家族のあり方は国が決めるものじゃない。 同性婚裁判の院内集会で、原告と国会議員が語ったこと

違憲判決で注目の集まる「結婚の自由をすべての人に」訴訟。第3回院内集会が開かれました
札幌地裁で3月17日、「同性同士の結婚を認めないのは違憲だ」という司法判断が下された
札幌地裁で3月17日、「同性同士の結婚を認めないのは違憲だ」という司法判断が下された
JUN TSUBOIKE/HUFFPOST JAPAN

「同性同士の結婚を認めないのは、憲法14条1項が定める平等原則に違反している」という判決が、札幌地裁で言い渡されてから約1週間。

同性間の結婚実現の行方に注目が集まる中、同性同士が結婚できる法整備を求める院内集会「第3回緊急マリフォー国会」が、3月25日に衆議院第1議員会館で開かれました。

集まったのは、全国5地裁で進む「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告や弁護士、法の専門家、そして党派を超えた国会議員たち。

違憲判決が言い渡されましたが、それだけで同性カップルが結婚できるようにはなりません。

結婚ができるようにするためには、国会で同性同士が結婚できる法律を整備する必要があります。

裁判所からバトンを託された国会議員を前に、原告たちは何を訴えたのでしょうか。また国会議員たちはどんな気持ちを語ったのでしょうか。

原告からのメッセージ

北海道訴訟・Eさん

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院内集会では、日本各地で暮らす原告が直接もしくはオンラインで、国会議員に声を届けました。

北海道訴訟原告のEさんは、3月17日に違憲判決を聞いた時に原告全員で涙を流して喜んだ時のことを振り返りながら、婚姻の平等を実現するためには国会議員の行動が必要だと訴えました。

「同性カップルと異性カップルに、性的指向以外の違いは何もない、それなのに結婚制度を使える人たちとそうでない人たちで明確に区別されているのは差別ではないですかと裁判所が判断してくれた喜びを、正直うまく形容できません」

「あの判決を聞いて、生きていてよかったと思えたのは間違いありません。婚姻の平等をめぐる検討は、もう国会議員の皆さんに渡されました。この報告会に参加された国会議員の先生方のお力をまずはお貸しください」

九州訴訟・こうぞうさん

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熊本市でパートナーと暮らすこうぞうさんは、高齢になった自分たちの親のためにも、結婚の平等を早く実現して欲しいというメッセージを伝えました。

「僕の母は今年79歳になります。パートナーの父も70を超えております。2000年前半から応援してくれていたパートナーの母親は、一昨年がんで他界しております」

「残された家族で、法律上も家族になれるという喜びを一緒に分かちあいたいという純粋な気持ちで同性婚を望んでおります。どうか国会議員の皆さんに一刻も早く法制化をしていただきたいと思っています」

東京訴訟・佐藤郁夫さんのパートナーのよしさん

メッセージを代読した永野靖弁護士
メッセージを代読した永野靖弁護士
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東京訴訟の原告・佐藤郁夫さんは、札幌判決を聞く前の1月18日に亡くなりました

第3回院内集会が開かれた3月25日は、佐藤さんの誕生日でした。パートナーのよしさんのメッセージを、弁護団の永野靖弁護士が代読しました。

「私のパートナー佐藤郁夫は2021年1月18日に急逝いたしました。法律上も共にふうふとなって最後を迎えたいという郁夫の願いは叶いませんでした」

「生前彼が心配していたように、彼が救急搬送で病院に運ばれた際、私は親族でないとダメだと言われ、医師からの病状説明を受けられませんでした」

「偶然ですが、今日、第3回マリフォー国会の3月25日が佐藤郁夫の62歳の誕生日です。生きていれば、3月17日の札幌判決を一緒に聞くことができたでしょう。私たちには間に合わなかったけれど、みんなのために、きっと天国で喜んでくれていると思います」

東京訴訟・西川 麻実さん

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「(同性カップルと)異性カップルとの扱いの差を合理的根拠を欠くものなんだと言われ、涙が止まらなかったです」と語ったのは、東京訴訟の西川麻実さん。

