「更年期には気分が深く落ち込んだ」フリーアナウンサー堀井美香さんが嬉しかった夫の言葉とは

更年期による気分の落ち込みに苦しんだフリーアナウンサーの堀井美香さん。堀井さんが「嬉しかった」と振り返る、家族の気遣いとは?
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Fiordaliso via Getty Images
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「更年期には気分が深く落ち込みました。でも、しばらくは更年期によるものだと自覚できていなくて、誰にも言えず我慢しながらやり過ごしていたんです」と語る、フリーアナウンサーの堀井美香さん。

「誰もが心身の不調を無理に我慢することなく、心地よく生きられる健やかな社会を目指す」をテーマに掲げた、ツムラの「#OneMoreChoice プロジェクト」。音声プラットフォーム「Voicy」とのコラボレーション企画で、堀井さんとパーソナリティのoishi haruさんが更年期トークを繰り広げました

「隠れ我慢」を続ける日々

現在51歳の堀井さん。数年前の更年期には、ホットフラッシュのようなわかりやすい症状はなく、ひたすら気分が落ち込んだそうです。

「当時は原因がわからなかったうえに、病院に行くなどして対処しなければという意識もなくて、ただ我慢していました。私の場合、家では沈み込んでいたのですが、かろうじて出勤して仕事をこなすことはできていて。とはいえ無理をしているので、帰宅するとぐったり…という日々が続いていました。

職場の人間関係は良好だったので、周りの人に相談しようと思えば、相談することはできたはずなんです。でも、つい無理して頑張ってしまって、どうしても誰にも『つらい』と言えなかったんですよね」

ツムラが2023年に行った「男女の更年期に関する実態調査」でも、85%の男女が体調不良の際に「隠れ我慢」をしていることがわかっています。いちいち人に症状を開示しない。自分が我慢すればいい━━。堀井さんはその典型例でした。

そんな堀井さんですが、あるとき職場の先輩に気分が落ち込むことを打ち明けたところ、「それは更年期のせいだよ」と指摘を受けます。そこから更年期について学び、自分の悩みが更年期によるものだと自覚したことで、向き合えるようになったといいます。

「更年期だと指摘してもらったことで、モヤモヤとしていた悩みにラベルが貼られた気がして、すごくスッキリしたんですよね。『その先』を考えるスタートラインにようやく立つことができて、希望が見えました。原因がわかったら、症状について周囲に開示しようという気持ちにもなれて、一気に楽になりました」

「私がいなくても家族は大丈夫」

前出の調査によると、更年期症状で悩む女性がもっとも求めるものは「休息」。堀井さんも、更年期で気分が落ち込んでいた時期は「ひとりになりたい」「そっとしておいてほしい」と感じていたそうです。

「更年期のせいで落ち込んでいるとは家族もわかっていなかったと思いますが、落ち込む私が安心してひとりで過ごせるよう、配慮してくれたのが嬉しかったですね。

精神的にとてもつらかったときも、夫が『ひとりでホテルでゆっくりしてきたら』と送り出してくれて。2週間ほど、ホテルやカプセルホテルに泊まったんですけど、荷物を取りに帰ったら家が綺麗に片付いていたんです。『私がいなくても家族は大丈夫なんだ』と、すごくホッとしました」

ただし、現実にはすべての更年期女性が家族や職場の理解を得られるとは限りません。「家事や仕事が思うようにできない」という悩みを抱えながら、それでもなんとか頑張るしかない状況に追い込まれている人もいるでしょう。

「更年期の体調には波があることも多いです。しばらく自分の症状を観察していると、徐々に波をつかめるようになっていくと思います。波をつかめたら、調子のいいうちに家事をまとめてやっておくなど、調子を崩したときのための対策をしておくといいですね。

あとは、かかりつけ医を持つのも大切です。お医者さんによると、できれば更年期が訪れる前、40歳をすぎたくらいには婦人科に通うのがおすすめだそうです」

ときには「引き算」の気遣いも

「更年期症状に悩む身近な人を支えたい」という人に対しては、自分の経験を振り返りつつ、こんなアドバイスを送りました。

「症状がつらいときは、『気晴らしにごはんでも行こう』と言われるよりもそっとしておいてほしい人もいますよね。何かためになることをする、心に響く言葉をかけるといった『足し算』の気遣いよりも、本人が心地よく過ごせる環境を整えてあげるような『引き算』の気遣いの方がありがたいこともあります。

どうしたら本人のためになるのか、よく考えてサポートできたらいいですよね」

また、閉経と結び付くことから「セクシャルな話」というイメージを持たれることもある更年期の話題を、包み隠さずみんなで語り合えるものにしていきたいと語る堀井さん。

「タブーではなく、プラスで明るいもの、『新たな人生がスタートする節目』というイメージが広がれば、症状に悩んでいる人が更年期のことを開示しやすくなると思うんです。生理の話題も徐々に市民権を得ていったので、更年期の話題も同じように、どんどんオープンになっていってほしい、そのためにできることをしていきたいと思っています」