まさか私が?新型コロナ疑惑で自宅療養する35歳独身女性の日記

毎日のように東京都の感染者数がニュースになっている。あそこに感染者としてカウントされてる人はどんな人なんだろう?少なくともあの数字に私は入っていないんだ。
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recep-bg via Getty Images

(文:笛美)

※※笛美さんは新型コロナウイルス感染症と診断されたわけではありません。全ての人に同じ症状が出るとは限りません。


私は4月5日(日)から新型コロナが疑われる症状が出て、自宅療養している会社員です。PCR検査はしておらず陽性と診断されたわけではありませんし、当然ながら医療の知識もありません。しかし新型コロナ軽症者や無症状者と言われる患者さんたちの1人として、少しでも実態をお知らせしたく、ベッドの中でこの日記を書きました。最新の正確な情報は公的機関のものをご参照ください。

基本情報

35歳女性

1人暮らし

在宅勤務中の会社員

平熱は35度台

基礎疾患なし



4月5日・日曜日

世間では安倍政権によるマスク2枚配布が炎上していた日。

午前中に食料品店と八百屋へ買い出しに行き、午後は筋トレをしていた。

筋トレの最中に妙な悪寒がする。

すごく疲れた気がしてベッドに倒れ込む。

まさかと思って熱を測ったら37.5度だった。

夕食のために作っておいたスープの味はちゃんとした。

7時にベッドに入る。不安。

体温が短時間に35.9から37.5度へ。

体温が変わりすぎてて体温計が壊れたのかと思った。



4月6日・月曜日

午前中35.7度 午後37度

朝、会社に休みの連絡を入れる。

眠い。体が重い。節々は痛くない。味覚はある。

まあ今日は熱があるけど余裕でしょ。明日はまた元気に働けるはずだ。

でも少し胸がチクっとする。

味覚があるのを確認できるように、UBER EATSで頼んだガーリックチキンを食べた。

(直接の受け渡しはせず、ドア外に置いておいてもらった。)

ニンニクの匂いも味もする。鼻水がでる。水っぱな。

お腹を下したけどニンニクの食べ過ぎだろうか。

感染者の容態の変化を検索すると、下痢も症状のひとつらしい。

気のせいかもしれないけど。

自分が新型コロナなのか確かめたくて、海外の新型コロナ患者の動画を見まくる。

どうやら感染から平均して5日後に発症するという。

私はありがたいことに在宅勤務をさせていただいていて、

買い出しにしか行っていない。

感染しているとしたら、どこでしたんだろう?

スーパーに行った時?八百屋?商店街?

コンビニ?パン屋?不安で仕方なくなる。

念の為、厚生労働省の出している新型コロナ診断の目安のPDFを見る。

37.5度以上の熱が4日以上続かなきゃいけないから、私はまだ検査の対象じゃない。4日待とう。

これ独身の私ならいいけど、家族がいる人だったら4日待っている間に感染させたりしないだろうか?

もう少しPCR検査のハードルを下げることってできないだろうか?

Twitterを見ていたら首相官邸に意見を送って自分の声を届けている人がいらっしゃった。私もドキドキしながら送ってみる。

「PCR検査に簡単にアクセスできるようにしてください。」

4月7日・火曜日

35.6度-37度

緊急事態宣言が出た日。

この日は朝が調子良かったから、もう治ったかと思った。

仕事のメールを追って、できるだけ返事を返す。

午前中だけ働くと決めたが、頭を使うとめっちゃ疲れた。

座ってるのが辛くてタスクが終わらない。

冷凍ご飯でお茶漬けを作る。大丈夫、まだ味覚はある。

発症前にお米を5kg買っておいてよかった。

夜は熱が上がる。胸筋がチクチクする。

筋トレの成果なのか、病気なのか、恋なのかわからん。

体の中に埋め込まれたコンパスの針に刺されてるみたい。

作り置きしておいた辛いスープを食べる。嗅覚も味覚もある。

体がピキっとする。喉がピリッとする気がする。

新型コロナなら咳が出るはずだけど、まだ出ていない。これから出るのだろうか?

