「9時5時の仕事なんて無理」とZ世代。でもそれは甘えではない【2023年回顧】

新卒の女性が社会人生活の現実に直面し、嘆いている海外動画が話題となった。人々の意見は分かれたが...
東京の通勤ラッシュ
ooyoo via Getty Images
東京の通勤ラッシュ

※2023年にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:11月28日)

新卒の女性が社会人生活の現実に直面し嘆く、海外の動画がこのところ話題になっている。

TikTokerのブリエルさんは動画で、9時から17時までの仕事スケジュールは「クレイジー」だと言い、ジムに行く体力もデートする時間もない、と涙目で嘆いた。

(※Update:その後、ブリエルさんは12月半ばにTikTokを投稿。その仕事から解雇されたことを明かした)

このZ世代の訴えを、一部の人は嘲笑った。「この世代は完全に破滅してる。9時〜5時の仕事くらいで精神崩壊してるんだから」とコメントする人もいた。

一方、多くの人がブリエルさんを擁護した。

「9時5時の仕事で泣いてる女性を馬鹿にしながら、長い間どれほど多くの時間を労働に捧げてきたかを自慢する人たちは、本当に哀れ。的外れだし、みんなの状況を悪化させてる」

「資本主義に一生を捧げることに怒っている女性をなぜ批判するの?現実はもはや9時5時ですらない、8時5時プラス通勤だ。そんなのおかしい。みんな女性と一緒に泣くべきだ」

@brielleybelly123

im also getting sick leave me alone im emotional ok i feel 12 and im scared of not having time to live

♬ original sound - BRIELLE

実際に、「現実の生活」は最悪なものかもしれない。私たちの多くはジムに行ったり、栄養バランスのとれた夕食を作ったりする時間はない。

仕事が体に及ぼす危険は近年減ったかもしれないが、仕事の密度は増しており、メンタルヘルスに大きな悪影響を及ぼしている。だから、ブリエルさんも私たちも、みな大変だと感じるのは当然だ。

では、9時5時の働き方はもう時代に合わないのだろうか?もしそうなら、より公平な働き方を阻んでいるものは何なのか?

Z世代が直面している困難は否定できない。生活費危機が夢のキャリアへの道を脅かし、強い倫理観が、それを逸脱した行為をとることを阻む中、職場で前向きに頑張ることは難しくなっている。

何ができるのか?

そんな中、イギリスでは今年2023年に新たな「雇用関係法(フレキシブル・ワーキング法)」が成立した。

政府はフレキシブル・ワーキングを「始業・終業時間を柔軟にしたり、リモートワークを認めるなど、従業員のニーズにあった働き方」と説明している。

つまりイギリスでは、労働者は勤務初日から柔軟な勤務形態を要求する権利がある。また雇用主はいかなる要望も考慮し、拒否する前に合理的な理由を提示することが義務付けられている。

しかし、この法整備があってもフレックス制が認められる保証はなく、特に会社が申請を却下する「正当な業務上の理由」がある場合はなおさらだ。この決定を不当と感じたら法廷に訴えることができるが、調停や仲裁に関する公的サービス機関Acasは「時間がかかり、関係者全員にとって困難」であると助言している。

現在、イギリスで働く人の51%がフレキシブルな働き方をしていると答えており、CIPD(イギリス人事教育委員会)は、この数はさらに増えると予測している。CIPDは、過去6カ月の間に3分の1以上の企業でフレキシブルな働き方への要望が増加したと報告している。

フレキシブルな働き方は減速する兆しはなく、生産性と雇用維持の両面で効果的であると証明されている。

しかし、ポジティブな面はそれだけではない。

様々な労働者が働くために

作家でフレキシブル・ワーキング法の成立に大きく関わった活動家でもあるアナ・ホワイトハウス氏は、朝番組のインタビューで以下のように語った。

「私はこれを、インクルーシブ・ワーキングと呼びたいです。介護の責任がある人や、障がいがある人も会社で働けるようにしていますか?可能な限り誰もが働けるように努力していますか?と」

ホワイトハウス氏は、インクルーシブ・ワーキングを実践することは、ビジネスの利益にも繋がると話す。

ホワイトハウス氏はまた、育児がどれだけ感謝されないかをInstagramに投稿した。

「雇用格差を正常化する時が来ました。パートタイム労働者を評価(そして昇進)する時です。誰かの世話をするのは仕事からの『タイムアウト』ではありません。疲労や空腹、欲求よりも優先し、次の世代を育てるための投資なのです」

ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。