2020年12月01日 10時03分 JST | 更新 2020年12月01日 10時03分 JST

仕事を「できるまでやる」スタンスで漠然と手をつけていませんか?

「他人のために時間を取られる、ということに今までずいぶん甘んじて流されていたなあ」──ライターの石川香苗子さんが激務の中で見つけた時間との向き合い方。

ERIKO KAJI
石川香苗子さん

日中はメールのやりとりやミーティングに追われ、気付いたら1日が終わっている……企画書や提案書をつくり始めるのは、夜になってから。働いていてそんな経験はないだろうか?

残念ながら、ハフポストの広告部門で働く私がまさしくそうだ…そんな中、自分が携わるRethink PROJECTで募っている「#Rethinkしよう」の投稿で、時間の使い方に関する興味深いツイートを発見した。

「『わたしの時間』を司る権利を、いつしか自分以外の人に明け渡してしまっていたような気がする。だけど、朝型に変えたら、『わたしの時間』が帰ってきたように思う」

ライターの石川香苗子さん。これはぜひ、話を聞いてみたい。早速私はインタビューを申し込みつつ、石川さんがTwitterで呟いていた「夜9時か10時には寝てしまう。明け方4時くらいに起き出して、静かに原稿に向き合う」を実践してみた。

仕事は「できるまでやる」が危険な理由。

──夜9時に寝て、朝4時に起きて仕事をする、というのをやってみたんです。そしたら7時くらいに眠くなって二度寝してしまいました(笑)。

石川:二度寝、わかります(笑)。

──そもそも、石川さんはなんで朝型生活にチャレンジしようと思ったんですか?

石川:コロナ禍での緊急事態宣言がきっかけでした。私の場合は法人向けのお仕事が多いせいか、ありがたいことに忙しくなってしまって。すると、「あるある」だと思うんですが、ずっとパソコンの前に座って、休憩も移動時間もない中でメリハリをつけられなくなり、時間に追い立てられるように仕事をしていたら一瞬で1日が終わるようになってしまった。

Manuel Breva Colmeiro via Getty Images
画像はイメージです。

もっと主体的に時間をコントロールできるようにならないと、仕事の質も落ちてしまうし、家族との時間も取れない、と危機感を覚えたことがきっかけでした。

私はそれまで、一つの作業にかかる時間をちゃんと見積らないまま始めてしまって、ゴールも決めずに「できるまでやる」みたいな感覚が普通でした。だから、「今日はここまで」としっかり区切るためにも朝型生活にトライしてみたんです。スムーズに仕事ができた、と思う日もあれば、どうしても徹夜で原稿書かないと終わらない、という日もあり…結果的にうまくいったり、いかなかったりなんですけどね(笑)。

とはいえ、「うまくいかない」という状態を、「うまくいかない」まま放置しないで、まずはトライしてみるのが大事なんだな、と改めて思いました。

一回やってダメだったな、と思っても諦めないで、頑張りすぎないくらいの気持ちで、ゆるゆるとチャレンジし続けるのがいいのかな、と思います。私もいつも、試行錯誤です……。

来たメールはとにかくすぐに打ち返す、はダメ?

──ライターさんだと、執筆のための「まとまった時間」が必要になりますよね。

HUFFPOST JAPAN
オンラインでインタビューに答えてくれた石川さん

石川:そうなんです。朝型に切り替えてもう一つ気づいたのですが、他人のために時間を取られる、ということに今までずいぶん甘んじて流されていたなあ、と。私は新卒で勤めた会社で営業職をしていた経験もあって、営業的な志向が強いんですよね。今は企業さんのオウンドメディアでの執筆をすることが多いのですが、製品の導入事例を紹介するための顧客インタビューの企画などがあると、その企業さんが何を目指しているか? どんなことを伝えたいのか? と、かなり丁寧にヒアリングします。だから、以前はとにかくメールが来るたびにすぐに打ち返したりしていて、流されるままに漫然と時間を使ってしまっていて。

──え、それ私やっちゃってます!

石川:営業さんや、タイアップ担当の編集者さんだったらいいと思うんです。でも、私はライターなので、書くのが最優先事項。そのための時間をちゃんとブロックして、その上で「メールのやりとりをする時間」を決めなきゃいけなかったんです。自分にとって、何が最優先事項か? 時間は、主体的にコントロールすると「意識する」だけでだいぶ生活が変わると思います。

「怖いと思う練習」はしておくべき

──そもそも、石川さんは、もともとフリーランスになりたいと思っていたんですか?