次は何が起きるの?怖い。

武漢で感染したお医者さんの告発動画や、ニューヨークのお医者さん看護師さんの警告動画を見る。

森三中の黒沢さんが2週間検査できなかったニュースを見て、私はきっと検査してもらえないだろうという予感がした。ぼんやりと誰にも頼らず家で治すという覚悟をかためる。

日本語では自宅療養の情報があまり見つからないので、英語で「家で新型コロナを治す方法」と検索する。

新型コロナは薬もないから、ただ寝て健康にいい野菜を食べろと。(野菜なんかもう買いに行けないけど。)

部屋やトイレや食器を家族と分けなきゃ行けない。換気もしろと。

私のような独居者は新型コロナ治療にうってつけだと思った。

ただNYではフリーランサーなど一人暮らしの人が、知らないうちに重症化して自宅で遺体が発見されているというニュースを見た。

不安になる。これから容態が急変しなければいいけど。

Twitterで#コロナ疑惑の仲間探しをするようになる。

結構似たような症状を訴えている人がいる。#コロナ疑惑 #コロナかも #微熱 等で探すといっぱい見つかった。みんな大丈夫か?と思う反面ほっとする。

私より辛そうな人もいるのに検査してもらえてない。

一方で濃厚接触で陽性になった人は、かなり厳重な管理をされて入院や自宅待機をしていることが分かった。

私は野放しだけどいいのか?

夜に救急車の音がめっちゃ聞こえる。

新型コロナが重症化するのは平均して5日後とネットで知る。5日経つのが怖い。

4月8日・水曜日

35.7-36.9度

早く良くなると思ってたけど日に日に辛くなってく。

もう仕事は休んだ方がいいのだろうか?

友達グループにLINEする。みんなまだ通勤しているみたいだ。胸が締め付けられる。

もし感染しても保健所はパンクしてそうだし、

病院によっては診療が断られることもある。みんな、健康を大切にしてと伝える。

友達が「厚労省の言う4日以上待たなくても電話してみたら?」と言ってくれた。

もうしばらく様子を見ようと思っていたけど、試しに最寄りの保健所に電話してみた。

「うちでは新型コロナ受け付けてないのでこちらにおかけください。」

伝えられた新型コロナの窓口に電話するがつながらない。

時間を置いて何度も電話したが、つながらない。

マジか。検査してもらえないんじゃなくて、電話自体がつながらないんだ。

きっと東京中に私みたいな人がたくさんいて、

その人たちが殺到しているんだろう。

いまTwitterで治療受けてる人って、

どうやって検査や病院にたどり着けたんだろう?症状が出たのが感染拡大の初期だったから?

お年寄りや子供のいる人が電話通じなかったらやばくない?

私も新型コロナだった場合、重症化したらどうしよう?

会社にどう説明すればいい?復帰出来る目安は?いつから外出できるの?

上司とオンラインで面談する。

「もう無理しないで今週は休んだら?」と言われる。

うちは小さいチームで仕事を回していて、

本来なら私の代わりのポジションはいない。

私は休むことで自分が不必要な存在と思われるのでは?

とか「感染するなんて意識が低い」

と言われないかとビクビクしていたのでひとまず安心した。

もうこの時から仕事のメールを追うのをあきらめる。

返したい衝動に駆られるけど、体のことを考え心を鬼にして放置する。

午後になると体調が悪くなる。

動悸がする。頭皮がゾワっとする。

振動する機械が頭皮の内側に入ってるみたい。新手の頭皮マッサージか?

横隔膜のあたりがチクチクする。

マグネシウムの下剤を飲んだ時みたいな下痢が出る。

夜はUBER EATSでカレーを頼んだ。

UBER EATSの配達の方に生かされている…ありがたい…

味覚はちゃんとあった。ごはんを通常の2倍食べた。

喉がほんの少しだけ痛かった。

地方の友達に新型コロナ疑惑を伝える。

「保健所つながらないし、マジで今なったらヤバいよ」と。

でも地方はまだ余裕がある感じかもしれない。

ずっとそのままでいて欲しいけど…

自宅待機の影響で、女性や未成年へのDVや虐待が深刻になっているらしい。

中高生の女性を支援するColaboという団体に寄付をした。

毎日のように東京都の感染者数がニュースになっている。

あそこに感染者としてカウントされてる人はどんな人なんだろう?

