アートとカルチャー
2020年09月04日 17時56分 JST

『MIU404』最終回前に知っておきたい3つの注目ポイント

綾野剛さんと星野源さん主演のドラマ。菅田将暉さん演じる「久住」はいったい何者なのか?

TBS公式サイトより
『MIU404』

TBS系列で放送中のドラマ『MIU404』が、9月4日に最終回を迎える。

タイトル『MIU404』の「MIU」とはMobile Investigative Unit(機動捜査隊)の頭文字であり、「404」は綾野剛さんと星野源さん演じる機動捜査隊員の2人を指すコールサイン。2人は「バディ」として、事件解決に挑む。

一つ一つの事件を描いた序盤から一転、後半では、それまでの伏線を回収するような怒涛の展開が続いている。

3つのポイントから、最終回の見どころを解説する。

 

①菅田将暉演じる「久住」は何者なのか?

最大の注目ポイントは、菅田将暉さん演じる「久住(くずみ)」という男が何者なのか、という点だ。

第9話(8月21日)放送のラストで、主人公である伊吹(綾野剛さん)と志摩(星野源さん)が追っていた2年前の裏カジノ事件の容疑者は、護送中、ドローンに仕掛けられた爆弾で死に至る。その容疑者が久住だと思われている。

『MIU404』は、一話ごとに事件が起き、その捜査を経て容疑者逮捕に至るという「刑事ドラマ」の王道パターンを踏襲しつつ、そこに、伊吹や志摩を中心に、登場人物の境遇や過去が描かれてきた。

さらに、久住を途中から登場させ、最終的に「鍵を握る謎の男」として2人が追うことで、ドラマのストーリーが大きなうねりを持ち始めた。

伊吹や志摩ら第4機動捜査隊は、普段は覆面パトカーで地域をパトロールし、110番通報があれば事件現場に急行し「初動」捜査を行う。第1話で、伊吹は志摩に対して、こう口にする。

「誰かが最悪の事態になる前に止められる」

劇中では、「分岐点」という言葉が何度も印象的に使われてきた。「法を犯す前」に、取り返しのつかない状況になる前に、人々を止められるか、否か。

久住は、若者に違法ドラッグを売買させている。自分は遠くから見ているだけで直接手は下さず、人々を“悪”に染まらせていく。独特な考えでもって相手の道徳観を揺さぶる、「詐欺師」でもあり「ジョーカー」でもあるような存在だ。

最終回では、伊吹と志摩は、久住を捕まえることができるのか。そして、久住の正体にも注目が集まる。

 

②綾野剛×星野源、「刑事バディ」としての新しさ

本作の脚本を務めるのは、『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル 』(TBS系)、『獣になれない私たち』(日本テレビ系)、『フェイクニュース』(NHK)などで知られる野木亜紀子さん。プロデューサーはTBSの新井順子さん、チーフ演出家は塚原あゆ子さんで、女性が中心となった制作チームだ。

多くの作品で、女性の主人公を描いてきた野木作品だが、本作の主人公は、男性である伊吹と志摩だ。 

警察官から探偵、学園ドラマまで、「男性バディ」もののドラマや映画は数多くあり、定番の人気ジャンルでもある。野木作品ではどのようにそれが作られたか。

伊吹は熱血、志摩は冷静、という一見相反する二人だが、実は根っこの部分は同じ。いくつもの事件を追う中で培われていったその信頼関係が、丁寧に描かれた。

二人が常にそれぞれのキャラクター性に合った私服であること、機捜車ではなくメロンパンカーに乗っていること。また第4機動捜査隊のメンバーと共に手料理を作って食事するシーンもあり、こうした演出面でも、作品全体に、従来の刑事ドラマとは異なる雰囲気を生み出している。

とくに星野源さん演じる志摩は、「女の隊長」として同僚やメディアから扱われる桔梗(麻生久美子さん)をそばで見続けてきたことで、その男女の非対称性に対して、自覚的のようにも思える。それを星野源さんは、さりげない仕草や表情、台詞などで表現しているところも、ドラマに深みをもたらしている。

 

③稀代の脚本家による、犯罪に巻き込まれる女性の描き方

野木作品ではこれまでも、ジェンダー平等や犯罪、ネット社会、フェイクニュースなど、社会の動きと連動したテーマを、「フィクション」という形で世に問い直してきた。

『MIU404』も同様で、その中でも特筆すべきは、犯罪に巻き込まれる女性の描き方だ。

第4機動捜査隊の隊長は、女性である桔梗。警察署長を経て、女性として初めて隊長に任官する。しかし、トップが女性であろうと、警察全体が「男社会」であることは変わらない。

夫を亡くし、一人で小学生の息子を育てる桔梗。「美人すぎる隊長」と言われれば、「顔で隊長になってない」と毅然とした態度で切り返す。

それでも、「幹部と寝て出世して隊長になった」「育児放棄してそう」などと根拠のないデマがネットで拡散されると、「ふざけんなっつうの。働いてるんだよ、こっちは。古臭い男社会の中で、めげずにきっちりやってきた人の努力を、なんだと思ってるの」と言って、悔し涙を流した。

懸命に働く人の努力を無下にするような、そうした言葉に悔しい思いをしたことがあるのは、桔梗だけではないはずだ。

一方で、桔梗とは異なる立場にいる、社会的に困窮する女性についても描かれた。

第4話の「ミリオンダラー・ガール」の青池(美村里江さん)と、ストーリーの軸となる裏カジノ事件の情報提供者である羽野(黒川智花さん)。二人の存在を通して、経済的な不安定さなどを理由に、自分の意志に反して、反社会の世界に引きずりこまれてしまう女性たちを描いた。

力のある者に脅され、搾取される。やっと逃れられたとしても、いつまた引きずり込まれるかわからない怖さを抱えて生きている。これまでドラマではなかなか描かれてこなかった、そうした女性たちを取り巻く状況に光を当てたことも、『MIU404』が熱い支持を受ける理由だろう。