「投票の列に並ぶ時はウーバーイーツを頼めばいい」ジョージア州投票制限への批判に、知事が反論

コカコーラやメジャーリーグも批判する、投票を制限する州法。知事は問題ないという姿勢を崩していません
ブライアン・ケンプ知事
ブライアン・ケンプ知事
Elijah Nouvelage via Getty Images

州法を改正し、投票の列に並ぶ人たちに食べ物や水の差し入れなどを禁じたアメリカ・ジョージア州。

「法律は人種的マイノリティの人たちを投票から遠ざける狙いがある」と民主党議員や企業などが批判しているが、ブライアン・ケンプ州知事は、列に並ぶ時にはウーバーイーツを利用すればいいと考えているようだ。

ケンプ氏は4月6日、保守系TVニュースマックスのインタビューで「ピザを頼めばいいんですよ」「グラブハブ(シカゴに拠点を置くフードデリバリー企業)やウーバーイーツを注文できますよ」と発言した。

並んでいる人に水や食べ物をあげるのを違反とした州法は、投票を制限するものではない。なぜなら投票所にウーバーイーツを注文できるからだ、とブライアン・ケンプ知事がニュースマックスで発言

物議を醸している投票制限

3月に共和党の政治家の主導で導入された改正法は、選挙関係者以外が投票所から150フィート(約45メートル)内にいる人に食べ物や飲み物を提供することを禁じている。違反すると軽罪に問われる可能性がある。

他にも、期日前投票の本人確認を厳しくする、民主党支持者が多い都市部や郊外の郡で投票箱を減らすなどの規則を定めている。

本人確認の厳格化は、経済的な理由から運転免許証などのIDカードを持たないマイノリティーの人たちを排除する狙いがあると考えられており、バイデン大統領を含む民主党の政治家たちは、「州法は黒人を100年近く政治から遠ざけたジム・クロウ法の再来だ」と批判している。

アメリカの選挙は長い行列ができることが珍しくない。NPRによるとジョージア州の場合、投票所が減っていることが大きな原因だが、特に黒人の人口が急増するアトランタ都市部で問題が深刻化している。

ジョージア州の都市部では、近年人口が増加すると同時に多様化しており、民主党支持者が増えている。この10年で有権者が倍になった投票所もあり、州都のアトランタで投票の長い列は珍しくない。

しかし長い列そのものが有権者の投票意欲を削ぐということが、研究からわかっている。

シンクタンク「超党派政策センター」の調査によると、2016年の大統領選では50万人以上の有権者が長い列やその他の投票所の管理ミスが原因で投票しなかった。さらに、長い列によって有権者はその後の選挙の投票からも足が遠ざかることがわかっている。

投票を厳しくする法改正を、コカコーラやデルタ航空などジョージア州に本社を置く大企業も批判しており、メジャーリーグはオールスターの試合を、コロラド州デンバーに変更すると発表した(コロラドは投票用紙をすべての有権者に送るなど、アメリカで最も有権者フレンドリーな法律がある州の一つ)。

ケンプ知事はこういった企業やスポーツリーグの動きを「暴徒に屈した」と批判している。

2020年の大統領選挙で、ジョージア州では民主党のバイデン氏が共和党のトランプ氏に僅差で勝利した。また、その後の上院議員を決める決選投票でも、民主党のジョン・オソフ ラファエル・ウォーノック氏が勝利した。

ジョージアは共和党が強い地盤を持つ州だが、アトランタ都市部や郊外の有権者の支持が、バイデン氏の勝利を後押しした。

選挙の後、トランプ氏は選挙不正があったと根拠のない主張を続け、共和党のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に「自分に有利になるように票を再集計しろ」と求めたが、ラフェンスパーガー氏は拒否した

トランプ氏は、バイデン氏の勝利を覆さなかったケンプ氏と共和党のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官を何度も攻撃し、多くの共和党議員がトランプ氏の主張を支持した。

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました(翻訳・加筆:Satoko Y )。

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