景気の先行きへの投資家の不安を示すと言われる「恐怖指数」が、リーマン・ショック以来の数字にまで上昇した。新型コロナウイルスが世界的に感染拡大している上、原油価格の暴落への懸念から、投資家心理が急速に冷え込んだ結果とみられる。
■ニューヨーク市場が取引を一時中止
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3月9日のニューヨーク株式市場は、主要企業でつくるダウ工業株平均が歴史的な急落となった。主要株価指数の一つである「S&P500」が7%下落する基準に達したことから、ニューヨーク市場では売買を15分間停止する「サーキットブレーカー」が自動的に発動された。
そうした中で9日午前(NY時間)の恐怖指数は62.12まで急上昇した。2008年の世界規模の金融危機「リーマン・ショック」時の89.53以来の高い数字となった。ブルームバーグによると、一部の投資家は、恐怖指数が3月10日に3ケタ台に達する可能性を危惧しているという。
■恐怖指数とは何か?
SMBC日興証券によると恐怖指数の正式名称はVIX指数。シカゴオプション取引所がS&P500のオプション取引の値動きをもとに算出・公表している。
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東海東京証券によると、恐怖指数は将来の投資家心理を示す指標として利用されており、一般に数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感をもっているものとされる。
通常は10~20の間で推移することが多いが、大きな事件や問題が起こって、株式市場に動揺が広がった場合は急上昇する傾向にある。
日本大百科全書によると、恐怖指数はリーマン・ショック時の2008年10月24日に89.53の最高値をつけたほか、アメリカ同時多発テロの2001年9月21日にも49.35まで上昇していた。