ミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』上で、サイトを利用している35歳以上のユーザーを対象に「パワーハラスメント」についてアンケートを行ない、2,911名から回答を得ました。
■調査結果 概要
★ 8割以上が「パワハラを受けたことがある」と回答。
★ パワハラの被害第1位は「精神的な攻撃」。パワハラを受けた3人に1人が「退職」を選択。
★ パワハラ防止に有効だと感じるのは、「第三者機関によるチェック」「厳罰化」「定義の明確化」。
■調査結果 詳細
1:8割以上が「パワハラを受けたことがある」と回答。(図1、図2、図3)
パワハラ(パワーハラスメント)とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為のこと。現在、厚生労働省は、職場のパワハラ防止措置を企業に義務付けるための法整備を進めています。
「パワハラを受けたことがありますか?」と伺ったところ、82%が「ある」と回答しました。性別や年代別に見ても、パワハラ被害の差は無いことが分かりました。
【図1】パワハラを受けたことがありますか?
【図2】パワハラを受けたことがありますか?(男女別)
【図3】パワハラを受けたことがありますか?(年代別)
2:パワハラの被害第1位は「精神的な攻撃」。パワハラを受けた3人に1人が「退職」を選択。(図4、図5、図6)
「パワハラを受けたことがある」と回答した方に被害の内容を伺うと、「精神的な攻撃(公の場での叱責、侮辱、脅迫)」(66%)が最多でした。男女別に見ると、女性は男性に比べ、「人間関係からの切り離し(隔離、無視、仲間はずれ)」(45%)、「過小な要求(仕事を与えない、程度の低い仕事を命じる)」(33%)、「個の侵害(プライベートに過度に立ち入る)」(27%)の回答が目立ちました。
具体的に誰から被害を受けたのか伺うと、最も多かったのは「同性・年上の社員」(75%)でした。男女別では、女性は男性に比べ、「異性・年上の社員」(40%)が多く挙がりました。
パワハラへの対策を伺うと、トップ3は「退職した」(35%)、「気にしないようにした」(33%)、「パワハラをしてくる人とは別の上司や先輩に相談した」(31%)でした。「人事やハラスメント対応窓口などに相談した」(19%)、「労働基準監督署など公的機関に相談した」(9%)など、相談・解決に乗り出す方よりも、自ら環境を変えるか、現状のまま耐えるという回答が上回りました。「その他」(21%)と回答した方の中からは、「成果を上げて見返した」、「録音をして、パワハラの証拠を集めた」、「異動希望を出し続けた」などの対策が挙げられました。実際にあったパワハラの例も紹介します。
【図4】「パワハラを受けたことがある」と回答した方に伺います。どのような内容でしたか?(複数回答可)
【図5】「パワハラを受けたことがある」と回答した方に伺います。誰からのパワハラでしたか?(複数回答可)
【図6】「パワハラを受けたことがある」と回答した方に伺います。どのように対処しましたか?(複数回答可)
実際にあったパワハラ事例
・「子育てを疎かにしているのではないか」などプライベートについて根拠もなく悪口を言われたり、詮索をされ続けた。(35歳女性)
・首をつかんで殴る、棒で叩くなどの暴力を振るわれた。(36歳男性)
・ほぼ毎日、夜中に私への非難のメールが長文で送られてくる。その中には解雇をほのめかすような記載もあった。(36歳女性)
・子供が体調不良でも休暇を認めてもらえなかった。さらに、深夜残業をしていると、私の仕事の進め方が気に入らないという理由で、30分以上も説教をされた。(37歳女性)
・自身の機嫌が悪いと、机を蹴ったり、人に向けて物を投げたり、圧力をかけてくる。(39歳男性)
・業務上の些細なことを洗いざらい拾われ、毎朝職場で公開で叱責を受けた。挙げ句、突然有無を言わさず解雇された。(41歳男性)
・上司から椅子を蹴られるのは毎日。さらに作った書類を目の前でやぶり捨てられたり、不可能な仕事を与えられ、時間がかかるとみんなの前で怒鳴られ、人格を否定された。(41歳男性)
・リーダーからミーティングのスケジュールを知らされず、幾度も遅刻や未参加となった。また、初めて自分が契約を取った案件から理由もなく外されたり、飲み会に1人だけ呼ばれなかったり、事実と異なる評価を言いふらされた。(44歳女性)
・家族のことを馬鹿にされたり、「今すぐ屋上から飛び降りろ」などと脅された。(46歳男性)
3:パワハラをなくすために有効だと感じるのは、「第三者機関によるチェック」「厳罰化」「定義の明確化」。(図7、図8)
「パワハラをなくすためには、どんな方法が有効だと思いますか?」と伺うと、「第三者機関による社内風土のチェック体制をつくる」(50%)が最多でした。次いで同率で「厳罰化」(46%)、「パワハラの定義を明確にする」(46%)が続きます。個人ではなく、会社として対策を練ることを期待する声が多いです。
「ご自身がパワハラをする側になる可能性、または経験がありますか?」と伺うと、65%が「ない」(根拠はないが、気を付けて行動している:34%、パワハラの定義を把握しつつ、気を付けているので問題はない:31%)と回答しました。一方、29%が「ある」(実際にパワハラをしたことがある:2%、自分の行動がパワハラでは、と思ったことがある:27%)と回答しました。約3割が、自身もパワハラの加害者になっているのではないか、と不安を感じているようです。パワハラにならないように、気をつけていることもご紹介します。
【図7】パワハラをなくすためには、どんな方法が有効だと思いますか?(複数回答可)
【図8】ご自身がパワハラをする側になる可能性、または経験がありますか?
パワハラにならないように、気をつけていること
・なにか注意をする際は、他人の目に触れないところで行なう。また、いまなぜ注意をしたか、理由を説明するようにしている。(35歳男性)
・仕事の指示を強めにする際、「パワハラと感じるようならすぐに改めるので、教えてほしい」と伝えている。(35歳女性)
・自身が日常的なパワハラを受けているので、部下や後輩に対してはそうならないように心掛けている。(37歳男性)
・就業規則を改めて確認。規則に基づいた行動を徹底し、必要範囲だけの会話や行動に抑える。(38歳男性)
・指摘すべき内容をあらかじめ列挙し、それ以外のことは言わない。話している流れで、今回とは関係ない事項について注意してしまわないようにする。また、大前提として声を荒げない。(39歳男性)
・日頃からの信頼関係の構築が大切だと思います。特にコミュニケーションをとる際に、年上であれ年下であれ、同等と思い、相手の言葉をよく聞き、接することを大切にしています。(39歳女性)
・感情的にならない。感情的になりそうなときは、一旦冷静になって考える。仲のいい同僚などに、一度客観的に話を聞いてもらうと、感情の整理ができる。(44歳男性)
・教育のつもりが批判にならないよう、本人の成長に向けて改善点を提案し、最終的には本人の判断に委ねるという形を取っています。(45歳女性)
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『ミドルの転職』を利用する35歳以上のユーザー
■有効回答数:2,911名
■調査期間:2018年12月28日 ~ 2019年1月31日
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