西川さんとパートナーの小野春さんは、15年以上一緒に3人の子どもを育ててきました。しかし小野さんが乳がんを患って働けなくなった時に、配偶者控除も受けられず、健康保険を西川さんの扶養にすることもできませんでした。

自分たちと同じように、LGBTQ当事者の多くが感じている不安を無くすため、1日も早く法整備をして欲しいと、西川さんは国会議員たちに訴えました。

「この瞬間にも亡くなっている方、病気の方が私たちの仲間にもいるので、一刻も早く国会議員の先生の力で婚姻の平等を実現していただきたいと思います」

国会議員が語った決意

私たちは困っている、一日も早く結婚の平等を実現する法律を作って欲しい――原告たちの声と違憲判決を、国会議員はどう受け止めたのでしょうか。

院内集会に参加した超党派の議員たちが、それぞれの思いや決意を語りました。

辻元清美・衆議院議員(立憲民主党)

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「菅総理は(同性婚の)問題を問われて『我が国の家族の根幹に関わることであるから』という紋切り型の答弁をしています」

「この『我が国の』というのと『家族の根幹』って何ですかねえ。家族というのは、その当事者が幸せであったらいいじゃないですか?そして家族のあり方は、当事者が決めればいいんじゃないですか?」

「国が家族のあり様をこうであるとか、根幹はこうであると示すこと自体、私は憲法に違反しているんじゃないかと思っています」

竹谷 とし子・参議院議員(公明党)

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「公明党として本日、同性婚検討ワーキングチームを中央幹事会で正式に発足することが決まりました」

「人権という観点から、誰もが幸せに生きていく権利を守るために、自分の人生を自分で選択できるよう、選択する機会を平等に、法の下に平等にして、ともに幸せになっていける社会を皆さんと一緒に作りたいと思っています」

寺田 静・参議院議員(無所属)

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「札幌の判決が出たときに、私自身は当事者ではありませんけれども、当事者である友人知人の顔が浮かんで、本当に嬉しさが込み上げて来ました。それと同時にやっぱり国会の不作為なんだなということを、大変重く感じて、すぐにツイートできませんでした」

「当事者の方達にとっては、待ち望んでいた判決であったと思います。微力ながら、お役に立てるように努力をしたいと思います」 

牧島 かれん・衆議院議員(自民党)

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「国勢調査の時にもどうやって皆さんの思いが反映されるかというところはお話を聞かせていただいていましたが、まだまだだな、やらなきゃいけないこともたくさんあるし、スピードも上げなくちゃいけないとこの場で改めて感じています」

「私自身は家族のあり方というのは色々あっていいと思っていて、それを政治がこうあるべきというのは間違っていると強く思っています。これからも一緒に頑張りたいと思います」

玉木雄一郎・衆議院議員(国民民主党)

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「(判決は)法的な整備をちゃんとやらなきゃいけない、立法府としての役割を果たせということです」

「損害賠償は認めていませんが、判決に書かれた我々立法府に対するメッセージは重いと思っていますので、党をあげて、立法化に取り組んで行くように全力を尽くしていきたい」

福島みずほ・参議院議員(社民党) 

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「本当に、よく練られた判決だと思います。ボールは国会に投げられました。つまり、立法不作為、損害賠償請求は認めなかったけれども、今後私たち、立法不作為で、損害賠償されるという立場になるわけですから、国会が頑張らなくちゃいけないと思っています」

安江伸夫・参議院議員(公明党) 

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「親しい友人や後輩など、涙ながらに自身の思いを受ちあけてくれたという方にも、たくさん出会って参りました。そういう当事者の声を聞くたびに、どうして生まれながらに持った性質でこんなに苦しい思い、悔しい思いをしなければいけないのかという思いを、常々抱いておりました」

「そうした思いをさせない日本、そういう社会を作っていく、その実現に向けて力を尽くしていくことを誓います」

石川大我・参議院議員(立憲民主党) 

