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2020年10月06日 17時18分 JST

ナゴルノ・カラバフとは? 紛争の理由が分かる5つのポイント

国際的にはアゼルバイジャン領だが、1991年から30年近く「ナゴルノ・カラバフ共和国」を自称するアルメニア人勢力が実効支配している。

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「ナゴルノ・カラバフ共和国」の“国旗”。アルメニア国旗を基調に白線を加えたものだ。アルメニアの伝統と地域の人口を象徴し、同地がアルメニアから切り離された地域であることを示している。

旧ソ連の構成国だったアゼルバイジャンとアルメニアの間で9月27日から始まった軍事衝突が激化している。両国は10月5日、相手が市街地に攻撃して民間人が犠牲になったと非難し合った。1994年の停戦合意以来、最大の衝突となっている。

紛争の背景にあるのは「ナゴルノ・カラバフ」という地域の帰属問題だ。日本では馴染みが薄い地域だが、何が問題になっているのか5つの項目で解説しよう。

 

01.どこにあるの?

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画面左端にある黒海と、その右側のカスピ海に挟まれた地域がコーカサス。

ナゴルノ・カラバフがあるのは、黒海とカスピ海に挟まれた「コーカサス」と呼ばれる地域だ。全体的に山がちな地域で、多種多様な民族が入り組んで暮らしている。

歴史的にロシア、トルコ、イランなどの大国に囲まれており、国境線が絶えず入れ替わってきた。ナゴルノ・カラバフは、アルメニア共和国があるアルメニア高原の東端に位置し、標高1000~2000メートルの高地となっている。

 

02.どの国の領土なの?

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中央の色の薄い部分がアゼルバイジャンの旧「ナゴルノ・カラバフ自治州」

国際的にはアゼルバイジャンの領土として認められている。しかし、1991年から30年近くに渡ってアゼルバイジャンの支配圏は及んでおらず、「ナゴルノ・カラバフ共和国」を称するアルメニア人勢力が実効支配している。今のところ、「ナゴルノ・カラバフ共和国」を承認している国家は存在しない。

 

03.広さと人口は?

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「ナゴルノ・カラバフ共和国」が首都としているステパナケルトの市街地(2019年6月撮影)

旧ナゴルノ・カラバフ自治州の面積は4400平方キロで、日本の山梨県と同規模だ。山がちな地域のため、面積の割には人口は少なく推定15万人程度となる。東京都東村山市と同じくらいだ。現在の住民のほとんどはアルメニア人と見られている。

 

04.名前の由来は?

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「ナゴルノ・カラバフ」のシュシャ周辺の山道 2019年6月撮影

 『アルメニアを知るための65章』(明石書店)によると、ペルシャ語で森林に富む高地は「バフ・イ・シアフ(黒い庭園)」と呼ばれており、これがトルコ語で「カラ・バフ」となった。

これが、ロシア語で「山岳の」を意味する「ナゴルノ」をつけて「ナゴルノ・カラバフ」となり、国際的に使われるようになったという。この地域がイラン、トルコ、ロシアという大国の間で領有権が入れ替わってきた歴史を示している。

 

05.なぜアゼルバイジャンとアルメニアで紛争になっているの?

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アルメニア国防省が2020年10月2日に公開したビデオより。アルメニアの軍人がアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ共和国の連絡線に向けて大砲を発射してい

アゼルバイジャンが旧ソ連の構成国だった1923年から1991年まで、「ナゴルノ・カラバフ自治州」が設置されていた。この地は、隣国の「アルメニア」と同じくアルメニア人が多く、旧ソ連末期の時点で人口の約8割を占めていたが、旧ソ連の意向でアゼルバイジャン領とされていた。

そこでアルメニア人は「ナゴルノ・カラバフ自治州」のアルメニアへの帰属替えを求める運動を開始し、それが独立を求める紛争へと発展した。

アルメニア人勢力は1991年9月2日に「ナゴルノ・カラバフ共和国」として独立を宣言。アルメニア人勢力を支援するアルメニアと、独立を認めないアゼルバイジャンの間で激しい戦争になったが、1994年にロシアの仲介で停戦した。1万7000人の死者を出し、100万人以上が難民になったとされる。

アルメニア側が優勢な状態で停戦したため「ナゴルノ・カラバフ共和国」は、旧ナゴルノ・カラバフ自治州だけでなく、その周辺も実効支配している。元々の「領土」を超えてアルメニアと陸続きになった。その面積はアゼルバイジャン全土の約16%を占めると言われる。

アルメニアは「ナゴルノ・カラバフ共和国」を国家承認しないものの、支援を続けている。一方、アゼルバイジャンは「ナゴルノ・カラバフ共和国」は存在せず、「アルメニアによって占領されている」として失地回復を目指している。

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中央のNKRと書かれた色の薄い部分が「ナゴルノ・カラバフ共和国」の実効支配地域。「ナゴルノ・カラバフ自治州」よりも大幅に広い地域を支配している。

【参考図書】

・『アルメニアを知るための65章』(明石書店)

・『アゼルバイジャンを知るための67章』(明石書店)

・廣瀬陽子 『未承認国家と覇権なき社会』(NHK出版)

・廣瀬陽子『旧ソ連地域と紛争』(慶應義塾大学出版会)