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2019年02月25日 01時04分 JST | 更新 2019年02月25日 09時27分 JST

バスケ日本代表がワールドカップ出場決定 絶望の4連敗から、怒涛の8連勝 その軌跡は?

その道のりは、本当に険しくて、長かった

時事通信社

バスケットボール男子日本代表は2月25日、FIBAワールドカップアジア地区2次予選でカタールを96対48で下し、ワールドカップ出場を決めた。

ワールドカップ出場は、日本開催だった2006年以来3大会ぶりで、予選を勝ち抜いた自力では、1998年大会以来21年ぶりとなる。

日本は怒涛の8連勝でグループ2位通過を果たしたが、初戦から4連敗し、絶望から始まった予選だった。その軌跡、変遷を振り返る。

ワールドカップ出場条件や予選のルールは?

・ワールドカップ本選には、アジア地区から8カ国が出場できる(うち1カ国は、開催国枠として中国が確定)

・1次予選:16チームが4組に分かれ、ホームアンドアウェー方式で対戦。各組の上位3チームが2次予選に進出。

・2次予選:1次予選を突破した12チームが2組に分かれて対戦。各組の上位3チームと、組4位同士でこれまでの勝率が上回ったチームが、ワールドカップへの切符を手にする。

いきなりの4連敗、後がなくなった

時事通信社

1次予選の始まりは、2017年11月の対フィリピン戦。ホームで迎えた格上との初戦で、エースの比江島慎選手が20得点をあげる活躍を見せたが、序盤に離された点差が響き、71-77で黒星スタートとなった。

続く2戦目は、FIBA世界ランキング10位の強豪オーストリアに敵地で挑んだが、58-82と大差で退けられた。

2連敗で臨んだ、絶対に落とせないチャイニーズタイペイとの一戦。1次予選でグループ上位3位以内に食い込むには、 FIBAランクで日本(47位)が上回るチャイニーズタイペイに勝つことが絶対条件だった。

試合は、シューターの辻直人選手が8本のスリーポイントシュートを沈める大活躍を見せたが、1点差でまさかの敗戦。グループ最下位に転落した。

さらに、その後アウェー・フィリピン戦も落として4連敗。ワールドカップ出場どころか、1次予選突破さえ絶望的となった。

次の試合は、ホームのオーストラリア戦で、現役NBA選手を複数擁する世界屈指の強豪が相手では、勝ち目は薄かった。

そんな崖っぷちな状況で、ワールドカップ出場への望みを託された男がいた。アメリカで有数のゴンザガ大学で活躍する八村塁選手だ。

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八村塁選手

これまでの4試合は、大学リーグのスケジュールの都合で出場できなかったが、急遽招集。「希望が、帰ってくる」と、バスケファンの心を躍らせた。

さらに、朗報が舞い込んだ。Bリーグで最強外国籍選手のニック・ファジーカス選手の帰化申請が認められ、日本代表としてオーストラリア戦に出場することが決まった。

そして2018年6月29日、強力な援軍が加わった新生日本代表は、圧倒的な大差で全勝してきたオーストラリアを相手に、誰もが予想していなかった劇的なジャイアントキリングを演じた。

八村選手が24点、ファジーカス選手が25点を叩き出す大活躍で、79-78の1点差で大金星をあげたのだ。

試合残り10秒では、速攻から八村選手が豪快なダンクを決め、会場がどよめいた。試合終了のブザーがなると、選手たちはコート上で抱き合って喜び、「アカツキファイブ」カラーの赤色で染まった会場は、歓喜と興奮に包まれた。中には、涙を流すファンの姿もあった。

4連敗から、世界屈指の強豪相手に掴み取った初勝利。ここから、日本の快進撃が始まった。

1次予選最終戦の対チャイニーズタイペイを108-68と大差でものにし、グループ3位で2次予選に駒を進めた。

負けられない戦いが続く

なんとか首の皮一枚つながったが、この時点で2勝4敗だった日本は、6チーム中5位。崖っぷちの状況は変わらなかった。

残るイラン、カザフスタン、カタールとの計6試合をひとつでも落とすとワールドカップ出場の望みが消えるかもしれない、という戦いを強いられた。

2次予選の初戦は、アウェーのカザフスタン戦。ポイントゲッターのファジーカスをけがで欠くアクシデントに見舞われたが、ツーウェイ契約でNBA選手となった渡邊雄太選手が参戦。85-70で勝利を納めた。

続く対戦相手は、2次予選で最大の強敵で、世界ランク26位のイラン。過去の対戦では、ほとんど勝ったことのない相手だ。ファジーカス不在で、高さで上回るイラン相手にインサイドに不安が残ったが、八村、渡邊両選手らが見事に穴を埋め70-56で破った。 

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4連敗からの4連勝で、ワールドカップ出場に望みをつないだが、正念場はさらに続く。

2018年11月、12月に迎えたカタール、カザフスタンとのホーム2連戦は、アメリカに戻った八村、渡邊抜きで、国内組のみで臨むことになった。

だが、これまでのアメリカ組の活躍は、国内組にも大きな刺激となっていた。

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カタール戦で攻め込む馬場雄大選手

カタール戦では、前半こそリードを許したが、開催地・富山出身の馬場雄大選手が豪快なダンクシュートをファウルを受けながらねじ込み、チームに勢いを与えた。カザフスタン戦は復帰したファジーカスが41得点を叩き出す圧巻のプレーなどで、それぞれ85-47、86-70で勝利を収めた。

6勝4敗と勝ち越し、2試合を残して、ワールドカップ出場圏内のグループ3位に浮上した。

続くグループ2位のイランとのアウェー戦では、エースの比江島選手がシュートをほとんど落とさず序盤からリードを保つと、イランの猛追を振り切って97-89で勝利した。

最終カタール戦も制し、4連敗からの8連勝でワールドカップ出場を勝ち取った。

バスケ・ワールドカップは、9月に中国で開催され、各地域の予選を勝ち抜いた32カ国が、世界一の称号をかけて争う。

八村塁選手は、6月のNBAドラフトで上位指名されると言われている。 実現すれば、渡邊雄太と八村塁のNBA選手2人を擁する日本代表が、バスケ後進国と言われた過去を乗り越えて、ヨーロッパやアメリカ大陸と強豪国と渡り合うーー。そんな姿に、期待したい。

バスケ日本代表男子は、東京オリンピックの開催国枠を与えられていないが、今回のワールドカップ出場決定で、ほぼ確実という見方もある。44年ぶりのオリンピック出場に向けた、大きな大きな一歩だ。