「容認できる値上げではない」。戦う仏スーパーのカリフールが飲料・食品メーカー大手ペプシコ商品を販売中止

フランス大手スーパーのカリフールが仕入れ価格の上昇に対し、飲料・食品メーカー大手に「NO」を突きつけました
フランスのスーパー大手「カリフール」の店舗
フランスのスーパー大手「カリフール」の店舗
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食料品から住宅価格まで、あらゆるモノの値段が上がっている。日本では2023年は「過去30年で記録的な値上げラッシュ」(帝国データバンク)と言われるほど、ものすごい勢いで幅広い食品が値上げされた。

モノやサービスの価格が上がることが続くインフレは世界中で起きている。

「節約の努力では追いつかない」など、多くの人が値上がりの負担に苦しんでいる。そんな中、フランスのスーパー大手カリフールが仕入れ価格の上昇に「NO」を突きつけ、話題になっている。飲料・食品メーカー大手ペプシコのグループによる値上げに対し、カリフールは「受け入れられない」とし、ペプシコ商品の販売中止を決めた。

AP通信によると、カリフールが取り扱いをやめるのは「ペプシコーラ」や「レイズ」(ポテトチップス)、「クエーカーオーツ」、「リプトンアイスティー」などのペプシコ商品。フランスをはじめ、ベルギー、スペイン、イタリアが対象という。カリフールの公表資料によると、同社はこの4カ国で全体の7割近くを占める9536店舗を展開している。

カリフールは1月4日、「容認できない値上げのため、このブランド(ペプシコ)の商品の販売をやめます」という案内を店内に貼り出した。店頭の商品がなくなりしだい、販売中止となる。

ペプシコグループの商品が販売中止になったフランス・パリにあるカリフールの店舗
ペプシコグループの商品が販売中止になったフランス・パリにあるカリフールの店舗
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買い物客の1人はカリフールの対応について「まったく驚きではありません。価格が上がりすぎているので、たくさんの商品が売れ残ることになると思います。買わなくても困らない商品ばかりです」とロイター通信の取材に答えている。

ペプシコ商品の取り扱いをやめることによる客への不便をわびる文言とともに、「カリフールは価格の引き下げに取り組んでいます」という値上げ阻止への意気込みが掲げられている

カリフールは大手食品メーカーによる値上げに屈さず、抵抗を続けてきた小売りとして知られている。2023年9月には店頭に「シュリンクフレーション」についての警告を貼り出した。シュリンクフレーションとは、商品の価格は据え置きながらも内容量を減らす実質値上げのことだ。

カリフールはこの時、ペプシコやユニリーバ、ネスレなど食品大手の26商品で実質値上げが行われているとして、「ビエネッタ」や「リプトンアイスティー(ピーチ)」などの商品名を公表した

2024年、日本でも食品値上げは続く

日本でも2023年は、いろんな食品で値上げが相次いだ。帝国データバンク(TDB)によると、その数は3万2396品目(12月29日時点)にのぼる。年間3万品目を超す値上げはバブル崩壊以降の30年間にはない水準とし、「記録的な値上げラッシュ」だという。

2024年は最大で1万5000品目ほどで値上げが行われるとTDBは予想している。前年に比べると、ラッシュ感は減るものの、値上げ率は過去2年よりも高い水準となりそうだ。

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