19歳の大学生、ウクライナの避難民が滞在場所を探すためのサイト設立。「彼らの手に力を取り戻す」

ハーバード大学の2人の学生がわずか3日間で立ち上げた「Ukraine Take Shelter」。すでに多くの人が利用しています。
学校の体育館に避難しているウクライナの家族(ポーランド・プシェミシル、2022年3月11日)
学校の体育館に避難しているウクライナの家族(ポーランド・プシェミシル、2022年3月11日)
Sean Gallup via Getty Images

ロシアの軍事侵攻を受けて、ウクライナからたくさんの人たちが近隣諸国に避難する中、滞在場所を探したい避難民と、滞在場所を提供可能な人をつなげるウェブサイトができた。

サイトを作ったのは、ハーバード大学の2人の学生だ。

わずか3日間でサイトを立ち上げた

ウェブサイトの名前は「ウクライナ・テイク・シェルター(Ukraine Take Shelter)」。

滞在できる場所を探しているウクライナの人たちは、その時点で自身が避難する最寄りの都市の名前を入力する。

近隣諸国などで滞在場所を提供できる人たちは、住んでいる都市や受け入れ可能な人数、連絡先を入力する。ペットの滞在も許可するかや、ホストの言語能力といった情報を表示することも可能だ。

19歳のアビ・シフマンさんは2月末にこのアイデアを思いついた。同級生であるマルコ・バースタインさんと共に、わずか3日間でサイトを立ち上げた。

英紙インディペンデントに対し、シフマンさんは「避難している人たちが、滞在できる場所を見つけられるようサポートするツールが不足している」と立ち上げの理由を説明した。

国連難民高等弁務官事務所によると、この2週間で周辺国に逃れた人は250万人に達しているという。

爆撃の中で祖国を離れ、混乱や恐怖を感じながら、慣れない地に避難しているウクライナの人たち。

現状では、難しい用語が並んだ避難先の政府のサイトにアクセスし、滞在する場所を探す必要があるなどの問題点をシフマンさんは指摘した。

コロナ統計情報サイトも立ち上げていた

シフマンさんは過去にも、世界的に役立ったウェブサイトの設立を経験している。

2019年に立ち上げた「nCoV2019.live」という新型コロナウイルスの統計情報サイトだ。

世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)、各政府機関のデータに基づき、世界各国の新型コロナウイルスの感染者数やワクチン接種のデータを一覧にしたもので、情報は随時更新されている。

このサイトを立ち上げた当時は、17歳の高校生だった。

INSIDERの2020年3月の記事によると、このサイトには毎日約3000万人が訪問した。優れたインターネットのコンテンツに贈られる、アメリカの「ウェビー賞」を受賞した

ウクライナの人たちの手に力を取り戻す

CBS Bostonによると、ウクライナ・テイク・シェルターは12以上の言語に翻訳されていて、3月11日までに4000人以上のホストが提供できる滞在場所のリストを投稿した。避難をしている多くの人たちが、その情報をサイトを通して見ている。

シフマンさんはインディペンデントに対し、このサイトを通して無力感を持っている人たちの手に「力を取り戻すことになる」と述べた

「彼らは非営利団体や政府によるマッチングを待つのではなく、リストを見て、自ら選ぶことができます。彼らは自分たちの主導権を持ってサイトにアクセスし、自分たちのためにリストを見つけることができます」

注目記事