少なくともあの数字に私は入っていないんだ。



4月9日・木曜日

36.3-36.8度

今週はもう休むと決意して、一切のメールを見ないと決めた。

発熱から4日以上経ったことだし、満を持して保健所に電話をする。つながらない。1時間後も2時間後もつながらない。

その日は1日中、保健所への電話が繋がらなかった。

他の区に電話しようと思ったけど、流石にそれは遠慮しておいた。

すごい喉が乾く。熱い。喉が乾きすぎて起きる。

500mlくらい飲んでもすぐに干上がる。

平時からよく水分はとるタイプで、2リットルの水を飲んでいるのに、その倍は飲んでいる。

息苦しさ上がる。息ができない。

胸が親指で押されてて息が入ってこない感じ。

J.K.ローリングがやっていたという呼吸法を試すと、少し楽になったような気がした。

軽症のアメリカ人やシンガポール人のYouTube動画を見る。

軽症なのに検査してもらえたことがすごいなと思ってしまう。

4月10日・金曜日

朝からまた保健所に電話をかける。

保健所は何度かけてもつながらない。

区の番号も都の番号もダメだった。

保健所ダイレクトではなく、病院を通す作戦に切り替えた。

徒歩3分の最寄りの病院にかけると、「保健所に先に電話をかけるように」と言われた。

「かけたんですけどつながらないんです。」

「でも保健所にかけてからでないと受け付けられません。」

なるほど。もしかして私は社会の厄介者?

そりゃそうだ。医療機関に負担をかけてはいけない。私もかけたくない。

でも、この症状のまま家にいるのは不安だよ。

また保健所にかける。つながらない。

もしかしたら1度行ったことのある病院なら、お情けで診てもらえるのでは?

徒歩で15分ほどの所に過去に受診したことのある病院がある。

本当は近いところがいいけど、背に腹はかえられぬ。

「マスクをつけていたら来てもいいですよ。」と言ってくれた。

「本当にいいんですか?時間指定とかありますか?」

「時間は特にないですよ。」

「ありがとうございます!!今すぐ伺います!」

久しぶりに服を着て病院に行く。

交通機関は使いたくない。

タクシーも使いたくない。

だから人の少なそうな道を歩くことにした。

咳は出ていないけど、人にすれ違いたくない。

すれ違う時は道の端によって相手を先に通す。

葉桜がキラキラと陽光に輝いていて美しい。

歩きながらも息が苦しくなってくる。

こんな日も工事の人達が働いている。

大丈夫なのか?

やっとのことで病院について受付へ。

待合室には人が結構いて、外で待つと伝える。

受付の人が「中で待ってもいいですよ」と言ってくれた。

なんでこんな優しいの?他は断られたのに。

でも外で待つことにした。

春の風は気持ちいい。

道行く人、めっちゃ密集してるけど大丈夫かな?

受付さんが呼びに来てくれる。

待合室に誰もいなくて安心した。

先生からできるだけ離れて座る。

看護師さんが私の後ろに立ってくれる。

ソーシャルディスタンスが大丈夫か不安になる。

「熱はどれくらい?」

「37.5が最高でそこから36度台をさまよってます。

咳はありません。でも息苦しいです。下痢もあります。体がチクチク痛いです。味覚はあります。」

聴診器をあててもらって喉を見られる。

うつさないかすごく不安だった。

レントゲン撮影の結果は異常なかった。

「まあ心配になっちゃったのかな?

あんまり気にしないでゆっくりしててください。

もし来週も辛かったらCT検査しましょう」

それまで熱冷まし、気道を広げる薬、抗生物質を飲むことに。

めっちゃ嬉しい。

ちなみに診察料は1720円、お薬代は860円だった。

帰ったら疲れてフラフラだった。

「ここまで咳の症状がないのであればおそらく重症化しないでしょう」

遠隔診療でお医者さんに言われたらしい。

私はこの人と自分を勝手に当てはめて、大きな安心感を得た。

きっともう重症化はしない。

私も遠隔診療してもらえればよかったな。

(初診からのオンライン診療は13日から解禁になった。)

政府が改憲の議論を進めようとしているニュースを見る。

私は改憲には慎重になった方がいいと思っている。

少なくとも新型コロナ終息後に落ち着いて議論してほしい。

ていうか新型コロナで国力が低下したら、戦争どころではないだろう。

体の不調と心の動揺が重なる。

首相官邸に「改憲議論はコロナ終息まで延期してください」とお便りを送る。

メールを送り終わった瞬間、体全体が熱くなった。

4月11日・土曜日

(ここから毎日体温は35度台後半から37度台前半を推移するため省略します。)

