新型コロナウイルス、各国の対応は? 封鎖めぐりパニックのイタリア、比較的落ち着いてるカナダ

日本政府の対応と、各国はどう違うのか?

世界中のリーダーが、同時に同じ困難に直面することはそう多くはない。

世界で株価が暴落し、店頭では買い占めが勃発し、何百万もの人々が封鎖された環境で生活を強いられている中、新型コロナウイルスの感染拡大における各国の対応は異なっている。

しかし、これら各々の対策は、どんな影響をもたらしているのか?私たちが学べることは何なのか?

リーダーシップ

世界各国の首相・大統領などのリーダーたちは、感染拡大への対策において称賛されているリーダーもいれば、批判の的となっているリーダーもいる。しかし1つ明らかなのは、人々は専門家の話を聞くことを好むということだ。

左がウィッティー主席医務官、真ん中がイギリスのジョンソン首相
左がウィッティー主席医務官、真ん中がイギリスのジョンソン首相
Associate Press

様々な情報が溢れる中、様々な疑問に対するイギリスウィッティー主席医務官の落ち着いた心強い返答は、多くの人々の理解を助け、不安を和らげた。彼は「非常に素晴らしい」「彼こそ私たちに必要な専門家」と称され、次なるジェームズ・ボンドとまで謳われている。

他にも韓国フランスカナダのリーダーらも、簡潔で直接的、そして証拠に基づくメッセージを発信し、国民に評価されているようだ。

フランスでは、保健省が毎日新たに確認された感染ケースを発表し、マクロン大統領は異例の防衛会議や閣僚会議を開き、状況を議論した。

スペインも同様で、政府は「Alert, not alarm(怖がるのではなく警戒を)」というメッセージを広め、早期発見により感染を抑えることに集中している。

現時点で、フランススペインでは国内での移動規制は発令されていない。

韓国は、世界の中でも大きな影響を受けている国の1つ。ムン大統領は感染拡大は「そう長くは続かない」と発言したが、実際はそうならず、対応に追われている。3月9日の時点で、韓国での感染者は7000人以上に及ぶ。

ハフポスト韓国版の編集者によると、政府の透明性とスピードのある対策に国民の反応は「比較的良い」という。

「発生当初から、保健当局は毎日2回、テレビ中継による状況説明の会見を行いました。そこで、新たな感染ケース、死亡者、その他の状況の変化を説明しました」

「また、各自治体が、会見やスマホへのメールや緊急連絡により、その地区の状況を日々更新し、発表しています」と話す。

ムン大統領がテレビでスピーチをする様子
ムン大統領がテレビでスピーチをする様子
Associate Press

カナダのトルドー首相は、同政府の対応は「WHOの最適な推奨」や専門家の意見に基づくものであることの重要性を強調している。

ハフポスト・カナダ版の編集者によると、トルドー首相の対応はアメリカに比べて控えめだという。トルドー首相は、外国人渡航者の入国禁止は行わない、そのような反射的な対応はカナダ国民の安全を守るものではない、と述べているという。カナダは、複数の国への渡航勧告を出しているが、渡航・入国の禁止はどの国に対しても行っていない。

3月4日に発表された調査会社イプソスの調査によると、カナダの対応は比較的落ち着いている。調査対象となった10カ国(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、アメリカ、イギリス、ベトナム)の中で、新型コロナウイルスが自らの国にとって大きい、もしくは非常に大きい脅威だと思っている人の率は、カナダは21%と最も低かった。それに比べ、日本では65%、フランスでは49%が脅威だと思っているとの調査結果が出ている。

WHOは、中国が人口約6000万人の住民のいる湖北省を1月末から検疫したことが、各国が備える助けとなった、と話している。

国際的な臨床研究協会であるISARICのトップであるゲイル・カーソン氏は、「WHOは、研究者コミュニティをうまく統制し、課題や計画を示し、研究への対応がうまく回るよう、素晴らしいリーダーシップを見せた」と話した。

「台風の目にあるにも関わらず、中国の研究は素晴らしいもので、そこから多くのことを知ることができるだろう」

一方、イタリアのコンテ首相によるイタリア北部の封鎖、そしてその後のイタリア全土の封鎖は、ヨーロッパでの実践の難しさを証明するだろう。

この「積極的」な対策はWHOの専門家に称賛されたが、この政府の草案が承認前にメディアに漏出し、人々は不安やパニックに陥り、コンテ首相は非難を受けた。

「土曜の夜、南イタリア行きの最後の電車に乗るために、多くの人がミラノ駅に駆け込みました。すごい状況でした」とハフポスト・イタリア版の編集者は語った。

新型コロナウイルスについての会議を行なっているトランプ大統領 2020年3月10日
新型コロナウイルスについての会議を行なっているトランプ大統領 2020年3月10日
BRENDAN SMIALOWSKI via Getty Images

しかし、アメリカの状況は違っている。CDC(アメリカ疫病予防管理センター)の専門家によるウイルスをコントロールしようという努力が、混乱したホワイトハウスの対応によって阻まれている。

