日本エヤークラフトサプライは2月9日、イスラエル軍事大手「エルビット・システムズ」との協力覚書(MOU)を2月末をめどに終了すると公式ホームページで発表した。
協力覚書締結の経緯や内容、人権方針について、日本エヤークラフトサプライはハフポスト日本版の取材を拒否した。
日本エヤークラフトサプライと同時期に、子会社を通じてエルビット・システムズと協力覚書を締結していた伊藤忠商事も5日、契約を2月中をめどに終了すると発表していた。
伊藤忠商事はハフポスト日本版の取材に、「伊藤忠アビエーションとELBIT社とのMOUは、防衛省の依頼に基づいた、日本の安全保障に必要な自衛隊の防衛装備品の輸入を目的とした提携」だと説明。
その上で「イスラエルとパレスチナ間の紛争に一切加担するものではない」との見解を示した。
伊藤忠商事に対する装備品の輸入依頼の有無について、ハフポストは防衛省にコメントを求めている。回答があり次第、追記する。
学生若者有志らが署名や抗議活動
両社は2023年3月にエルビット・システムズと協力覚書を締結。これに対し、「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」らは「パレスチナの虐殺に加担している」として、契約破棄を求める署名や抗議活動を同年12月から行ってきた。
日本エヤークラフトサプライが協力覚書終了を発表した9日にも、東京本社前や名古屋支社前などで抗議活動が行われ、東京本社前には約120人が集まった。
<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会の皆本夏樹さんは、「問題はエルビット・システムズとの提携だけではない」と指摘。
「日本エヤークラフトサプライの北関東工場のホームページには、パレスチナ人を実験台にして開発した武器が製品として一覧に並んでいます」(皆本さん)
同社の取引実績の一番上には防衛省の名前がある。皆本さんは、「パレスチナ人を虐殺している武器を日本の自衛隊が使っているということです。日本エヤークラフトサプライは死の商人です。全てのイスラエル企業との提携を終了することを求めます」と訴えた。
実際に「ドットサイト」の製品ページを見てみると、「1990年の創設以来、イスラエル国防軍正式採用の小火器用照準器として常に第一線で使用。高い堅牢性を保持し、あらゆる過酷な戦場においても『確実に狙う』ことを念頭に開発された製品」などの説明が掲載されており、エルビット・システムズ以外にも複数のイスラエル企業と技術提携をしていることがうかがえる。
抗議活動に参加したパレスチナ人の一人は、「エルビット・システムズという会社は、何万人もの虐殺に関わってきました」と語った。
また、虐殺に加担しないのは当たり前のことだとして、「日本エヤークラフトサプライの名前と、パレスチナで75年間殺されてきた子どもやなんの罪もない人々の死を結びつけたくないのなら、こうして集まった市民の声を聞き、今すぐエルビット・システムズと手を切るべきです」と訴えた。