ワークマンが平均5.1%賃上げ実施へ。このまま円安続けば「物価に賃上げが追いつかない」と懸念も

賃上げ幅については、社内で「3%」が妥当と議論した後、それを上回る引き上げを決めました

作業服大手ワークマンが「社員の生活をインフレから守るため」とし、社員とパート社員を対象に賃金を平均5.1%引き上げる。2024年4月から実施する。

ワークマンは「ワークマン」(419店)、オリジナルのプライベートブランド(PB)の「ワークマンプラス」(541店)、女性向けアウトドアウェアなどを扱う「#ワークマン女子」(43店)を全国展開している。

同社の発表によると、業績や消費者物価指数の伸びを踏まえ、賃上げ幅は当初「3%」を軸に議論していた。しかし、食品やガソリンなどの物価上昇に従業員が対応できるようにするには5%以上の賃上げが必要との判断になったという。

賃上げの対象者は、社員とパート社員約460人

円安で経営環境は厳しい

ワークマンの経営環境は足元の円安によって厳しさを増している。円相場は11月13日に対ドルで一時151円台をつけるなど円安が続いている

同社が11月6日に発表した2023年9月中間決算は、売上高は前年同期より8.9%増えて655億円となったが、純利益は同1.9%減の76億円だった。他社との競争環境の激化のほか、円安によって仕入れ価格が高騰していることも影響している。

「背伸び」の賃上げのわけ

それでも同社が賃上げ幅を「背伸び」して5.1%に決めた背景には、食品がガソリン代などの物価上昇が従業員の家計を苦しめていることがある。

家庭で購入するモノやサービスの価格の変化を示す9月の「消費者物価指数」(総務省統計)を見ると、値動きが大きい生鮮食品を除いた指数が前年同月より2.8%上昇した。これについてワークマンは「政府統計のインフレ率には値上げが著しい生鮮食品が入っていない。社員の生活をインフレから守るためには5%以上の賃上げが必要との結論になった」としている。

「#ワークマン女子」の出店が進み、新たな成長が見込めることも、賃上げ幅の押し上げにつながっているという。

ただ、5%ほど賃上げしても食品などの値上げ分を補うには足りないと同社はみており、極端な円安が続けば物価上昇に賃上げが追いつかないとの懸念を示している。

円安への対応として、赤字になるPB製品の価格見直しなどに2024年7月から着手する。

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