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2019年10月11日 15時50分 JST | 更新 2019年10月11日 18時47分 JST

16歳の農業アイドルの自死。訴えられた所属事務所が遺族らを提訴「事実無根の悪評を拡散された」

遺族側は2018年11月、事務所側に萌景さんが自殺した責任を問う裁判を起こしている。

2018年3月に自殺したアイドルグループ「愛の葉(えのは)Girls」のメンバー大本萌景(ほのか・16歳)さんの元所属事務所と代表者が10月11日、遺族から起こされた訴訟をめぐる発言・表現で名誉を毀損されたとして、遺族らを提訴した。

事務所の代理人弁護士がこの日、東京・霞ヶ関の司法記者クラブで記者会見を開いて発表した。

Rio Hamada / Huffpost Japan
記者会見する渥美陽子弁護士

渥美陽子弁護士によると、遺族や芸能人の権利団体による事実とは異なる主張や、自殺に追い込んだという印象を持たせる発言・表現で、名誉を毀損されたとして計3663万円の慰謝料を求めている。

訴えられたのは、萌景さんの両親、芸能人の権利を守る「日本エンターテイナーライツ協会」(ERA)、一般社団法人「リーガルファンディング」(LF)など。

「過重労働」「パワハラ」「1億円発言」。萌景さんの自殺が明るみとなった2018年当時、遺族や関係団体の会見・声明で明かされたこうした言葉・表現について、訴状で事実ではないと否定し、名誉毀損に当たると訴えている。

遺族側は2018年10月、事務所側に萌景さんが自殺した責任を問う裁判を起こしている

遺族提供
大本萌景さん

「休みを取らせなかった事実はない」真っ向否定

当時の会見・団体サイトなどでは、休みを取らせず長時間労働させた結果、萌景さんは高校に思うように通えず、精神的に追いつめられたという説明がされた。

一方事務所側は今回、萌景さんが命を絶つ直近3カ月の活動日数は、月10日未満だったと主張。高校に保管された記録を根拠に、「休みを取らせなかった事実はない。萌景さんは高校の授業に出席が可能であった日も欠席していた」と訴えた。

また当時、萌景さんがスタッフからパワハラを受けていたという説明がされた。その一例として、脱退を踏みとどまるやり取りの中で、「次また寝ぼけた事言いだしたらマジでぶん殴る」と絵文字付きのメッセージが送られた。

これについて事務所側は、このスタッフが萌景さんに送った入試を応援するメッセージのやり取りを示し、2人が「仲の良い関係にあった」としてパワハラを否定。威圧的なメッセージについては「激励の意味を込めて送信されたものだと考えられる」と釈明した。

事務所社長が萌景さんに伝えたとされる「愛の葉を辞めるなら1億円払え」という発言についても、真っ向から否定。「発言の具体的な理由が述べられておらず、確定した事実のように伝えられてしまった」と指摘した。

渥美弁護士によると、事務所には約60通の誹謗・中傷メールや、刃物が送付されるなど脅迫被害を受けたという。

事務所社長は発表したコメントの中で「自殺に追い込んだ悪徳芸能事務所というレッテルを貼られ、多くの取引先を失いました」と説明。「事実無根の悪評を拡散され、人生が変わり果ててしまう者が今後2度と現れてはならないと考えた」と提訴の経緯を述べた。

「日本エンターテイナーライツ協会」の共同代表理事を務める遺族側弁護士5人は連名で次のようにコメントした。

「当方の訴訟提起は証拠に基づく正当なものであり、名誉毀損にあたることは無いと考えています。他方、相手方の弁護士は、事件の相手方の弁護士に対して提訴しており、弁護士業務に対する不当な妨害です。弁護士職務基本規程70条にも違反します。訴状を確認したうえで、適切な対応を取って参ります」