小池百合子都知事、学生時代は英語劇に没頭していた?STEM分野の女性活躍促進を目指すプロジェクトが始動【発表会レポート】

STEM分野(理数分野)での女性活躍を推進する「Girls Meet STEM in TOKYO」の発表会で、小池百合子都知事や理系分野で働く女性たちが女子学生と言葉を交わした。

ジェンダーギャップの是正において、多くの課題を残している日本。教育分野においては、特に理系を選択する女子の比率が低いことが深刻な課題となっている。

そうした中、東京都ではSTEM分野(理数分野)での女性活躍を推進するため、女子中高生向けオフィスツアーを令和4年度から実施している。

さらに今年度、本プロジェクトは女子学生のSTEM進路選択を支援する公益財団法人「山田進太D&I財団」と連携を通じて「Girls Meet STEM in TOKYO」女子中高生向けオフィスツアーとしてリニューアル。50社以上の参画を予定している。

7月19日(土)から開催される「Girls Meet STEM in TOKYO 夏休みオフィスツアー」に先駆けて、6月中旬に開催された記者発表会で、その詳細が語られた。

日本の女子学生は、なぜSTEM分野での活躍が少ないのか

松本明子さん
松本明子さん
東京都・山田進太郎D&I財団

発表会には、東京都副知事の松本明子さんと、東京都生活文化局女性活躍推進担当部長の樋口桂さんが登壇。STEM分野における女性活躍の現状と課題、オフィスツアーの概要について語った。

松本さんは、日本の女子学生の理科や数学の学力がOECDの38加盟国で1位を記録しているのに対し、STEM分野で活躍する日本人女性がOECDの最下位にあるという調査結果を参照し、本領域におけるジェンダー格差の深刻さを強調した。

その大きな要因として挙げられたのが「女子学生にとってのロールモデルの不在」と「女子は理系の科目が不得意という固定観念」の2つだ。

東京都生活文化スポーツ局が2024年3月に公表した「令和5年度 東京都男女平等参画に関する世論調査」によれば、アンケート回答者の約4割が「性別で教科の得意・不得意があると思う」と回答しており、高校生の男女では、特に女子で「理系は男性が得意」「文系は女性が得意」という固定観念が大きいことがわかったという。

高校の文理選択の段階で理系を選ぶ女子の割合が低いことや、大学でSTEM分野の学部を選択する女子の割合が少ない背景には、多くの女性が外部からの偏見と、偏見のある環境の中で刷り込まれた自身の中の偏見に板挟みにされている実態があるようだ。

調査結果について、樋口さんは「能力が低いから理系に進まないわけでは決してなく、理系分野への進学後、就職後のイメージを持ちにくいこと、そしてSTEM分野で活躍する女性ロールモデルに触れる機会がないことなどが『理系は男性が得意』『文系は女性が得意』という先入観の醸成につながっています。だからこそ、文理選択前のタイミングでSTEM分野への興味を高め、選択肢を広めることが大切だと考えます」とコメントした。

そういった状況を打開するため、東京都では令和4年度から女子学生を対象としたオフィスツアーを開催。女子学生が様々な会社に訪問し、STEM分野で活躍する女性社員との交流や技術職の体験などを楽しむという内容だ。これまでに18社で開催されており、合計定員844人に対し約1万件の応募があり、多大なニーズを感じているという。

また、ツアー後の参加者アンケート結果では、回答者の97.3%が「STEM分野で働くイメージが伝わった」、96.0%が「将来を考える上で参考になった」と回答。ツアー参加前後では「STEM分野で働きたい」という回答が55ポイント増加したという。

女子学生がSTEMに触れる機会を全国へ

山田進太郎D&I財団代表理事・メルカリ代表執行役CEOの山田進太郎さん
山田進太郎D&I財団代表理事・メルカリ代表執行役CEOの山田進太郎さん
東京都・山田進太郎D&I財団

