これからの経済
2019年03月08日 11時36分 JST | 更新 2019年03月08日 13時37分 JST

「承認欲求の次は『自己実現』」 gumi・國光宏尚さんが見据える『次世代のSNS』とは

2007年からSNSをやり続けたが、そこでは勝ちきれなかったという思いがあり、「次世代のSNSって何だろう」とずっと考えていた。

KAORI NISHIDA / HUFFPOST JAPAN
國光宏尚さん

個人が夢を叶える新しい仕組みが生まれた。「会社を作るのとは違うんだけど、やりたいことがある…」というニーズを拾い、従来の資本主義・株式会社という仕組みを超えるサービスになるかもしれない。

株式会社フィナンシェは3月7日、ドリームシェアリングサービス「フィナンシェ」の提供を開始した。

フィナンシェは、株式会社が出資者から資金提供や事業提携を受けながら事業を展開するのと同じように、個人が夢を叶えるために、個人単位で資金やノウハウを提供してくれる人(ヒューマンキャピタリスト)を集めることができるプラットフォームサービスだ。

各個人は、株式会社の「株」にあたる、「個人トークン」を発行する。ブロックチェーン技術に基づく個人トークンの価値は上昇する可能性があるため、ヒューマンキャピタリストは、純粋な応援に加え、金銭的なリターンを得られることもあるという仕組みだ。

フィナンシェの出資元のひとつで、スマホ向けゲームを提供する株式会社gumiの代表、またフィナンシェ社のファウンダーである國光宏尚さんは、「応援する人も応援される人も、『自己実現』してほしい」と語る。

國光さんに、今回のサービスへ込める想いを聞いた。

■「次世代のSNSって何だろう」

ーー「フィナンシェ」を始めた経緯を教えてください。

僕がgumiを立ち上げたのは2007年なのですが、一番最初は日本でモバイル版Twitterを作ろうと思っていたんですよ。ちょうど当時、Twitterが登場して、「すごいな」と思って。

元々モバイル版のTwitterから始まって、そこからモバイル版のソーシャルアプリ、モバイル版ソーシャルゲームそしてネイティブアプリなった。ずっと、人と人がつながるSNSということは意識していました。

僕の中では、2007年からずっとSNSみたいなことをやり続けて、そこでは勝ちきれなかったっていう思いが結構大きくありまして…。

今はモバイルゲームが中心ですけど、僕にとって「SNS」っていうのは大きなテーマとしてあります。「次世代のSNSって何だろう」とずっと考えていた。

ーー「次世代のSNS」ですか。

InstagramやFacebookなどの、今トップのSNSや現在の「つながり」は、承認欲求がベースになっていて、極めて不健全だと思う。

Instagramが典型なんですけど、皆からのいいねが欲しいために、嘘の人生、フェイク・ライフやフェイク・フォトをアップしている。この行為は、絶対にどこかで虚しさを感じると思うんですよね。

この次に出てくるソーシャルネットワークは、「自己実現」をお互いで支え合うようになるだろうと。

例えばですが、「俺はYouTuberになりたい」「じゃあ、私はこうやって手伝うよ」というのは、助けてもらった方も助けた方も嬉しい。こういった、夢を叶える・応援するような「自己実現」をベースにした人の繋がりや新しいSNSというのが今のところ僕のイメージですね。こうして作ったのがフィナンシェです。

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「次」を見据える國光さん

■「断言する。10年後、人間は『暇になる』」

ーー「今」よりも先に視点があるのですね。

産業革命時代は物質的に豊かになることと、幸せが明確にイコールだった。

けれど、今の時代はそうじゃなくなってきている。これ以上物質的に豊かになっても、人生の楽しさと関係ないのが今の時代だと思っています。そして、今から向こう10年間で起こることは、間違いなく、「ものを作る」という仕事を全部AIがやる。人が関わらなくて、絶対によくなるのね。そうすると、何が起きるか。人間皆が、めっちゃ暇になる(笑)。

ーーえ、「10年後、人間は働かなくて良い」というのはもう前提ですか…?

今までの「ものを作る」という生産性においては、ほぼほぼAIとブロックチェーンがやるから、10年後の「仕事」は今までには全く無かったものになると思う。これはもうね、断言するよ(笑)。

そして、物質的な豊かさはこれから止まるから、今後はより精神的な豊かさに人は長い時間を使うようになると思う。

GAFAや孫(正義)さん達は、AIを使って、人の手を使わない「自動化」をしようとしている。これは成功しそう。だから、そこはGAFAとか孫さんとかに任せて、僕らは、10年後のその先、皆が暇になった時代に、「どうやって楽しく過ごすか」の準備をしようと考えています。

KAORI NISHIDA / HUFFPOST JAPAN
「人は暇になるよ」と断言する。

■「暇になった時間をどれだけ充実させるかが、人類全体の幸福に繋がる」

ーー暇になったら、人はどうなるのでしょうか?

重要なのは、この暇になった時間をどれだけ充実させて、楽しくさせるか。これが人類全体の幸福に繋がると思っています。

それを実現するために重要なのは多様性だと思う。

例えば、歌にしても、人によって「こんな歌が好き」「私はこれ」と好みが違うように、人それぞれ違うものを持っている。そういう一人一人の個性を引き出して、多様性のある挑戦をしていくことが「多様性のある楽しみ方」という意味では絶対に重要。

ーー時間的余裕ができることで、挑戦もできると。

もちろん、「全員が起業家にはなれない」というのと同じで、「全員が夢に挑戦する」っていうこともないと思うのね。

ただ、夢に挑戦している人を応援することで得る「自己実現」っていうのも、すごくあると思っています。

お金を稼ぐことは重要だけれど、それ以上に、それぞれの形で誰かの夢を応援することで、皆で自己実現をしていく。これが一番楽しいんじゃないかな。そして、それが報酬にも繋がる時代が来ると思っています。

■「新しい社会で何が生まれるかまだ分からないが、『これが正しい』というのはなくなると思う」

ーーそれぞれの形で自己実現をすることが、10年後以降の社会だと。

一人一人の個性が、押しつぶされずに、発見されて、伸ばされる。そして、人それぞれも自分のやりたいことを頑張って突き詰める。それが皆にとってのハッピーに繋がるような社会が、新しい社会なのだと思っています。

これからは、もの作りとは関係のない個性が発見される。わかりやすいところでは、芸術。食の追求をする人もいれば、売れるためではなく、自分の好きな内容を歌う人もいる。

マスに向けての「これ」ではなく、それぞれの「自分はこれが好き」がどんどん出てくると思う。

ーー國光さんの理想の社会はどのようなものですか?

「こうあったらいいなあ」という未来でいうと、一人一人が自分のやりたいことや個性を持っている。それを周りが単に受け入れてくれるだけじゃなくて、一人一人がその夢の実現をサポートしてくれて、結果的に、「いろんな種類の人生」ができるような社会。

このような新しい社会で、何が生まれるかは、まだ分からないんだけどね。ただ、「これが正しい」というのは無くなるだろうと。「自分はこれが素敵だと感じる」「自分はこれが好き」のように、それぞれの考えが支持されるようになると思う。

このように、一人一人が夢に挑戦して、皆がサポートし合って、お互いに肯定し合う。そういう社会になったら、一番理想かな。

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國光さん(左)と株式会社フィナンシェCEO・田中隆一さん