バルミューダのスマホ、一足先に触ってみた。強気な価格、使い勝手は?

バルミューダが作る初めてのスマホ「BALMUDA Phone」が発表されました。メーカー版の価格は10万4800円で、ソフトバンク版は14万3280円となかなか手を出しづらい価格。その性能、機能は?解説します。
Engadget 日本版

トースターや扇風機でおなじみのバルミューダが作る初めてのスマホ「BALMUDA Phone」が、ついに発表されました。手にフィットすることを重視して、4.9インチのディスプレイを採用。直線を使わないデザインや、独自開発の基本アプリが主な特徴です。そんなBALMUDA Phoneを一足先に触ることができたので、ここでは写真とともに実機レポートをお届けします。

まずは、そのデザイン。実機は、写真で見る以上にキレイな丸みがあり、かわいらしい雰囲気があります。コロッと丸みを帯びていて、4.9インチとコンパクトなため、大型のスマホに慣れた人にとっては持ちやすいと感じるはず。俯瞰で撮った写真では、あまりデザイン性が伝わりづらい印象も受けました。

▲4.9インチで手にフィットするサイズ感
▲4.9インチで手にフィットするサイズ感
Engadget 日本版

背面はご覧のとおりで、カメラと指紋センサーと一体になった電源キーが上部に配置されています。ザラッとした加工が施されているため、触り心地もいいスマホです。バルミューダによると、経年変化で“味”が出るような特殊な加工が施されているとのこと。実機は新品で、どのような味が出るのかは未知数ですが、デニムやレザー製品のように育てる楽しみがあるものを目指したといいます。

▲背面は大きく丸みを帯びたデザイン。ザラッとした質感で、指紋センサー兼電源ボタンも背面に配置されている
▲背面は大きく丸みを帯びたデザイン。ザラッとした質感で、指紋センサー兼電源ボタンも背面に配置されている
Engadget 日本版

少々気になったのは、電源キーの位置。左手で持つと、人差し指の位置を少しずらすだけで触ることができますが、右手で持った際には反対側まで指を動かさなければなりません。両利き(より正確に言うと、字を書くときや食事のときなどシーンによって利き手が異なる)の筆者の場合、スマホを左手で操作することもあるのでいいのですが、右利きの人はちょっと操作がしづらいかも……と感じました。

大胆にカスタマイズされたホーム画面

ソフトウェアに独自のカスタマイズを施している端末ですが、OSは比較的ベーシックなAndroid。ホーム画面とアプリのドロワーがある点は変わらず、画面を戻るときの操作には、Android 10以降標準になったゼスチャー操作が採用されています。

▲UIの基本はAndroidを踏襲。設定メニューも、Androidを使ったことがある人にはおなじみのもの
▲UIの基本はAndroidを踏襲。設定メニューも、Androidを使ったことがある人にはおなじみのもの
Engadget 日本版

少々変わっているのが、ホーム画面の2画面目以降です。1画面目は普通にアプリが並ぶいつものホーム画面ですが、2画面目からはスケジュールや時計など、バルミューダ—が独自に開発したアプリが、丸ごと表示されます。

これは画面全体がウィジェットのようなもので、タップしてアプリ本体を起動させることも可能。かつて、KDDIとLGが共同で開発したisaiが近いUIを採用していましたが、ベーシックな機能をすぐに呼び出せるメリットがあります

ただ、画面を左右にフリックする回数が増えてしまうぶん、慣れてくるとまどろっこしく感じるかもしれません。そのため、2画面目以降の「Tools」に何を表示するかは、設定で変更ができるようになっています。順番の入れ替えも可能。ここまで大胆にホーム画面をカスタマイズしてくるAndroid端末は最近少なくなっているので、どことなく懐かしさも感じました。

▲ホーム画面の2画面目以降に、ベーシックなツールを配置できる。設定でオン・オフを選択可能
▲ホーム画面の2画面目以降に、ベーシックなツールを配置できる。設定でオン・オフを選択可能
Engadget 日本版
▲ツール以外には、デザインのカスタマイズも可能
▲ツール以外には、デザインのカスタマイズも可能
Engadget 日本版

個人的には、端末の画面サイズやデザインに合わせた最適解があると考えているため、こうしたカスタマイズは大歓迎。BALMUDA Phoneの場合、ピンチイン・ピンチアウトで簡単にスケールを変更できるスマホらしさを生かしたスケジューラーや、「億」や「万」といった日本語で単位を入れられる電卓にオリジナリティがあり、使い勝手がよさそうだと思いました。

Engadget 日本版
▲縦が日付、横が時間のカレンダー。スケールの変更も簡単に行える
▲縦が日付、横が時間のカレンダー。スケールの変更も簡単に行える
Engadget 日本版
▲電卓は億や万といった単位の表示が可能。通貨換算機能も搭載
▲電卓は億や万といった単位の表示が可能。通貨換算機能も搭載
Engadget 日本版

メモアプリもUIに凝った作りで、縦一列にメモのタイトルが並ぶのではなく、グラフィカルに1つ1つのメモを表示する仕様。写真を張り付けておいたメモなどが見つけやすく、文字のみのメモもある程度中身が分かるので、使い勝手はよさそうです。時計やサウンドにもこだわって開発されているところも、バルミューダらしさと言えそうです。

Engadget 日本版
▲時計やメモアプリもオリジナル
▲時計やメモアプリもオリジナル
Engadget 日本版

カメラは、非常にシンプル。最近では珍しいシングルカメラ仕様で、設定項目もほとんどありません。立ち上げると、シャッターボタンだけが表示される潔さ。メニューを出すと料理モードや夜景モードに切り替えることはできますが、多機能化したスマホのカメラの中ではかなりシンプルな作りです。

▲カメラは非常にシンプル
▲カメラは非常にシンプル
Engadget 日本版
▲料理モードや夜景モードなどにも対応する
▲料理モードや夜景モードなどにも対応する
Engadget 日本版

ただし、画質は未知数。カメラが売りの端末ではなく、仕様的にも突出した機能はなさそうです。マルチカメラやコンピューテーショナルフォトグラフィーを駆使して、時にはデジカメ以上の画質を実現している昨今のハイエンドスマホと比べると、この点は物足りなさが残る可能性はありそうです

気になったのは、その価格です。バルミューダ自身が販売するメーカー版の価格は10万4800円で、ソフトバンク版は14万3280円と、ハイエンドスマホに匹敵する価格設定です。一方で、端末のスペックはミドルハイで、同程度のスマホは中国メーカー製なら4万円ほどで手に入ります。バルミューダのブランド力や、独自性のあるデザインを考慮したとしても、かなり強気な価格設定と言えるでしょう。

こうしたスマホと比べて1、2万程度の上乗せなら飛びついかもしれませんが、倍以上となるとかなり悩ましいのではないでしょうか。おいしいトーストが焼けるだったり、自然な風が送り出せるといった一点突破の分かりやすい特徴もないだけに、なかなか手を出しづらい価格だと感じました。

注目記事