京都府宇治市の山中で5月11日、大量の書籍が捨てられているのが見つかった。
書籍には図書館の蔵書であることを示すバーコードシールが貼られており、少なくとも100冊以上が置いてあったという。
宇治市教育委員会によると、11日昼頃、破棄現場を通りかかった人から連絡があり、事態を把握。現場にかけつけると、スズランテープのようなひもで束になった書籍が10束ほどあったという。
担当者は「最近になって大量に本が行方不明になっているなどの状況は把握していない。現場から引き揚げた本を詳しく調べるのはこれからなので、行方不明になっている本なのか、盗まれたものなのか、保管期限が過ぎて除籍した本なのか分からない」という。
警察にも相談し、今後被害届を出せるのかどうかなども調べる予定。
ゴールデンウィークの10連休も開館していたため、13、14日は休館するはずだったが、職員たちはこの事件のために「本の仕分けや確認などを、15日の開館までに進めなくてはならないでしょう」と話している。
現在、山中に放置されていた本は宇治市立図書館に運ばれている。京都市や京田辺市、城陽市や精華町、滋賀県立図書館のシールが確認された。
京田辺市社会教育課の担当者は「我々も週が明けて13日の朝に聞いたばかり。警察にも相談しており、勝手にひもをほどいてはいけないようなので、まだ詳細を調べられていない」と説明。
「図書館の職員であれば、憤りを覚える事件。今後の管理についても、これから考えていこうと思っています」と話した。
除籍本だと被害を届けられない?
今回の事件では、これから図書を調べるため、盗難かどうかは分からないという。
宇治市の担当者は「除籍本だった場合、図書館の蔵書ではなくなっているため、被害届を出すことはできないかもしれない」という。
公共図書館では、ある一定の期限を過ぎた蔵書を「除籍本」として、原則として無料で利用者に提供することがある。
すでに絶版になっている本や、古書店で高値が付くようなものから、図書館でしか出回っていない希少本など、なかなか手に入らない本などが除籍本として図書館から出されることもある。
ただ、除籍本は転売禁止などの条件が付いており、古書店に大量に持ってくる人もいるが、引き取りを拒否されることが多い。