『Dappi』投稿者への社内調査、報告書作成せず。「業務性」めぐり平行線(第6回口頭弁論)

立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員が「ツイートは事実ではなく名誉毀損にあたる」と訴えた裁判の第6回口頭弁論が9月30日、東京地裁でありました。
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Twitterアカウント『Dappi』
Twitterアカウント『Dappi』
Twitterアカウント『Dappi』 / @dappi2019

匿名のTwitterアカウント『Dappi』による投稿で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之参院議員、杉尾秀哉参院議員が東京都内のウェブコンサルティング会社に対し、計880万円の損害賠償などを求めた訴訟の第6回口頭弁論が9月30日、東京地裁(新谷祐子裁判長)であった。

この訴訟で両議員は、森友学園をめぐる公文書改ざん問題に関連した『Dappi』の投稿について、「事実ではなく名誉毀損にあたる」と訴えている。

これまでに被告側は、「投稿は従業員が私的にやったこと」とし、会社の業務としては行っていないと主張。投稿者を減給3カ月の懲戒処分としていた。投稿者の氏名については開示していない。

この日、被告側は代理人が出廷。原告側からの求めに対する準備書面を陳述し、従業員への懲戒処分は口頭で伝えたことや、被告企業の社長による従業員へのヒアリング結果をまとめた書面での報告書は作成していないことなどを明らかにした。また、2021年11月〜2022年3月の従業員の給与明細の写しを証拠として提出した。

原告側は被告側に対し、懲戒処分の真偽などを確認するため、社員に支払う賃金の支払状況を記載する「賃金台帳」などの文書の提出を求めていた。

原告側代理人によると、被告企業は2021年4月に投稿者を特定していたが、その後は「会社の業務に支障を来さないよう」注意をするにとどめていた。『Dappi』の投稿は2021年10月まで続いており、被告側は「11月に懲戒処分をした」としているが、原告側は被告による懲戒処分の真偽や、4月以降の投稿を黙認していたのかどうかを明らかにしたい考えだ。

被告側代理人はこの日、記者団の取材に応じ、投稿を業務としてやっていたのかどうかを争う姿勢を改めて示し、「投稿内容が名誉毀損に当たるか当たらないかというのは基本的には会社としては関知する話ではないが、法律論として踏み込むのかどうかは検討する必要がある」と述べた。また、「(投稿していた従業員は)会社に迷惑をかけているのは反省していると思う」とし、なぜ投稿を行ったのかについては把握していないとした。この従業員は現在も在籍しているという。

一方、原告側代理人は記者団の取材に対し、「業務時間中に会社からアクセスして(投稿を)していることや、これまでの被告側の主張が一般的なのかどうかという点を反論していきたい」「ヒアリングの報告書も、懲戒処分の通知書もないということなので、普通の会社でそういう状況で減給処分をするのか。本当にその処分はあるのか、という主張はしていく」と述べた。

次回の口頭弁論は11月25日を予定している。

これまでの経緯は?

(左から)小西洋之氏、杉尾秀哉氏
(左から)小西洋之氏、杉尾秀哉氏
時事通信社

小西議員らはこの訴訟に先立ち、『Dappi』の発信者情報の開示をプロバイダに対して求めた訴訟を起こし、東京地裁に開示が認められていた。投稿に使われたインターネット回線の契約者として開示されたのが、このウェブコンサルティング会社だった。

訴状によると、『Dappi』は2020年10月25日、森友学園をめぐる公文書改ざん問題について、「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」などと投稿。小西議員らはツイートの内容は事実ではなく、名誉毀損にあたると訴えている。

第1回口頭弁論は2021年12月10日に東京地裁で開かれたが、被告は出廷しなかった。関係者によると、被告は答弁書で、原告の被告に対する請求をいずれも棄却すること、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、請求の原因に対する認否については追って調査の上行う、とした。

2022年2月28日にあった第2回口頭弁論にも被告は出廷しなかったが、「従業員が私的にやったこと」などとする準備書面を提出。4月11日の第3回口頭弁論には被告側の代理人が出廷し、「従業員は就業規則違反によりしかるべき処分をした」などとする準備書面を陳述した。

5月27日の第4回口頭弁論では、被告側代理人が出廷し、会社支給のパソコンを使って投稿をしていたことのほか、投稿者に「減給3ヶ月の懲戒処分をした」と明らかにした。8月22日の第5回口頭弁論では被告側代理人が、従業員を含む会社の業務内容や勤務体制などを明らかにし、「テレワークを推進していたため出社していたのは平均2、3人だった」とした。

争点は?

被告はこれまでに、従業員が投稿していたことは認めたものの、「私的にやったこと」などと主張。一連の投稿は、会社とは無関係だと主張している。

一方原告側は、『Dappi』の投稿は平日に集中し、土日にはほとんど投稿がなされていないことなどから、「投稿の頻度や内容からして、勤務時間内に片手間にできるものではない」と主張している。

争点となっている、会社の業務としてやっていたのかという「業務性」が注目されているのは、このウェブコンサルティング会社と自民党とのつながりが指摘されているためだ。

自民党の閣僚経験のある衆院議員が代表を務める資金管理団体の政治資金収支報告書によると、「ホームページメンテナンス」や「Webサイト制作費」などの目的でこの会社との取引があった。

『Dappi』とは?

『Dappi』のTwitterアカウントは2019年6月に開設されて以来、5000件を超える投稿をしている。プロフィール欄には「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです。国会中継を見てます」とつづり、野党議員やマスコミの批判を繰り返し発信していた。

フォロワーは9月30日現在で約17万3000人。アカウントは現在も残ったままだが、発信者情報の開示請求が認められた後の2021年10月1日、菅義偉首相(当時)の投稿をリツイートして以降、更新されていない。

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