ハフコレ編集部

コロナは社会の“一時停止ボタン” アフターコロナは「進化する人」と「元に戻る人」の二極化に

リモートワークなど働き方・暮らし方の変化は「表層的なものだった」コロナがもたらした変化の「本質」とは?Googleで人材開発を担い、コンサルティング会社を経営するピョートル・フェリクス・グジバチさんに話を聞いた。
Work from home in COVID-19 virus outbreak, social distancing. Young woman working at home because of an infectious disease epidemic.
Work from home in COVID-19 virus outbreak, social distancing. Young woman working at home because of an infectious disease epidemic.
J_art via Getty Images

コロナ禍によって、「在宅でも仕事ができる」「家族と過ごす時間が増え、改めてその大切さを知った」など、さまざまな面で“気づきを得た”はずだった。

再び、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、各地で緊急事態宣言が出ているが、以前と比べて人々の行動は、本当に変わっただろうか。コロナ禍が落ち着くと、満員電車の通勤…対面での打ち合わせの増加…などこれまでの暮らしや習慣に戻ったという人もいたはず。

「私たち人間は、危機に際してリスクを取ろうとせず、慣れた行動に戻る傾向があるんです」と話すのは、かつてGoogleで人材開発を担い、現在は経営者コーチング、新規事業開発を主軸としたコンサルティング会社を経営するピョートル・フェリクス・グジバチさん。

ピョートル・フェリクス・グジバチさん
ピョートル・フェリクス・グジバチさん

ピョートルさんは、コロナがもたらした変化の「本質」を考えるため、経営者や投資家ら21人に話を聴き、著書「パラダイムシフト」にまとめた。インタビューから見えてきた、ニューノーマルの世界で求められる行動とは。

コロナは社会の「一時停止ボタン」 資本主義社会の真の課題とは

コロナ禍は社会の「一時停止ボタン」だった、とピョートルさんは振り返る。

「考える間もなく回し続けていた『日常生活』という名の当たり前の毎日は、突然一時停止され、人々は、これまでの『習慣』が本当に必要なのかと考えるようになりました」

コロナだけでなく、インフルエンザや他の病気の感染リスクも負ってまで、通勤する必要は本当にあるのか。直接会って話す、会食の意味など、「自分に問いかけ、答えを出さなければならなくなったんです」とピョートルさんは話す。

さらに、在宅勤務や通勤といった変化は、「表面的なもの」だと言う。

在宅勤務などは、表面的な変化だという
在宅勤務などは、表面的な変化だという
Getty Images

コロナによる「一時停止ボタン」は、人々が薄々勘づきながらも、見て見ぬ振りをしていた社会の課題をさらけ出し、未来につながる新たなパラダイムシフトを引き起こすきっかけを作り出したことなのです」

歴史から学ぶ人間の強さ?諦めず、挑戦する余地の大きさをポジティブに捉えて!

ピョートルさんが話を聞いたのは、スカイプ共同創業者のヤン・タリン氏や連続起業家の孫泰蔵氏、サイボウズの代表取締役社長青野慶久氏ら21人。

インタビューを通じて、ニューノーマルの社会を生き抜くために必要な「集合知」、そして本質を問いかけながら生きるためのヒントを読者に発信したかったと話す。

インタビューでは、「歴史から学ぶ人間の強さ」について語る人も少なくなかったと言う。表面的に明らかになった問題に対して諦めや絶望を抱くのではなく、挑戦する余地の大きさをポジティブに捉えていた。

「自分たちのやるべきことは多い、今始めなければ、という覚悟を決めている人たちでした。話を聞いて私も気分が高揚し、行動へのモチベーションが高まりました」とピョートルさんは話す。

社会とコミュニティ共創が前向きな一歩につながる

ピョートルさんは、「日本は、地震や自然災害が多いためか、リスク管理に長けていますよね。丁寧にシミュレーションし、早い段階でリスクの芽を摘もうとするのは、日本人の強みです。特にみんなで対応する力が素晴らしいと思います」と話す。

もともと人間は、原始時代からコミュニティを作って助け合うことで、生存確率を高める戦略を取ってきた。集団行動を通じて自然とコミュニティを作っている日本は、コロナを通じて更に進化をした、ともピョートルさんは強調する。

アフターコロナは、「進化する人」と「元に戻る人」に二極化

ある人はインタビューの中で、アフターコロナは「大きく進化する人」と「元に戻る人」に分かれると予測した

wenmei Zhou via Getty Images

「例えば、アメリカでは、9・11やリーマン・ショック後も、スタートアップが急増したように、リスクを取って新しいことを始める意識が強い。

しかし日本はどうでしょう。コロナの感染者数減に伴い、満員電車の光景が復活したように、不慣れな在宅勤務より通勤生活に戻る人も一定数います」

ただピョートルさんは、そんな日本でも変化の兆しを感じ取っている。

最近、あるファッションブランドが渋谷に「まいったな2020」と書かれたビルボード広告を掲げて話題になった。ピョートルさんはこの広告を例に挙げて「過去の価値観が通用しない、新しい世界が生まれつつあるという認識が『まいったな』という言葉に込められているのだと思います。もう後戻りはできず、何ごとも自分で判断しなければいけない、と自覚する気持ちが現れているのでは」と話す。

ニューノーマルの社会で、一人一人が取り組めることもあると、ピョートルさんは言う。

「 “日常”を振り返り、自分の軸をしっかり持って必要・不必要を判断する。さらに社会の変化に目も向ける。そうした一つひとつの積み重ねによって、少しずつ良い世界に近づけるのではないでしょうか。私たちが変化に適応しながら、変わり続けることでパラダイムシフトが起こります」

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