新型コロナ感染の経験者たちが、今みんなに伝えたいこと

新型コロナウイルスに感染した人々が、経験を通じて感じたことを教えてくれた。
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Justin Paget via Getty Images

新型コロナウイルスの感染は、世界中に広がり、多くの被害をもたらしている。米ジョンズ・ホプキンス大学が発表した集計では、3月30日朝時点で70万人以上が感染、死者も3万人以上に上る。一方、約15万人の人々が回復している。

このウイルスにすでに感染した人たちは、どのように検査が実施され、どのように症状が悪化するのか...など、自らの経験から多くのことを学んだ。そして、発熱に苦しみ隔離されながら、買いだめに走る人や、バーで集まる人たちを見る気持ちがどんなものかも知っている。

ハフポストUS版は、新型コロナウイルス感染を経験した数人に、今私たちに知って欲しいことは何かを聞いた。

感染は山火事のように広がる

感染を経験した、アメリカ・シアトル在住で牧師のトレバー・マンキンさんは、このウイルスがいかに容易に感染するかに驚いたという。

3月1日、マンキンさんは友人に会いに病院を訪ねた。その友人は後に新型コロナウイルス陽性と判明。マンキンさんは、予防衣とマスクを着用し、しっかり手を洗い、やるべき安全策は実践していたはずだった。しかし、マンキンさんと彼の妻は数日後に体調を崩し、11日に陽性が確認された。

彼は症状が出てくる前、自分のオフィスに書類を取りに寄った。翌日、秘書がオフィスに出勤。ドアノブを触ったこと、そしてマンキンさんが部屋で咳をしたことはあっても、彼らは直接の接触はなかった。しかし、後に秘書の女性も感染が発覚した。

「非常に簡単に感染するのです。感染者と直接の接触があるか否かは関係ないようです」とマンキン氏は話した。

風邪症状だけとは限らない

新型コロナウイルスは、風邪と比較されることが多い。しかし、3月6日からウイルスと闘っているマイアミ在住で25歳のチアラ・ディジアロレンゾさんにとっては、全く別物だという。

当初、彼女の症状は熱や倦怠感といった風邪に似た症状だった。しかし、胸の圧迫感による息苦しさを感じ、何かが違うと思ったという。(編注:日本感染症学会は重症者の多くは呼吸困難などの症状が現れるとしている。)

シアトル在住のクリスティさんは最近感染から回復したが、人々が新型コロナウイルスを「ひどい風邪」のように扱うのをやめて欲しいと話す。彼女の場合、数日の発熱から始まり、鼻づまり、頭痛、そして頭がボーっとして集中できない状態になっていったという。「私は普段とても健康で、40代で高齢者でもなく、とても元気なんです」と話した。

重症にならなくても軽視しないで

新型コロナウイルス感染者の8割は、軽い熱や咳など、医者の言う「軽症」を経験し、自宅で自力で回復する。しかし低リスクの人々も、このウイルスを真剣に考える必要がある。

新型コロナウイルスに感染した多くの人は、このウイルスを軽視して、混雑したバーやビーチに集まる人たちに苛立っていると話す。

「みんなが自分のことだけでなく、よりリスクの高い人々のことを考えて欲しいです」とマンキンさんは話し、自身のニーズのことだけでなく、他の人々のことも考慮するよう呼びかけた。

ディジアロレンゾさんは、他のミレニアル世代にこのパンデミックの深刻さを広めようと、Instagramで質問に答え、同世代にもっと理解を深めてもらおうと努めている。

「もしあなたがウイルスをより体の弱い人に移したら、それが致命的になる恐れもあるのです」とディジアロレンゾさんは話す。そして、若い人も感染が悪化することがあるといい(持病があれば特に)、「このウイルスに無敵の人なんていないのです」と加えた。

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検査を受けられなくても、行動は変えて

検査には制限があり、誰もが受けられるものではなく、もっとも重症の患者が優先される。現時点で軽い症状があった場合、受けられるのはインフルエンザ検査だけだろう。

ディジアロレンゾさんも、病院は彼女と、そして同様な症状があった友達も、年齢や健康状態を理由に検査をしてくれなかったと言う。

もし症状があるのなら、検査を受けられるか否かに関わらず、感染しているかのように行動し、自主的に隔離してほしい、とクリスティさんは話した。

「軽症ではおそらく検査は受けられないでしょう。だから、自分でできる適切な行動をする必要があるのです」

お互い支え合おう

この混乱の中、新型コロナウイルスの感染者は多くの支援を感じたという。マンキンさんは、多くの人が食事や食料品を届けてくれ、気づかいの連絡をくれたと話す。

クリスティさんは、同じく感染していた夫が回復期に一緒にいたことが幸運だったと話す。しかし、誰か頼れる相手がいない人について不安を語った。「みんなに誰かのことを考えて欲しい。今、電話やメール、メッセージが必要な人がいるんじゃないか、と。友達や親戚の状況を確認するのもいいと思います」

混乱して買いだめに走らないで

どれだけトイレットペーパーの備蓄があっても、病気が治るわけではない。

「みんな落ち着いて。買いだめをやめて欲しい。買い物の必要があるのは、もし体調が崩れた場合のための、ある程度の食料確保のときです」とクリスティさんは話す。

マンキンさんも同意見だ。「この2週間でその大量の肉は必要でしょうか?買いだめの必要はありません。本当に必要なものを買うことは重要ですが、やりすぎはやめましょう」

ニュースを見る時間を減らそう

マンキンさんは何年も毎日ニュースを見てきたが、最近は少し減らしていると言い、その方法を提唱している。

「もしニュースを見たら、もっと落ち込み、もっと動揺し、もっと不安になります。新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、ニュースを控え、1日1時間、ニュースハイライトを見るだけにしています」と、恐怖をあおるだけの
ニュースからは距離を置くように呼びかけた。

できることに目を向けよう

マンキンさんが診断を受けた時、彼に、そして国中で何が起きるのだろう、と不安になったという。しかし、その思考は彼の子供達に不安を与え、家族との大事な時間を台無しにしてしまうと気づいたと言う。

彼はマイナス面に埋もれ落ち込むより、できるだけ良い面に目を向けることを呼びかける。

「何週間も家での自主隔離になり、今後こんな長い間家で娘と遊べることなんてないんだから、楽しもう、と考えるようにしたんです」

「私たちはみんなでこれを乗り越えるのです。私はそれを強く信じています」とマンキンさんは話した。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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