トランプ大統領は、「ワクチンが数カ月で開発される」との発言が批判された。これは、専門家が「18カ月かかるかもしれない」という言っている意見と異なった。

また、新型コロナウイルスは「消えていくだろう」との発言もしている。「ある日、奇跡のように、消えていくだろう」

また、政府の保健当局者の「高齢者や体の弱いアメリカ人は、民間飛行機を使わないように」と推奨する提案を却下したと報じられ、批判の的となった。

3月6日、CDCはウェブサイトを更新し、高齢者や、腎臓、肺、腎臓などに重い持病を持つ人は、可能な限り自宅に留まるよう、そして人混みを避けるように、と述べている。

しかし、ISRICのカーソン氏は、全体的に見て、国内外の専門家らはうまく協力しているという。

医療体制

新型コロナウイルスへの検査や医療へのアクセスは、国によって大きく異なる。

アメリカでは、疑われる場合は綿棒で採取され、検査は有料だ。(報じられている検査キット不足が深刻化しなければ)一方中国では、血液検査が開発された。

多くの検査は数時間で行われるが、その後については各国の医療機関がどれだけ対応できるかによる。

インドでは、52カ所の研究所で検査が可能で、今までに、港や空港を中心に約60万件行われているという。しかし、多くの広い地域では、公共医療が大量の病人に対応するのは困難になるだろう。

「もし政府が、感染を大都市や多くの援助や手助けがある人々に留めておけなければ、影響は大きいでしょう」とハフポスト・インド版の編集者は話した。

イギリスを含む多くのヨーロッパ諸国では、新型コロナウイルスの感染者の治療は、特別な隔離施設が設けてある特定の病院での対応となっている。

フランスでは、政府の「抑えた論調」が国民の不安を軽減させている、とハフポスト・フランス版の編集者は話す。「フランス人は、国の社会保障や医療体制を信頼しています。それが、混乱を抑えていると思います」

一方、イタリアでは、増大するプレッシャーに病院が困難に陥っていると報じられている。イギリスでも、感染者が大きく増大すれば、同様な状況になりかねないと懸念されている。

イタリアのチェックポイントで書類に記入する女性。イタリアは感染拡大と闘うため、全土の封鎖を発表した。
イタリアのチェックポイントで書類に記入する女性。イタリアは感染拡大と闘うため、全土の封鎖を発表した。
Associate Press

アメリカの医師らも、医療体制への大きな重圧、特に病院のベッドや物資、人員の不足を懸念している。

そんな中、アメリカ国内でも臨時的対応が行われている。サンフランシスコでは、病院がテントを設置し、呼吸器に症状がある人を、病院施設に入る前に事前に検査(screen)できるようにした。

シアトルニューヨークでは、限られた物資を守るため、マスクなどの使用を規制する新たなガイドラインを設けた。

韓国では、感染拡大のコントロールにおけるある程度の成功が見られており、ドライブイン形式も含め、すでに19万件の検査が行われている。

支援

イギリスでは、多くの低賃金労働者が仕事に行けなくなることで貧困に陥る、と慈善団体が警告した。

大臣らは影響を受けた人々は疫病手当が取得できるというが、金銭的に最も困難に陥る人たちへ政府は十分な対策がとられていない、と多くの人は思っている。

ハンコック保健大臣は、雇用形態に関わらず働く全ての人に支援をする、と述べている。

アメリカで働く人の多くは、有給の病気休暇が認められておらず、体調が悪くても勤務せざる得ない状況にあり、それはウイルスの更なる拡大を助長するかもしれない。

一方フランスでは、状況は比較的良い。ハフポスト・フランス版の編集者によると、国の医療や社会保障体制は良く、「感染などで隔離された人々(People who are confined)は20日間の有給の病気休暇を得る資格がある」と話す。

「政府は国の成長率が下降し、それによる失業率への影響の方を心配している。世界的な経済危機が懸念されており、一部の失業対策を投じ、税金の延期を許可し、企業がこの状況に対応できるよう支援している」

学校

新型コロナウイルスによる、子供や若者への影響はさほど大きくはないが(感染しても多くの場合は軽症と言われている)、感染拡大を防ぐため、学校や大学の休校は多くの国で実施されている。

アメリカイギリスでは、閉鎖は散在的で、感染が疑われるエリアに集中しており、予防対策として実施されている。

感染が大規模に広がっているイタリアでは、全国の学校や大学などは4月3日まで休校となっている。

イタリアでは全校休校となり、感染した場合リスクの高い高齢者である祖父母が孫の面倒を見なくてはならない状況になっている。
イタリアでは全校休校となり、感染した場合リスクの高い高齢者である祖父母が孫の面倒を見なくてはならない状況になっている。
Associate Press

日本でも同様の対策が取られているが、安倍首相が専門家会議で議論されず決定し、「時間的制約の中での政治的な決断」と話したことで批判されている。

各国でも規模やレベルは違うものの、同様の対策は韓国、イランフランスパキスタンインドで実施されており、今後も増えることが予測される。

施設・イベント

アメリカでも感染が広がるにつれ、一部の大企業は社員への自宅勤務を促している。大きなITカンファレンスなどのイベントもキャンセルされている。

イタリアも、ミュージアムや遺跡などを閉鎖、そして国全体の封鎖、4月3日まで全ての結婚式の延期などの対策が発表された。

アジアの全てのディズニーテーマパークも休園、もしくは一部休園されている。

フランスのルーブル博物館も一時的に休館となり、アイルランドの毎年恒例のセントパトリックデーのパレードも中止された。

スペインのサッカートップリーグ「ラ・リーガ」は、今後2週間は無観客で行われる。また、イタリアでのスポーツイベントは、当初観客なしで行われていたが、現在は中止となっている。

学校の教室を消毒する様子 チェコ
学校の教室を消毒する様子 チェコ
DAVID W CERNY / REUTERS

(ハフポスト韓国Wan Heo、フランスGeoffroy Clavel、カナダJon Rumley、イタリアDel Vecchio、スペインMarina Velasco、ギリシャGalatia Vourvouli、インドSharanya Hrishikeshの協力による)

ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。