石川:フリーランス志向とまではいかないですが、一つの会社で働き続ける、というイメージは子どもの頃からなかったような気がします。

中学2年生の時に、父の勤めていた会社が一度倒産したことがあって。そのあと立ち直ったのでよかったのですが、一時は大量にリストラをしてお給料をカットして…ということを始めたんです。それがすごく衝撃的でした。父はあんなに一生懸命、家族との時間を削ってまで働いていたのに、ピンチに陥ると会社は守ってくれないんだ、と。

だから、自分が大人になった時には、社会全体を俯瞰して働けるようになりたい、と思ったんですよね。新卒で初めてついた営業の仕事も3年限定の契約社員でした。漠然と「書くこと」に興味があったので、営業の仕事の次に出版社で編集アシスタントを経験して、そこから流れで独立…という感じです。

──1社に限定してずっと働き続ける、ということは、新卒の頃からイメージされていなかったんですね。

石川:なかったですね。フリーランスになって12年経ちますが、会社員になるほうが怖いかも…と思うこともあるくらいです(笑)。言ってしまえばクライアントさんを一社に絞るようなもの、ですから。

一つの会社で働き続けるのは、とっても素敵なことです。でも、何が起きるかわからない時代ですから、いろんな働き方がある、という事実を知った上で働くのと、そうでないのとはだいぶ違うはず。もし私が正社員になるとしても、いくつかの企業で複業して、常に世の中を俯瞰できる状態でいたいなと思います。

そして、「怖いと思う練習」をするのも役に立つかもしれません。例えば、週3日契約の正社員と週2日契約のフリーランスで5日分働くと、フリーランスの方の契約を切られたらピンチですよね(笑)。そんなふうに、安心なだけじゃない環境に身を置いてみると、時間の使い方やキャリア設計が「流されるまま」になることが減って、より人生が自分のもとに帰ってくるような感覚になると思います。

理想の働き方のためにまず、やるべきことは?

石川香苗子
5歳のお子さんがいる石川さん。緊急事態宣言下では夫との家事育児の分担はシフト制を採用し、現在でも状況に応じて話し合いながら対応しているとか。

──今、会社勤務だけれど、石川さんのような自由な働き方が本当は理想だ、という人も多いと思います。でもなかなか一歩踏み出せない、どこから始めていいのかわからない、という人に、アドバイスはありますか?

石川:軸をいくつか持つのであれば、片方は「自分が得意としている領域」にしてみるのがおすすめ。そうすると、その領域は自信を持って、これまで培ってきたスキル、資産を生かして安心して働くことができるので、別軸で思い切ったチャレンジができると思います。今、事務として働いている人はそれを続けつつ、ずっと興味のあった翻訳の勉強を始めてみる、とか。自分の資産に片足残しておくと、チャレンジのハードルが下がるかもしれません。

自分にとって心地のいい働き方・環境は、トライ&エラーを繰り返すことでしか見つからない……と常々思います。私は母親としての自分と、働く自分の両立にも毎日試行錯誤していますし、これからも時間の使い方、働き方は模索していくんだろうと思います。

最近では、企業さんから「こういうメッセージを発信したいんだけど、どういうコンテンツをつくったら良いだろうか」と企画からご相談をいただくことも増えてきました。営業時代のスキルをフルに生かしつつ、ライターとしても企業の成長をお手伝いできるようなコンテンツづくりにどんどん挑戦していきたいな、と思っています。

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失敗してもいいから、まずはトライしてみる。基本的なことだけれど、忘れがちなことだ。忙しさに目が回りそうなときでも、ちょっと立ち止まって、自分が大切な本質を見落としていないかRethinkしてみたい。石川さんの話を聞きながら、私はそんなことを考えていた。

石川香苗子さん
フリーライター。1982年千葉県生まれ。リクルートHRマーケティング(現リクルートキャリア)での営業職、講談社などでのデジタルマーケティング、編集アシスタントを経てフリーライターに。マーケティング、テクノロジー、キャリア、テレビなどビジネス領域を中心に活動。息子とげらげら笑いながら、保育園へ送り届けるのが毎朝の楽しみ。

なんとなく受け入れてきた日常の中のできごと。本当はモヤモヤ、イライラしている…ということはありませんか?「お盆にパートナーの実家に帰る?帰らない?」「満員電車に乗ってまで出社する必要って?」「東京に住み続ける意味あるのかな?」今日の小さな気づきから、新しい明日が生まれるはず。日頃思っていたことを「#Rethinkしよう」で声に出してみませんか。