餅による窒息死亡事故、1月が4割以上。食べる時の注意ポイント、消費者庁が呼びかけ

なぜ加齢で窒息リスクが上昇するのか。小さく切って、少量ずつ食べるなどの注意が必要だ。
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年末年始に食べる機会が多い、餅。

消費者庁は、餅による窒息事故に注意するよう呼びかけている。過去2年のデータを分析すると、餅による窒息死亡事故の43%が1月に発生していることがわかった。

餅を食べる時の注意点

消費者庁は、「餅を食べる時の注意点」として以下の5点を上げている。

▼餅は、小さく切り、食べやすい大きさにしてください。

▼お茶や汁物などを飲み、喉を潤してから食べましょう。(ただし、よく噛まないうちにお茶などで流し込むのは危険です)

▼一口の量は無理なく食べられる量にしましょう。

▼ゆっくりとよく噛んでから飲み込むようにしましょう。

▼高齢者が餅を食べる際は、周りの方も食事の様子に注意を払い、見守りましょう。

厚生労働省の人口動態調査によると、「不慮の事故」による死因のうち、食物が原因の窒息による65歳以上の高齢者の死亡者数は、年間3500人以上。中でも、80歳以上の死亡者数は2500人以上だという。

餅による窒息死亡事故の4割は1月に発生し、中でも正月三が日が多い。また、男性の死亡者数は、女性より2.6倍多いことも判明した。

餅による高齢者の死亡者数(年齢別)
餅による高齢者の死亡者数(年齢別)
消費者庁

なぜ加齢で窒息リスクが上昇?

消費者庁が発表する資料では、昭和大学の向井美惠名誉教授が加齢による窒息リスクの上昇の理由について、以下のように説明している。

▼歯の機能が衰え、噛む力も弱くなる。

⇒顎を安定させる力が低下し、咀嚼力や飲み込む力が低下する。

▼唾液の量が少なくなる。

⇒食べた物がスムーズに飲み込みにくくなる。

▼飲み込む力が弱くなる。

⇒口内の感覚、舌の圧力等の低下により、食物を飲み込んでも、 喉に残る分が生じやすくなる。喉に食べ物が残ったまま息を吸い込むと、食べ物が気道に詰まることも。

▼咳などで押し返す力が弱くなる。

⇒喉に食べ物が詰まった際に、咳などで押し出しにくくなる。

こういった口内や喉の機能等の変化により、窒息のリスクが高くなるという。

また、餅の特性として、温度度が下がるにつれ、硬さやくっつきやすさ(付着性)が増すため、喉を通るときには硬くなっていたり、餅同士がくっつきやすく、粘膜にも貼り付きやすくなったりするおそれがある。

消費者庁は、餅による窒息事故が発生した場合の対処法として、日本医師会による「救急蘇生法」気道異物除去の手順についても紹介している。

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