粘着力のある付箋「ポスト・イット」を発明した化学者のスペンサー・シルバーさんが5月8日、アメリカ・ミネソタ州の自宅で亡くなった。80歳だった。共同通信によると、約30年前に心臓移植を受け、最近になり心室頻拍の症状が出ていたという。
ニューヨーク・タイムズによると、化学・電気素材メーカー「3M」の化学者だったシルバーさんは1968年、研究所で接着剤の研究をしていた。航空機の製造に使用できるほど強力な接着剤を開発しようとしていた。
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その過程で、「表面に軽くくっつくものの、しっかりとは接着しない接着剤」を発見したという。
世界150カ国以上に広がる大ヒット
シルバーさんが見つけたのは、マイクロスフィアと呼ばれる接着剤。粘性は保っているものの、貼り付けた表面から簡単にはがせる性質も持ち合わせていた。
3Mの公式サイトによると、シルバーさんは何年もの間、自身が発明した“奇妙な”接着剤の用途を見つけるのに苦労していた。
諦めずに社内を歩き回り、あらゆる部門の人たちに新たな用途開発ができないか話を持ちかけていたシルバーさん。社内では「Mr. Persistent(粘り強い人)」として知られるようになったという。
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その後、3Mのもう一人の化学者、アート・フライさんと製品開発をスタート。貼ったりはがしたりできる「粘着メモ」として世界中の人に愛用されるポスト・イットが誕生した。
ポスト・イットは3Mの商標。日本では1981年に発売され、世界150カ国以上で販売されている。