過去最高に喉が渇いて目が覚めた。

体の震え。チクチク手足。足が震える。

ニュースで発表される東京の感染者数。

そこに私たちはカウントされてない。

上司が「何か出来ることはあるか」と連絡をくれた。

「新型コロナの検査は出来ないから分からないが、もし新型コロナだとしたらもう1週間の休みをがほしいです」とお願いした。

もう有休全部使ってもいいから治さねば。

会社に迷惑かけたくないけど、しょうがない。

職場の理解があって本当にありがたい。

他の人にうつしてないか不安に苛まれるようになる。

「新型コロナ 感染経路」で検索。飛沫感染とエアロゾル感染というのがあるらしい。

あと触ったものでも感染するらしい。

コンビニやパン屋さんや植木屋さんの顔が頭をよぎる。

マスクはしてたし咳はしてないけれど…。

もしもお店が潰れたらどうしよう。

なんでマイバッグを持って行ったりしたんだろう。

使い捨ての袋なら接触しなかったかもしれないのに。

もしあの人たちが苦しんでたらどうしよう。

イタリアやニューヨークの人がいつか過去の行動を後悔すると

言ってた理由がわかった。

でももう後戻り出来ないんだ。

Twitterで聞くと

「陽性か分からないなら別に言わなくていい。でも陽性になったら行動記録を提出するべき。」

と言われる。

さっそく行動記録をつける。

親に電話する。

親のいる地元にはまだ新型コロナがたどり着いていない。

「まだ新型コロナって決まったわけじゃないのに、

誰にうつしたかとか、なにを心配してるの?

それより自分にうつした誰かに怒ってもいいところよ。」

つ、強い・・お母さんが地元から食料を送ってくれることになる。

もし田舎がなかったら私はどうなっていただろう。

そして心配なのは地域のお店屋さんのことだ。

新型コロナが収束して、いざ街に出た時に、

ゴーストタウン化していたらこんなに悲しいことはない。

今すぐに補償をして安心してビジネスを休めるようにしてほしい。

「自己責任」と言っている人達も、個人のレストランやショップに散々お世話になってきたはずだ。

とはいえこんな状態では外にも出られないので、#自粛させるなら金をくれ」 というオンラインデモに参加する。

4月12日・日曜日

話題になった首相の例の動画がアップされていて驚いた。

動画のコメント欄に生活のために出勤しなければいけない人々が

自分の苦しさをコメントしていた。

私も「症状が出てるのに検査してもらえないのが辛い」と書き込む。

ネガティブな反響があって逆に怖くなる。

「飲み歩いてたんだろ」「医者に行けたならいい方だ」

「医療崩壊を起こそうとしてる」とか「検査しても無駄だ」とか。

健康な人からしたら、そういう印象になるのは分からなくもない。

私だって、明日をも知れぬ重症の人を救うことの方を最優先にしてほしい。

でも私たちのような軽症者を無かったことにして欲しくない。

私たちが新型コロナかもしれないこと。

たくさんの隠れ患者がいること。

それは国のためにも必要なデータではないか。

もしも東京でオリンピックを開催するならば、

私たちのような疑惑の人も含めて新型コロナ感染者を正確に把握した方がいいのではないか?

さらに、アーティストやクリエイター、イベント会社さん、舞台のスタッフさんの補償もしなければ、オリンピックの開会式や閉会式を誰が彩ってくれるんだろう?

飲食店さんを補償しなければ、誰が日本の素晴らしい食文化でおもてなししてくれるんだろう?

私のツイートを見た#コロナ疑惑の人たちがTwitterをフォローしたり連絡をくれた。

こんなに沢山の人が困ってるのに、感染者にカウントされていないんだ。

今までの罪悪感や後悔や、色々なことを思い出して泣いた。

声を出して泣いたら息を吸う時に深い呼吸ができた。



4月13日・月曜日

イギリスのボリス・ジョンソン首相が退院し、移民の看護師に感謝を述べた。

Twitterで追ってた陽性患者さんが退院して帰宅した。

よかった。励まされる。たくさん心無い声に囲まれてよく発信してくれた。

足がガクガクブルブルする。

何もしてないのに息が上がる なんでだろう?

