世界の鳥類のうち半数近くは個体数を減らしていることが、バードライフ・インターナショナルの調査結果で明らかになった。
バードライフは9月、「State of the World’s Birds(世界の鳥類の状況)」を発表。世界の鳥類の49%(5,412種類)の個体数が減少していると警告した。さらに、8種に1種が絶滅の危機に瀕していることもわかったという。
その一方で、個体数が安定していたのは38% (4,234種類) 、増加したのはわずか6%(659種類)だった。
バードライフは100以上の国・地域のパートナー団体で構成されており、世界中の鳥類のデータ収集や分析、保護活動に携わるほか、IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト鳥類部門の評価機関でもある。
スチュアート・ブッチャート主任研究員は「減少を食い止め、回復に向けた軌道に乗せなければならない」とガーディアンに述べている。
「私たちと世界の鳥の未来は、その努力にかかっています。生命の構造そのものを壊し続けるのであれば、私たちは、自分たちの未来を危険にさらすことになるでしょう」
鳥たちの数が減っている原因は?
バードライフが、鳥類にとって最大の脅威と指摘するのが農業だ。
農地拡大による生息地喪失、使用される機械や有害な化学物質が鳥たちの脅威になっており、ヨーロッパでは1980年以降、農地に生息する鳥の個体数が50%減少したという。
ナショナル・ジオグラフィックは、2018年の記事でこの問題を指摘。フランスでは殺虫剤の使用により、虫を餌にしているノドジロムシクイなどの鳥が大幅に減少したと伝えている。
伐採も深刻な問題だ。中南米の熱帯雨林などに生息し、鳥類最強とも言われるオウギワシは、巣を作るために必要な大木の伐採などが原因で数が減少。バードライフによってIUCNのレッドリストに格上げされた。
他にも、気候変動による嵐や山火事、干ばつに加え、漁業の混獲、乱獲、外来種の繁殖なども鳥たちの大きな脅威になっている。
バードライフのパトリシア・スリタCEOは、「鳥たちは我々の自然環境の健康状態を教えてくれます。しかし私たちは、鳥たちのメッセージ無視し、自らを危険にさらしています」と声明で述べている。
「世界中の多くの地域で、気候変動によって大規模な山火事や干ばつ、熱波、洪水が発生しています。そして人間によって形を変えられた生態系は、気候変動への適応に苦しんでいるのです」
危機的な状況を変えるために、何が必要なのか。
バードライフは最も重要な解決策として、鳥たちにとって必要不可欠な生息地の保護や回復を挙げている。2013年以降、保全活動のおかげで726種の絶滅危惧種の保護に効果が見られたという。
また、12月に開催される国連生物多様性会議(COP15)で、各国が協力してこの問題に取り組む必要があるとも指摘。スリタ氏は「国際社会は、生物多様性の危機を注視し続ける必要がある」と強調している。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。