BTSのSUGA、自閉スペクトラム症治療に5億円寄付。治療センター設立、「子どもの成長支援と、障害への偏見を解消」

発達障害のひとつである自閉スペクトラム症(ASD)。6月21日に兵役義務を終えたばかりのSUGAさんは、過去にうつ病に苦しんだことを明かしており、これまでにもメンタルヘルスについて発信してきた。
BTSのSUGAさん(2023年撮影)
BTSのSUGAさん(2023年撮影)
Han Myung-Gu via Getty Images

韓国の音楽グループ「BTS」のメンバーのSUGAさんが、ソウルのセブランス病院に50億ウォン(約5億3000万円)を寄付し、自閉スペクトラム症患者の治療や社会的自立をサポートする「ミン・ユンギ(SUGAさんの本名)治療センター」が設立されることが発表された。

SUGAさんは6月21日に兵役義務を終えたばかり。過去にうつ病に苦しんだことを明かしており、これまでにもメンタルヘルスについて発信してきた。

自閉スペクトラム症(ASD)とは?

日本自閉症協会によると、自閉スペクトラム症とは、主に社会的なコミュニケーションの困難さや空間・人・特定の行動に対する強いこだわりがあるなど、多種多様な障害特性のみられる発達障害のひとつ。日常生活や社会生活において困難さを感じる場合があり、「ASD」とも呼ばれる。

音楽を通じて、感情や思考を表現するプログラムを開発

6月23日のセブランス病院の発表によると、「ミン・ユンギ治療センター」では、言語、心理、行動治療などを通じて子どもや青少年の精神健康を支援し、臨床と研究を連携した多様なプログラムを運営するという。同日に着工式を開いた。

SUGAさんは、兵役の義務を果たすため、2023年9月から社会服務要員(兵役代替服務制度の一つ)として勤務していた。

2024年11月、同病院のチョン・グナ教授と知り合い、自閉スペクトラム症の治療について学ぶ中で、10年以上の中長期的治療を行うためのセンター設立の必要性に共感し、寄付を決めた。50億ウォンの寄付は、芸能人の寄付金としては、セブランス病院が属する延世大学医療院全体で過去最高額だという。

SUGAさんはその後も、音楽を活用した自閉スペクトラム症患者の社会性訓練について議論し、社会性訓練プログラムと音楽的コンテンツを融合させた新たなプログラム「MIND」の開発にも参加した。このプログラムは、参加者が楽器を演奏したり歌を歌ったり、音楽に合わせて文章を作ったりすることで、感情や思考を表現することができるものだ。

SUGAさんは今年の3~6月には自閉スペクトラム症の子どもと会い、ギターなどを演奏して子どもたちの感情表現を手助けし、楽器の演奏も教えた。

同病院はこのプログラムを経て、「子どもたちの感情と言語表現は確実に増え、他の子どもと協力したり待ったりする過程で社会性も訓練された」と説明した。

SUGAさん「コミュニケーションのための大切な通路」

SUGAさんは今回の寄付やプロジェクトについて、「7カ月間、チョン・グナ教授と一緒にプログラムの準備やボランティアを行うなかで、音楽が心を表現し、世界とコミュニケーションをとるための大切な通路になるのだと、深く感じました」とコメント。

「自閉スペクトラム症の子どもたちの治療過程に寄り添えたこと自体に感謝していて、幸せだった。より多くの子どもたちが社会の一員として共に生きられるよう、これからも力になりたいです」と話した。

チョン・グナ教授も、SUGAさんとの取り組みについて「財政的なスポンサーを超えて、この数カ月間SUGAさんが見せてくれた真心のある才能の寄付と奉仕活動に心から感謝申し上げます」と話した。

その上で、ミン・ユンギ治療センターとMINDプログラムの「究極的な目標」として、「自閉症スペクトラム障の子どもたちが音楽というメディアを通じて、独立的な存在である健康的な社会人に成長させることと、自閉症スペクトラム障患者への偏見を解消し、障害に対する認識を改善すること」の2つを挙げた。

注目記事