またお腹を下す。

体が眠りに引き込もうとしてくる。

無理して起きると「なんで起きるんだ!」と体が抗議してくる感じがする。

でもランチを食べて薬を飲まないといけない。

近所のラーメン屋さんに出前を頼んだら、平時なら喜んで使うような、素敵な陶器の器に入っていた。

でもどうやら私はコロナかもしれないので、泣く泣く自分の皿にうつして食べた。きれいな盛り付けが台無しになって悲しくなる。もらったお皿はマスクをつけて洗剤で2度洗いして家の外に置いておいた。これで正解だったのかわからない。

初期の頃は日々変わりゆく症状にびびったけど、もう諦めた。家を出ていかないダメ男と共生する気分だ。

夕方に親が送ってくれた食料が大量に届いた。

保存のきく果物や乾燥麺類、乾物などを送ってもらった。

よかった。これで2週間くらい食いつなげそうだ。

夜は「#補償なしでは自粛無理」というオンラインデモに参加した。

未経験の病気を抱えながら、政治に声を上げるという未経験のことをしている。

新型コロナの症状なのか、体がびっくりしているのか、全身が熱くなるのを感じる。

4月14日・火曜日

各国の女性リーダーによるパンデミックの対応が評価されているニュースが出た。

私の友人を見ても、女性の方がより解像度の高い現実を見ていて、高い危機意識を持っていることは感じていたから、その通りだろうと思う。

女性をリーダーに選べるということはそれだけ古い慣習に囚われず変化に強い社会だということ。そして人権意識が高いということなのだろう。

外国が羨ましい。

絶対に生き残って日本の女性の地位を上げるために何かしたいと思う。

新型コロナになって気づいた。

日常はある日突然変わる。

ある日突然、よく分からない微熱が出る。

ある日突然、保健所に電話がつながらなくなる。

ある日突然、病院が来ないでっていう。

ある日突然、患者数の数字が信じられなくなる。

ある日突然、自分の考えを言えなくなる日が来るのかもしれない。

私が願う未来になるように、声を届けなければ。

新型コロナじゃないかもしれないんだけど。

この日はずっと体が火照っており、起き上がれないほどしんどかった。

4月15日・水曜日

杏さんが「教訓I」を弾き語りする動画を見た。

心が鎮まって大人しく家にいようという気になる。

暖房をかけて体を温めたらよく眠れる。

またお腹を壊した。

変な咳が出てきた。

お母さんと電話する。

お母さんは窓口業務の仕事をしている。

まだ感染者が出ていない地域なので、職場でのソーシャルディスタンスはないらしい。

くだらない会話に心癒される。

お母さん元気でいてね。

お母さんがいなくなったら私もう生きてく理由がないと弱気になる。

お母さんとお父さんが、ニューヨークやイタリアのお年寄りみたいになったらどうしよう。

私はこんな体では助けに行けないし。

孤独だ。イタリアの人が以前見た動画で、新型コロナは孤独だと言ってたのは本当だった。

両足が熱を持っている。

ゾワゾワしてる感じがする。

その後で両足がふらついて立てなくなる。

立ってるのが辛いこんなこと無かった。

お母さんのアドバイスで風呂に入る。

いつぶりだろう?風呂。

というオンラインデモに参加した。

4月16日・木曜日

ニュースでは昭恵夫人の大分旅行が話題になり、国会では黒川検察長の定年延長法案が審議入りした。

薬が切れたので、再度病院に行った。

前に病院行った時より、街の人が距離を開けてくれるようになった。

たった1週間でこんなに温度感は変わるんだ。

やはり熱は37超えるけど、先生の判断でPCR検査はしないことになった。

正直、これは予想通りだった。

PCR検査1回で防護服1枚が無駄になるらしい。

私のような軽症者に貴重な防護服1枚を

無駄にしてほしくないと自分でも思う。

病院の受付に受付の人と患者の間を隔てるビニールカーテンが貼られてた。

先週はなかったものだ。本当によかった。

薬をもらいに行った薬局のカウンターにも同様にビニールが。

おじいさんがソーシャルディスタンスとか無しに近くに来る。

「危険だやめろー!」と思ってさっと離れる。

新鮮な野菜が並ぶスーパーには、人だかりができていた。

野菜が食べたい。でももう人に感染させるリスクを冒したくないし、我慢して家に帰った。

この日は医療現場の壮絶な現状を伝える

四谷三丁目という方のブログが話題になっていた。

#国は医療従事者にマスクと防護服と危険手当を というオンラインデモに参加する。

外出しないしお洒落する必要も無いから、社会に貢献するお金ができてよかった。

そして検察長定年延長法案を延期してくれるようお願いしなければ。このままだと悪いことを悪いと裁けない国になってしまうし、近畿財務局赤木さんの死の真相もうやむやになってしまう。

