「私たちが、あなたの夫が職に就けるようにしているんだ」
投票日が目前に迫る中、トランプ大統領が10月27日にミシガン州で開かれた集会で女性の有権者に対しこのような発言で強く訴えた。
差別的とも受け取れるこの発言に対し、女性たちから「私が働いて何が悪いの?」などと批判が寄せられている。
トランプ大統領は、新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)の措置についてミシガン州のグレッチェン・ウィトマー知事を遠回しに短く批判したあと、コロナ禍における自らの景気回復への手腕について女性らにこう訴えた。
あなたは知っているか。私はあなたたちの夫を... 彼らは仕事に戻ること望んでいる。私たちはあなたの夫を仕事に戻れるようにしているんだ。それは誰もが望んでいることだ。
ところが、この発言は現在のアメリカにおける女性の労働状況を全く鑑みたものでないかもしれない。
新型コロナウイルス関連の事業などの閉鎖によって、2020年4月に失業した2,050万人のうち、55%は女性だった。そして女性は今もなお、パンデミックを原因とする不況の矢面に立たされ続けている。
もう一つ別のデータもある。全国女性司法支援センターの発表によると、9月に労働環境にいられなくなった110万人の労働者のうち、86万5千人が女性で、さらにそのうち32万4千人がラテンアメリカ系で、5万8千人が黒人だった。
郊外に住む白人女性からの支持が減少する中、トランプ大統領は、郊外の低所得者向け住宅を奨励するための取り組みを終わらせることによって郊外を「救ったのだ」と繰り返し主張した。
この主張はオバマ政権時代に作られた差別を禁止する住宅法律を、トランプ政権が撤廃したことに基づいているが、これによって郊外に低所得者住宅が建てにくくなった面もあり、「郊外から白人以外の人たちを追い出す決定」「差別的な人種分離主義者」といった強い批判が起きた。
批評家らは、このトランプ大統領の主張に対し「人種差別的な犬の口笛」とレッテルを貼った。
振り返ると8月、トランプ大統領は、民主党が運営基盤とする都市が「犯罪に満ちている」(これは真実ではありません)のに、なぜ郊外の女性は民主党に投票するのかという疑問を持っていて、10月初めに開かれたペンシルベニアの集会ではより直接的なアプローチでこう訴えていた。
「私を支持してください」。なぜなら、「私は、あなたのいまいましい近所を救ったのだから」と。
トランプ大統領は2016年の選挙で52%の女性が自分に投票したと主張したが、実際のところ、投票したのは白人女性に限られていた。
全体では女性の54%が当時の民主党候補のヒラリー・クリントン氏に投票し、トランプ大統領に投票したのは41%だった。
※この記事は、ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。