はじめてのSDGS
2019年12月20日 12時12分 JST

ビジネスを地球に優しく変える6つの方法

今や非常事態とも言える環境課題に対応するためには、ビジネスは「悪影響を減らす」から「良い影響を与える」というスタンスにシフトする必要がある。

サステナブル・ブランド
トム・ザッキー氏

今や非常事態とも言える環境課題に対応するためには、ビジネスは「悪影響を減らす」というスタンスから「良い影響を与える」というスタンスにシフトする必要がある。そして社会的、環境的な側面を考慮して「利益」という概念を再定義するべきだろう。(Tom Szaky / Guillaume de Vesvrotte、翻訳=梅原洋陽)

ここ数年、異常に暑くないだろうか。気候変動はもはや「予想される人類生存への脅威」などではない。アメリカやモザンビークで起こった洪水や、カナダの温暖化が予測よりも2倍もの速さで進行していることからしても、その脅威はすでに現実となっている。

食糧生産、農業の現場は地球規模で大打撃を受けている。過去10年の間に80%もの昆虫群が姿を消した。生物種の絶滅という現象は、恐竜の絶滅以後、過去に類を見ない速さで進んでいる。

消えてしまった生物を救うことはできないが、人間という種を救い、さまざまな地球の生命を支えている自然を取り戻すことは可能だ。必要とされるポジティブな影響を地球に与えるために、ビジネスができる6つの方法を紹介する。

1. 思考ではなく、行動に意識を向ける

他人の思考を変えるのは難しく、多くの時間を要する。違うことを考えさせるのではなく、違う行動を促すことに力を注ごう。例えば、Loop(テラサイクルの循環型ショッピング・プラットフォーム)がアラブ首長国連邦で始まった時、そのサービスの裏には「これこそが未来の製品デザインだ」という秘められたメッセージがあったのかもしれない。

「サステナビリティ」をメッセージとして強く押し出すのではなく、デザイン性やユーザー体験に訴えかけることで、より大きなスケールでの持続可能性に繋がる行動の変化を起こせるだろう。

多くの人は「正しいこと」より、「自分のためになること」を選ぶということを理解しよう。電気自動車が人気な理由は、石油由来の燃料消費を削減するからではなく、単により効率的だと消費者が感じたからだ。

2. 否定的なメッセージから脱却し、簡潔に伝えることを始めよう

サステナビリティは、テレビのようなコミュニケーションをしていくべきだ。つまりインテリで学術的な伝え方ではなく、簡潔で分かりやすく。サステナビリティ界では難解なことを好む人が多い。しかし問題とその解決策を明確にし、一般の消費者や企業、政府に対してシンプルに伝えなければいけない。

ごみの問題や海洋プラスチックのような問題は、視覚的で感情に訴えかけるので、誰でも理解がしやすい。だからと言って他人の行動の変化を促すためにネガティブな映像を用いたり、人々の罪悪感を利用したりはするべきではない。絶望的で暗いごみまみれの海岸、プラスチックで窒息死する動物、そして水道水に含まれるマイクロプラスチックの研究――これらには人々の行動を変化させるだけの力はない。

サステナビリティへの挑戦は、イノベーションが鍵を握る。簡単で、便利で、シンプルなサステナビリティへの道だ。消費者の行動の変化を創造するために、あなたの企業はサステナビリティやソリューションをどのようにシンプルにしているだろうか。

3. 失敗はない。学びだけがある

失敗を恐れるあまりに、サステナブルなビジネスや社会に良いインパクトを与えるイノベーションへの取り組みをやめてしまうのはもったいない。もし誰かに「そんなの不可能だ」と言われたら、そのアイデアをより一層大事にしよう。一番乗りになれるチャンスだからだ。ビジネスにおいてサーキュラー・エコノミーを先導するのに不可欠な要素だ。

新しいアプローチを作り出すことが重要だ。誰かに「不可能だ」と言われるということは、やっていることの方向性は正しいはずだ。進み続けるべきである。一般的な価値観からすると「失敗した」ということは「重要な、新しいことを学んだ」という事と同じである。ユニークな解決策はリスクなしには生まれない。リスクを取ることで進化するのだ。

4. 利益を追求する

たった二人の会社員がノートル・ダム大聖堂の修復のために6時間で3億ユーロを集めたことを考えると、お金を追求することも重要だろう。

営利企業は、資金、スピード、世界的影響力という変革を起こすための3つの重要な要素を持っている。ダノンとP&Gを合わせれば、地球に対しての影響力とパワーは、おそらくほぼ全ての一カ国あたりの政府の力を超えるだろう。目の前の環境危機に対応する答えとして、「悪影響を減らす」から「良い影響を与える」に行動をシフトする必要がある。そして社会的、環境的な側面を考慮して「利益」という概念を、再定義するべきだろう。

5. One for all, and all for one.  (一人は万人のために,万人は一人のために)

とても簡単なことだ。すべての問題(気候変動、海洋プラスチックごみ、生物多様性の損失など)は例外なく、「ものを買う」というひとつの行為に繋がっている。そもそものアプローチの方法を変える必要がある。ごみのサイクルだけでなく、すべてのモノのサイクルを根本的に変えていくのだ。

すべてのステークホルダーが重要な役割を担っている。政府は害を与える製品を規制し、無害なものにインセンティブを与えるべきだ。そして、パーム油のように成功した例もあるが、小売業者は害のある製品を売ることをやめる。十分な効果を出すために、どのステージにおいても、販売業者の責任は大きい。

最後に、消費者は自分達が苦労して稼いだお金を有害な製品やサービスに使うことをやめよう。「買う」という行動の素晴らしいことは、選挙で投票するのと同じ意味があるという点だ。消費者の購買は、一つのものへの投票であり、他の多くの選ばなかった物への反対票でもあるのだ。

とてもシンプルであり、とても複雑でもある。真に状況を改善するためには、ごみの循環にだけ注目することをやめる必要がある。問題は全てのステージに存在し、すべての人がそれぞれ取り組まねばならない。それぞれの責任を果たさなければ解決することができない、全員の問題だ。

6. 大胆なビジネス・アクションが必要

分かりきったことだが、ビジネス界は既に死んだようなものだ。それでも少しでも時間が残されているうちに、持っている力を活用し前に進まなければならない。「自分の会社はまだ準備が整っていない」「他に重要なことがある」とは言うことはできない。そんなことはありえないからだ。

企業は製品を売るだけではなく、ポジティブな影響を生み出す必要がある。サプライチェーンを整えることは、単に悪影響を減らしているだけで、良い影響を生み出しているとまでは言えない。

2018年のエデルマンの調査によると、ほとんどの人はブランドに(活動家や政府以上に)社会にとって良いことをすることを期待している。企業は政治家より信頼されていて、半数以上の消費者はビリーフ・ドリブン(信念主導)で消費行動をする。つまり、消費者は「良い行い」をする企業を求め、そのような企業が恩恵を受けるということだ。

人間という種を守るために、ビジネスの新たなモデルをつくりながら、大胆かつ厳しいアクションを起こす必要がある。サステナビリティをけん引するリーダーとして、あなたにもこれらのステップについて真剣に考えてもらいたい。

絶望的な絶滅を回避するには、素早く迅速に行動を起こす必要がある。すべての人が問題を自分ごととして受け取れるか、それに未来がかかっている。

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