今年度のオフィスツアーは、女子学生のSTEM進路選択を支援する公益財団法人「山田進太郎D&I財団」と連携を通じて「Girls Meet STEM in TOKYO」女子中高生向けオフィスツアーとしてリニューアルした。都内在住または都内在学の女子学生を対象に企業訪問や研究所の見学、女性ロールモデルとの座談会や体験型ワークショップなどを予定している。参画企業は50社以上となる見通しだ。

2021年7月に設立された同財団は、DE&Iの推進によって誰もが自身の能力を最大限に発揮できる社会の実現に向けて、2035年までに大学入学者におけるSTEM学部の女性比率を28%まで引き上げることを目標に掲げている。

松本さんが「たまたま同じ方向を向いて活動している団体と出会えた」と語るように、同財団は2024年6月にGirls Meet STEMをスタートしており、設立当初から実施している奨学金助成事業と2つのアプローチでSTEM分野への進学を後押ししている。

山田進太郎D&I財団代表理事・メルカリ代表執行役CEOの山田進太郎さんは、同団体の取り組みについて「進路を選ぶ前に社会にある色々な仕事を知って、自分の『好き』や興味を育むきっかけとなる場を目指しています」とコメント。

また、今回の共同プロジェクトについては「今年1月に東京都と連携して、それぞれの強みを活かすことで実現しました。東京都は広報全般、財団では企業への呼びかけや運営を担っています」と説明した。今回の協力モデルを第1号として、全国でより多くの女子学生への機会の提供を目指すという。

小池百合子都知事から女子学生にアドバイス

発表会同日には、デジタル領域でSTEMをリードする外郭団体「GovTech東京」が行政DXの仕事について紹介するデモツアーも開催された。

パネルディスカッションでは、GovTech東京で働く女性登壇者が、女子高校生からの「行政と民間企業の違いは?」という素朴な疑問や「仕事もプライベートも楽しむには?」「学生時代にやっておいてよかったことは?」などの問いに答えた。

小池百合子さん
小池百合子さん
東京都・山田進太郎D&I財団

東京都知事の小池百合子さんも登壇し、参加者と言葉を交わした。 

文系と理系の進路のどちらを選択するか悩んでいるという相談に対し、小池さんは「文学的表現や計算能力など、勉強は互いに交差してこそ価値があるので『私は理系だから』『私は文系だから』とガッチリと決めなくてもいいかもしれません。悩みながら幅広くお勉強していただきたいと思います」と回答。

さらに「とはいえ、目指す大学の入試科目によって何を勉強するかを決める必要がありますよね。大学生活の先を考えた時に結局何が残るかを考えてみると『自分が好きなことはなんだろうか』ということが1番大切な選択(の判断基準)になると思います。『好きこそものの上手なれ』という言葉に従って、自分の好きなことを中途半端ではなく極めてみてください」とアドバイスした。

続いて、女性の管理職比率に伸び悩んでいる日本の現状などについて私見を聞かれると「東京も人で成り立っていて、その半分は女性です。そう考えたときに、社会で女性の学びを活かさない手はないと思います。日本社会は今、何かもう一つ突破口が欲しいなという時代にあります。その突破口、ゲームチェンジとなるのが女性の活躍なのではないでしょうか」とコメントした。

また、子育てや介護の負荷が女性に偏りがちな日本社会の実情に言及しつつ、「上司から『頑張ってね』と期待や応援の声をかけることも大切です」と説明。制度面に加えて、コミュニケーションを通じたソフト面でのエンパワーメントの重要性にも光を当てた。

ツアーに参加した学生と登壇者
ツアーに参加した学生と登壇者
東京都・山田進太郎D&I財団

最後に、「学生時代にやっていて良かったこと」を聞かれると「クラブ活動で英語劇にチャレンジしたことをよく覚えています。失敗すればそれはそれで糧になり思い出になるので、皆さんのこれからの長い人生に活かせる体験をたくさんしてほしいです。今だからこそできることに、周りを気にせず挑戦してください」とエールを送り、イベントを締め括った。

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