「魔女の宅急便」のニシンパイ嫌がる女の子。大人になったら見方が変わる? 宮崎駿さんの考えが深かった

スタジオジブリの「魔女の宅急便」が、3月22日に金ローで放送。話題のニシンパイを届けるシーン、宮崎駿さんが込めた狙いは?
「魔女の宅急便」より、キキがニシンのパイを届けるシーン
「魔女の宅急便」より、キキがニシンのパイを届けるシーン
スタジオジブリ

スタジオジブリの人気アニメ「魔女の宅急便」が、3月22日よる9時30分から、日本テレビ系の「金曜ロードショー」で放送されます。

これまで何度もテレビで放送されてきましたが、度々話題になるのが、宅急便の仕事を始めた主人公のキキが、女の子にニシンのパイを届けるシーンです。

宮崎駿監督は何を考えてこのシーンを作ったのか、本人の言葉を紹介します。

どんなシーン?「あたしこのパイきらいなのよね」の一言

キキに仕事の依頼をした老婦人は、孫娘のパーティーのためにニシンのパイを作ろうとしますが、オーブンの調子が悪くて上手くいきません。

そこでキキは慣れた手つきで薪を使って焼くのを手伝い、焼きたてのニシンのパイを孫娘の元に届けます。

大雨にさらされ、濡れないように気遣いながら運ぶキキ。しかし玄関先で、孫娘は「おばあちゃんからまたニシンのパイが届いたの」と家の中に声をかけ、受取証にサインしながら「あたしこのパイきらいなのよね」とつっけんどんに一言。キキは傷ついたような表情を見せます。

その後キキは自分の「仕事」について悩み、さらには、風邪を引いて寝込み、ほうきで飛べなくなるというスランプにも陥ります。

「魔女の宅急便」より、風邪をひいて寝込むキキ
「魔女の宅急便」より、風邪をひいて寝込むキキ
スタジオジブリ

宮崎駿さんの考えは?「世間にはよくある事」

孫娘の「あたしこのパイきらいなのよね」という一言に、衝撃を受けたという人もいるかもしれません。

宮崎さんは、このシーンにどんな意図を込めたのでしょうか。

金曜ロードショーの公式SNSは、2022年4月の同作放送時に、作品に関わる豆知識を発信しました。このニシンのパイのシーンについても、「ショックをうけた方も多いのではないでしょうか」と言及し、孫娘の喋り方を「気に入っている」という宮崎さんの言葉を紹介しました。

「僕はあのパーティーの女の子が出てきた時のしゃべり方が気に入ってますけどね。あれは嘘をついていない、正直な言い方ですよ。本当にいやなんですよ、要らないっていうのに、またおばあちゃんが料理を送ってきて、みたいな。ああいう事は世間にはよくある事でしょ。

それはあの場合、キキにとってはショッキングで、すごくダメージになることかもしれないけど、そうやって呑み下していかなければいけないことも、この世の中にはいっぱいあるわけですから 」

「子供の頃は嫌な人と認識してたけど…」

この宮崎さんの言葉には多くの反響があり、2022年当時、ニシンパイのシーンをめぐってSNSに投稿されたコメントの中には、以下のような考えもありました。

「子供の頃は単純に嫌な人と認識してたけど、大人になるとなんとなく事情を察してしまう」

「孫が感じてるありがた迷惑に近い気持ちもすごく分かる」

「文句言いながらも受け取ってるし、キキのことも特に悪く言ってないし、いい子」

「孫娘も大人になったら考え方が変わるかもしれない。ニシンのパイを懐かしく思い出す日がくるかも」

(この記事は2022年4月30日に配信した記事を再編集しています)

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