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2021年08月09日 16時53分 JST | 更新 2021年08月09日 16時55分 JST

10年前に事故死した小学生の長男からハガキが届く。「お盆に帰ってきてくれた」と父親

父親の伊藤英生さんは「彼が生きていた証みたいなものを残したいと思い、迷いはありましたが投稿しました」とハフポスト日本版の取材に答えました。

2012年冬に事故死した小学5年生の男の子が生前、「10年後の自分」あてに出していたハガキが、時を超えて家族のもとに届いた。そこには、「弟は何をしているのか」と3人の弟たちのことを気にかける様子が書かれていた。

「お盆に長男が帰ってきてくれたような気持ちになりました」と父親がTwitterで振り返ると、わずか1日で1万回以上もリツイートされた。

「つらくてうれしい手紙ですね」「ずっと心の中で生き続けているのでしょう」「胸が締めつけられます」と反響を呼んでいる。

 

■岐阜県庁が募集した「10年後の自分」あてのハガキだった

ハフポスト日本版は、この男の子の父親で岐阜県議の伊藤英生さんに取材した。

それによると、今回のハガキは岐阜県庁が2011年に「地球温暖化防止普及啓発事業」として、県内の小学5年生から募集した「10年後の僕に・私に誓う!ぎふエコ宣言」のものだった。当時、伊藤さんの長男が通学先の小学校で応募したとみられる。

このハガキが書かれたのと同じ小学5年生の冬、11歳だった伊藤さんの長男は水難事故で亡くなった。当時の新聞報道では木曽川の河岸で友人らと遊んでいたところ、川に落ちたサッカーボールを拾おうとして川に入ったと報じられている。

それから約10年後。岐阜県庁が2021年7月下旬から、投函した児童にあてて簡易書留で返送していた。伊藤さんのもとには、2021年8月7日に長男からのハガキが届いた。

ハガキの裏には、いろいろと書いて消した跡があったが、最終的には「弟は何をしているのか」とだけ書いてあったという。伊藤さんは「弟達の事を気にかけている優しい子だったんだな」と振り返った。

伊藤さんは「10年の歳月が流れ、少しずつ長男が生きていたことが世間から忘れられつつあるのではないかと気になっていました」と綴った。「そんなタイミングでこの手紙が届き、彼が生きていた証みたいなものを残したいと思い、迷いはありましたが投稿しました」とTwitterに投稿した理由を打ち明けている。

 

■父親の伊藤さんとの一問一答

―― 「エコ宣言」のハガキの裏面には宣言などを書く欄があったようですが、ご長男は何か書かれていましたか?

色々書いて消した跡がありましたが、最終的には「弟達は今何をしている?」のみ書いてありました。

―― ご長男が10年前に「エコ宣言」に応募していたことは当時ご存じでしたか?

全く知りませんでした。

 ―― 今回、ご長男から葉書が届いたとき、どう思いましたか?

嬉しさと寂しさを感じました。どちらかというと寂しさの方が強いです。

 ―― ご長男の葉書を実際に読んで、お感じになったことは?

弟達の事を気にかけている優しい子だったんだなと思いました。

―― ご長男の弟さんは何人?弟さんは今回の葉書について何か言ってましたか? 

弟は3人います。現在、社会人1年目、中1、小5です。小5の四男が「自分と同い年の時に書いた葉書か」と言った後、「字は自分と同じぐらい下手だな」と言っていました。

―― ご長男はどんなタイプのお子さんだったでしょうか?

おとなしく、優しい子でしたが、戦国武将に憧れていた一面もありました。

―― ご長男の葉書に関するツイートが反響を呼んでいます。どう感じていますか?

これまで私自身、親としてのふがいなさと、このことを話せば周りが引いてしまうことなどを気にして、あまり長男の事を口にしてきませんでした。時には会話の流れの中で長男がいたことをうやむやにして話すこともありました。しかしながら、あれから10年の歳月が流れ、少しずつ長男が生きていたことが世間から忘れられつつあるのではないかと気になっていました。そんなタイミングでこの手紙が届き、彼が生きていた証みたいなものを残したいと思い、迷いはありましたが投稿しました。想像以上の反応で驚きましたが、同じように親族を無くされた方から励ましのお言葉を頂くなど、SNSでも人のやさしさに触れることが出来るんだなと感謝しています。亡くなった長男の分まで、妻と弟達としっかりと人生を歩んでいきたいと思っています。