衆議院で議論されているなら、自民党の衆議院議員さんに言った方が効果的だろう。

自分がどの選挙区にいるのかを調べて、その選挙区の議員さんにメールを送った。

恥ずかしながら、初めて自分の選挙区の衆議院議員さんを知った。

30年以上政治に興味を持ってこなかった自分には想像もできないアクションだけど、

今からでも遅くないはずだ。



4月17日・金曜日

国民に一律10万円の給付金が出ることが発表された日。

朝はすごい喉の渇きで目がさめる。

指が痛い。皿洗いのスポンジを握るだけで、指がチクチクする。

もしかして新型コロナじゃなくて自律神経失調症だろうか?

自律神経失調症の動画を見ると、私の症状に似ている気もする。

「新型コロナなんて取り越し苦労だった」と言って笑える日が来るといいな。

「新型コロナ差別」のニュースを見た。本当に勘弁してほしい。

なぜ一番お世話になる人を差別しなきゃいけないんだろう。

誰だって新型コロナにかかる可能性がある。

差別してるそばから自分も陽性かもしれない。

お母さんの勤務先の窓口にも、相手との間を隔てるビニールカーテンが設置されることになったらしい。

よかった。少しだけ安心する。

国民に一律10万円の給付金が出ることがニュースになり夜は首相会見でも発表された。

初めて世論で政府が動いた気がした。

毎晩オンラインデモに参加してよかった。

でも世論が政府を動かしたという内容は、メディアでは取り上げられていない。

さらに、初診からのオンライン診療が解禁になったという。

すごい。これで病院に不安な気持ちで行かなくて済む。

どんどんやってほしい。

私が願ったことを政治が認知して、実行してくれる。

なんて気持ちいいんだろう。もちろん完璧ではないけれど。

私が応援している石川優実さんの#kutoo運動に安倍首相が理解を示した時と同じくらい感慨深い体験だった。

コミュニケーションが成立している気がする。

たとえ私の声がそこに入っていなかったとしても、伝わるって気持ちいい。

関心を持っていた案件が前進するのは嬉しい。

今を生きている人なら、政治についてポジティブでもネガティブでも、多少なりとも思うところはあるのではないか?小さなことでも間違っていても、応援でもアドバイスでも激励でも批判でも、声を届けることは、きっと無駄ではないと思う。それは単に人を責めることには当たらないはずだ。地元の議員さん、ソーシャルメディア、各政党や首相官邸のご意見フォーム。

家にいながらでも、ベッドにいながらでも、政治の場に声を届けることはできる。



日記の最後に

私はまだ新型コロナ陽性か分からない。

もしかしたら、ただの風邪や自律神経失調症かもしれない。

でも毎日感染者のニュースが入ってくるのを空虚な目で眺めている。

あそこに私も#コロナ疑惑の大勢の人たちも入っていない。

微熱組の人たちは、後日になって検査を受けても新型コロナ陰性であることも多いらしい。

PCR検査では、初期の段階にしか陽性にならないのかもしれないと。

でも私達の存在をなかったことにしないでほしい。

軽症者について社会的認知がもっと広がるといい。

そうしないと軽症でも我慢して出社してしまう人も今の日本では多いだろう。

検査ができないから職場の人の理解が得られず、早く出てこいとか言われている人もいるらしい。

感染した人が安心して自宅療養ができるように、社会の理解が進むと嬉しい。

新型コロナ差別とかもやめてほしい。いま誰かを差別することは、自分が感染した時に差別される明日を作ってしまう。

どんな政治的立場の人であっても、どうかその健康を大切に生き抜いてほしい。

たとえリモートワークでも、感染するときには感染してしまう。

いちど発症したら私のようなごく軽症でも2−3週間は苦しむことになる。

発症したら本当に過去を後悔するし、病名も分からないまま謎の症状と付き合い続けなければいけない。

手洗い、うがい、マスク、2メートルの距離を守ってほしい。

そして健康な人が感染してしまう前に、1日も早い補償がされることを願う。

(編集:榊原すずみ

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