国民投票法改正案とは?反対の声がネットで拡散、問題点は?

与党が、国民投票法改正案の今国会での成立を目指す方針と複数のメディアが報道。改正案のポイントは?問題点は?
衆院憲法審査会で憲法改正手続きを定めた国民投票法の改正案の提案理由説明をする自民党の細田博之氏(右)=2018年7月、国会内
衆院憲法審査会で憲法改正手続きを定めた国民投票法の改正案の提案理由説明をする自民党の細田博之氏(右)=2018年7月、国会内
時事通信社

憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案を巡り、自民・公明両党が今の国会で成立を目指す方針を確認したと、NHKなど複数のメディアが報じている。

これに対し、Twitterでは「#国民投票法改正案に抗議します」が急速に拡散。5月20日午前10時半までに30万ツイートを超え、トレンド1位となった。

改正案の内容は?議論になっているポイントをまとめた。

■国民投票法とは?

「国民投票法」とは、憲法の改正手続きを定めた法律で、2007年5月18日に公布された。14年6月20日には、同法の一部を改正する法律が公布・施行された。

日本国憲法第96条は、憲法改正の手続きについて、以下のように定めている。

日本国憲法第96条

1 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

■国民投票法改正案の内容は?

国民投票法改正案は、2016年に改正された公職選挙法の内容を、憲法改正の手続きに関する国民投票にも適用するというもの。

具体的には、

・駅や商業施設などへの共通投票所の設置
・期日前投票の理由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加
・投票所に同伴できる子供の範囲を「幼児」から「児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大

などの7項目。

■「改正案」の何が問題?

問題となっているのは、現行の国民投票法の、投票日前の「国民投票運動」に関する規定だ。

憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をするよう、又はしないよう勧誘することを「国民投票運動」という。政党などは、一定のルールのもとに「国民投票運動」を行うことができる。例えば、投票期日14日前からは、国民投票広報協議会が行う広報のための放送を除き、テレビやラジオの広告放送は制限される。

この規定だと、14日前より前の期間では規制がないままとなっている。与党が提案する国民投票法改正案では、こうしたテレビやラジオのCM規制のほか、インターネット広告の規制も検討されていない。

主要野党はこの点を問題視し、「政党の資金力によってCM量に違いが出る」と指摘。「お金があれば広告手段をフル活用し、高い視聴率が見込める枠で宣伝されてしまう。これでは国民投票の結果が左右されてしまう恐れがある。現行の国民投票法では、意見広告として堂々と事前運動が可能で、公正な国民投票とは言えない」などと主張。

野党は「改正案には、本当に改正すべき問題に触れられていない」ことを理由に、改正案に反対してきた。

NHKなどによると、日本民間放送連盟(民放連)は19年5月の衆院憲法審査会で、CM規制に関しては、「表現の自由」の観点から「テレビ広告の量的な自主規制はしない」との方針を示している

■これまでの審議経過は?

国民投票法改正案は18年6月、自民、公明両党と日本維新の会、希望の党の4党が共同提出した。同年7月に憲法審で提案理由説明があったが、その後法案審議は一度も行われず、継続審議扱いとなっている。

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