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「中学生の時に同性愛者だと気づいた時、学校で憲法14条も習って、自分の置かれている状況は、法の下の平等に反する、自分がおかしいんじゃなくて社会がおかしいんだと思いました」

「昨日予算委員会で(同性婚について)質問したら、小泉大臣が同性婚に賛成ですと言ってびっくりしたんですけれど、賛成ですと言う方を自民党や公明党でも広げていって、そして同性婚を勝ち取りたいなと思います」

吉良よし子・参議院議員(共産党)

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「台湾で、同性カップルの結婚式に出席しました。国際結婚で、一人は日本人だったんですが『日本の法律では同性婚が認められていないから、台湾で正式な結婚とは認められない』と聞いて愕然としました」

「今回、違憲だという判決を勝ち取ったから、今度は立法府の責任です。私たち政治家がちゃんと責任を果たして、同性婚をこの日本で実現するために力を合わせて頑張っていきたい」

梅村みずほ・参議院議員(日本維新の会)

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「私は文教科学委員会で子ども達の教育にも携わっていますが、男子なのに男の子が好きなんだどうしよう、女子なのに女の子好きなんだ変なのかなって悩んでいる子どもがまだいます」

「みなさんの活動はそんな子ども達の当然の権利に光を当てる闘いでもあると思っています。ぜひ子ども達のためにも、そして世の中の皆さんのためにも、一緒に頑張っていけたらと思います」  

この他にも、党派を超えた多くの議員が会場を訪れたりメッセージを送ったりして、結婚の平等実現への賛同を表しました。

院内集会に寄せられた国会議員からのメッセージの数は、1回目が32通で2回目が53通、そして今回が74通と回を重ねるごとに増えています。

国が圧勝する、たった一つの方法

今回の判決を、憲法学者も好意的に受け止めています。院内集会に参加した東京都立大学の木村 草太教授は、判決を「理由が良くわかるように書かれている」と評価します。

同氏はまた「今回の憲法判断が他の4地裁の訴訟の弁護団や国側の担当者、裁判官に大きなプレッシャーになるだろう」とも述べています。

その一方で、この訴訟で国が圧勝する方法が一つだけある、とも木村氏は指摘します。

「それは国会で同性婚を立法することです。同性婚が立法されれば、原告と国の対立はほぼ消滅します」と同氏は言います。

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国会にはすでに、同性間の婚姻ができるよう民法の一部を改正する法律案(婚姻平等法案)が提出されていますが、いまだ審議は棚上げ状態になっています。

しかし今回の判決は、法案の審議を後押しするものとなりました。

国内外で大きな注目を集めた今回の違憲判決について、寺原真希子弁護士は「原告や弁護団だけでなく、長年活動を続けてきたすべての人々の力で勝ち取ったものだ」と強調します。

「今回の判決は(同性婚について)国民の意識が高まっていることを、丁寧に認定しました」

「このような国民の意識の高まりは、訴訟が提起されるずっと前から、日本各地の様々な地域で、様々な人々がそれぞれの方法で地道に活動・支援したことの積み重ねによるものです。その結果としての現状に真正面から向き合ってくれたのが今回の判決だと捉えています」

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寺原氏は同時に、憲法99条が「国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、憲法を尊重し、擁護する義務を負う」と定めている点を指摘します。

そして「今回憲法違反という判決が出たわけですから、この憲法尊重義務を果たすべく、国会は速やかに、法律を改正すべき立場にあります」と国会議員の一刻も早いアクションを促しました。

2019年2月に始まった「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、提訴から5年で結婚の平等を実現するという目標を掲げています。

中川重徳弁護士は、今回の判決がその目標を実現するのは可能だと示してくれたと歓迎します。

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「2021年に裁判を起こした時に、2年後にこんな素晴らしい判決をもらえるとは僕らだって思っていなかったんです」

「私たちの予想を超えて、みんなの努力が実を結びつつあります。実を結ぶということを確信しましょう」

「国会で検討するかどうかすら検討が必要だ、というこの数年間の状態から一歩を動かすために、国会議員の皆さんは力をお貸しください」

※読みやすくするために発言の一部を編集しています。

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