春の汗は1年で一番臭いがきつい。原因は“アレ”。臭いを抑える効果的な予防策とは

もともと汗はほとんど臭いません。ではなぜ、春の汗は臭いに注意した方がよいのでしょうか。
ウェザーニュース
春の汗は、夏ほど悩まされることは少ないのですが、臭いには注意した方がいいといいます。

「春先はまだ休眠汗腺が多くなっている方が多く、ベトベト汗をかきやすい」と、東海大学理学部化学科教授の関根嘉香(よしか)先生は説明します。詳しく教えていただきましょう。

もともと汗はほとんど臭わない?

春は、寒暖差などで服装の調節が難しかったり、夏を思わせる日差しになるなど、汗をかくことが意外に多いものです。そこで気になるのが汗の臭いです。

「もともと汗はほとんど臭いません。しかし汗の水分には、ミネラル、ぶどう糖、アミノ酸、乳酸や尿素などの微量成分が含まれています。このような微量成分が皮膚の常在菌の働きによって分解されると、体臭のもとになる『皮膚ガス』が発生します。

例えば、汗中の乳酸が分解されるとジアセチルという皮膚ガスが生成し、“臭う”もととなるのです。ちなみに、ジアセチルは、30~40代の男性から比較的多く検出されます」(関根先生)

春に注意したいベトベト汗とは?

ではなぜ、春の汗は臭いに注意した方がよいのでしょうか。

「人は汗をかいて体温調節をしています。ただし、人の皮膚の表面にある汗腺は常に全てが働いているわけではなく、休んでいる汗腺『休眠汗腺』があります。

冬の寒い時期や運動不足の場合は、休眠汗腺の割合が多くなります。その状態で汗をかくと、一部の汗腺からまとめて汗が出るため、ナトリウムイオンなどのミネラルなどを多く含んだ『ベトベト汗』になってしまいます。

ベトベト汗は乾きにくいため、皮膚に長時間残留します。またミネラルの影響により、酸性の汗が少し塩基性側に傾くことになります。皮膚常在菌はこのような環境を好む傾向があり、皮膚常在菌の活動や繁殖が盛んになり、汗の成分が分解され皮膚ガスが発生しやすくなるのです」(関根先生)

生活や環境の変化の影響もあるようです。

「春は新しい生活がスタートする時期です。新しい環境に対して緊張や不安を覚えると交感神経が優位になり、精神性の発汗が生じることがあります。このような状況では、刺激臭を伴うアンモニアが発生しやすくなります」(関根先生)

効果的な“春の汗”対策

臭いがきつくなりやすいベトベト汗をかかないためには、汗腺を鍛えることが有効だといいます。

「適度な運動をして汗をかくことで、汗腺を衰えないようにすることです。お風呂では湯船に浸かることで汗をかくのも役立ちます。約41℃のお湯に15分程ゆっくり浸かります。

2、3週間続けると汗腺が鍛えられ、サラサラの汗がかけるようになります。お風呂はストレス解消にも役立ちます」(関根先生)

汗をかいたら、放置せず拭きましょう。

「ポイントは、濡れたハンカチやタオルで拭くことです。汗は蒸発することで体温を下げるものなので、乾いたものでふくと体温が下がらずさらに汗をかいてしまいます。濡れた布ならば、汗を拭き取っても適度に肌に水分が残り、新たな汗をかきにくくなります」(関根先生)

臭いの強くなりやすい足にも注意したいといいます。

「靴を履いた時に蒸れが生じると、皮膚の常在菌の働きによりイソ吉草酸という強烈なニオイを有する皮膚ガスが発生します。足のニオイ対策で大事なのは、足の清潔を保つこと。余分な角質は常在菌の餌になるので、時々ケアしましょう。

さらには靴選び。足から出た汗を早く逃がし、蒸れた状態を作らないことが大事です。本革や布製の靴は比較的蒸れにくいです」(関根先生)

自分のペースを乱さず過ごすことも大切なようです。

「緊張や不安があると、精神的な発汗が増え、臭いのもととなります。リラックスして副交感神経が優位になると、アンモニアの発生は減少しますので、ご自分にあった方法でリラックスを試みると良いでしょう。

また、暴飲暴食など食生活の乱れは腸内環境を悪くし、皮膚ガスが発生しやすくなります。ストレスをためない、十分な睡眠を確保するなど、規則正しい生活を心がけましょう」(関根先生)

この春を爽やかに過ごせるよう、汗のケアをしていきましょう。


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