不当性を認めなかった。

フィナンシャル・タイムズによると、この決定についてシティバンクは「満足している」と回答している。

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