「運営者がトトロなん?」「ジブリ的」博物館で観覧者数をカウントする方法が牧歌的すぎると大反響

煮沸や冷凍などの処理をした上で、傷んでいない状態の“あれ”を使っている

「府中市郷土の森博物館、企画展の来場者調査がなんとも牧歌的」

そんなコメントともにTwitter上に投稿された1枚の写真が注目を集めている。

「観覧者数をカウントしています」と書かれたメッセージボードの側には、バスケットとアクリルのケースが2つ。ケースにはそれぞれ「大人」と「こども」に分けるシールがついている。来場者がバスケットの中の“あれ”をケースに入れることで、人数をカウントできる仕組みだ。

では、一体何を入れるのかーー

「どんぐりをいれてください」

そのメッセージが促すように、バスケットには山盛りのどんぐり。そばにあるケースには、確かに大人や子どもの人数を示すかのように、どんぐりが数個入っている。

このなんとも「牧歌的」な様子を写した写真に対し、1万件以上のリツイートと6万件以上の「いいね」が寄せられた。

「こういうの大好き」「どんぐり入れに行きたい」と興味津々のコメントが相次いだ。「ジブリ的」「(博物館の)運営者がトトロなん?」と森や田舎風景を描いたスタジオジブリのアニメ映画『となりのトトロ』の世界観と結びつける声も上がった。

ハフポスト日本版は、どんぐりによるカウントを実施した東京都府中市の府中市郷土の森博物館の学芸員に、詳しい話を聞いた。

「どんぐりでカウント」すでに終了しているものの…

どんぐりで観覧者数をカウントしたのは、9月中下旬に開催していた展示会。チケットなしで無料で出入りできる企画だったため、来場者数を調べるのにひと工夫が必要だった。そこで、来場者自身にどんぐりをケースに入れてもらう方法をとったのだという。

「実は、もう何年も前からこの方法を採用していて、正確にいつから始まったのかは博物館のスタッフの誰も覚えていませんでした。

『郷土の森博物館』なので、子ども時代の懐かしい気持ちになるようなものを使おうという意図だったのだろうと思います。

どんぐりの他に、おはじきを使う場合もあり、どちらにするかは担当者次第で決まります」

Twitterに投稿された写真が撮られた展示会はすでに終了している。館内では現在、おはじきを使ってカウントする別の展示会が実施されているという。今後、新たな展示会が実施される場合は、再びどんぐりを使う場合があるそうだ。

秋だけでなく、春、夏、冬にも、どんぐりを出すことがあるという。

「どんぐりは毎年秋に採集するのではなく、以前に博物館の敷地内で拾い集めたものを保管して、毎回使うことにしています。

どんぐりから虫が出ないように、煮沸や冷凍などの処理をしています。傷んでおらず、きれいな状態のものを使うようにしています」

博物館としては、どんぐりを使った人数調査は「いつものルーティン」だそうで、Twitter上で大きな注目を集めたことには驚いたという。

「『ほっこりした』という声や、『郷土の森のイメージにぴったりの取り組みだ』というコメントがあり、うれしかったです。

博物館では今後もどんぐりが登場する機会があるので、楽しみにしていてください」

〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉

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