家で使う“あれ”も?意外と身近にある「危険物」。うっかりでは済まない怖さとは?【動画】

危険物安全週間です。意外と身近に存在する危険物の怖さについて、実験動画を交えて考えていきたいと思います。
可燃性蒸気にろうそくの火が引火した
可燃性蒸気にろうそくの火が引火した
東京消防庁の実験映像から

6月4〜10日は「危険物安全週間」。

普段の生活で危険物に触れる機会なんてある?と思う人もいるかもしれないが、意外と身近に存在している。

家庭にはどんな危険物があるのか。そして、実際にはどのような火災や事故が起きているのか。

つい、うっかり、知らなかったーー。これでは済まない恐ろしい危険物について、実験動画を含めて解説する。

危険物って?家庭で火災も

東京消防庁によると、危険物とは消防法で定められており、①火災発生の危険性が大きい②火災拡大の危険性が大きい③消火の困難性が高いーーといった性質を持つ物品のことを指す。

例えば、消毒用アルコール、ヘアスプレー、化粧品、車の燃料、着火剤などが該当する可能性がある。

危険物を取り扱う際は、次のようなことに注意しなければならない。

  • 火気の近くで使用しない
  • 詰め替えを行う際は換気する
  • 直射日光を避ける
  • 正しい方法で廃棄する

そして、危険物が原因の火災は、家庭や店舗で実際に発生している。

危険物への注意を呼びかけるポスター
危険物への注意を呼びかけるポスター
東京消防庁

スプレー缶の廃棄で火災

まずは、スプレー缶を廃棄する際に起きた火災だ。

自宅の台所でスプレー缶のガス抜きをしていたところ、スプレーから抜けた可燃性ガスがガスコンロの火に引火してしまい、立ち上がった炎がレンジフードフィルターに燃え移った

ヘアスプレーや殺虫剤など、スプレー缶に入った製品は「エアゾール製品」と呼ばれる。

噴射剤には、可燃性ガスのLPG(液化プロパンガス)などが使用されている場合が多く、火気の近くで使用すると危険だ。

可燃性ガスが滞留し、ガスコンロの炎のほか、冷蔵庫などの電気機器で発生する火花に引火する恐れがある。

スプレー缶を廃棄する際は、火気のない通気性の良い屋外で行わなければならない。

ガスコンロの近くでスプレー缶のガスを廃棄していたら……
ガスコンロの近くでスプレー缶のガスを廃棄していたら……
東京消防庁の実験映像から

オイルが染み込んだタオルから発火

オイルが染み込んだタオルから発火することもある。

マッサージ店でオイルが染み込んだタオルを洗濯した。その後、乾燥機で乾かし、放置していたらタオルから出火した。放置していた時間は約5時間だった

オイルには、不飽和脂肪酸が含まれる。

空気中の酸素に触れて酸化することで発熱するため、乾燥機内に放置していると、熱が外に逃げにくくなり、タオルから出火してしまうことがある。

不飽和脂肪酸を多く含むものとしては、アロマオイル、マッサージオイル、床用ワックスなどがある。

乾燥機を使用せず、自然乾燥させることで、発火を防ぐことができる。

アロマオイルを含んだタオルから出火し、乾燥機の一部が焼損している
アロマオイルを含んだタオルから出火し、乾燥機の一部が焼損している
東京消防庁

キャンプで「アルコールストーブ」から出火

キャンプなどで利用される「アルコールストーブ」も慎重に取り扱わなければならない。

使用中のアルコールストーブの火が小さくなってきたため、燃料用アルコール(液体)を継ぎ足したところ、火のついたアルコールが周囲に飛散し、出火した

この場合は、火を消して燃料を補充しなかったことが出火の原因となった。

特にキャンプでは、ランタンやバーナーの燃料になる「ホワイトガソリン」や、木材に火をつける時に使う「着火剤」など、危険物を使用する場面が多くある。

取扱説明書をしっかり読み、適切な場所で使用する必要がある。

アルコールストーブから燃焼
アルコールストーブから燃焼
東京消防庁

そして、特に注意を払わなければならないのは「ガソリン」の取り扱いだ。

ガソリンは、車の燃料だけでなく、祭りやキッチンカーの発電機、キャンプ用のランプなど、様々な場面で使われている。

しかし、ガソリンは引火性が高く、火が離れていても引火する危険性がある。

その危険性を周知するため、東京消防庁は次のような実験を行った。

  1. 金属製の実験装置の中に火のついたろうそくを設置
  2. ガソリンを染み込ませたTシャツを、ろうそくから2メートル離したところにぶら下げる

すると、15秒ほどでTシャツが燃え始めた。

Tシャツから発生した可燃性蒸気がろうそくの火に引火したということだ。

見えづらいが、ろうそくの火がふっと大きく揺れ動き、青っぽい炎がTシャツへと走るように向かっていく様子がわかる。

ガソリンから出る可燃性蒸気はマイナス40度でも発生するという。

Tシャツが一気に燃えた
Tシャツが一気に燃えた
東京消防庁の実験映像から

危険物に該当するものには、保管や使用する際に危険物であることがわかるように表示しなければならないことが法令で定められている。

危険物の品名や危険等級、注意事項などが記載されているため、家庭でも確認して正しく使ったり、廃棄したりすることが重要だ。

コロナ禍以降、自宅や店舗に置くようになった「消毒用アルコール」も可燃性蒸気となるため、火源があると引火する恐れがある。

東京消防庁は、「危険物となる物品を使用する付近では、喫煙やコンロを使用した調理など、火気の使用はやめましょう」と呼びかけている。

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