
気象庁は7月18日、関東甲信、北陸、東北南部で梅雨明けしたとみられると発表した。
夏本番を迎え、海や川、プールなどで遊ぶ機会も増えてくる。そんな時に気をつけたい事故について、国民生活センターが2021年に注意を呼びかけている。
それは、メッシュ生地の水着のインナーに「男児の陰茎部の皮膚が挟まる」というものだ。子どもが病院に搬送された事例もある。
一体どういう事故なのか。どう対策すればいいのか。
3歳の男児、陰茎から出血
国民生活センターには例年、「水着のインナーのメッシュ生地に、陰茎部の皮膚が挟まり取れなくなった」といった事故情報が寄せられているという。
このような事故について、同センターは2006年から情報提供を開始。14年に消費者庁、16年に日本小児科学会からもそれぞれ注意喚起が行われている。
また、10年には業界の自主基準に「水着のインナー素材にはメッシュ形状素材を用いないこと」が盛り込まれた。
一方、依然として事故は発生している。医療機関ネットワークには、「陰茎部の皮膚が水着のインナーのメッシュ生地に挟まれた」という事故情報が、2010年12月〜2021年5月に5件寄せられた。
具体的な事例は次の通りだ。
(5歳男児、2018年6月)
水着を着用してアスレチックで遊んだあと、水着が脱げず、よく見ると陰茎部 の皮膚が水着に挟まっていた。帰宅後、挟まった部分が水疱のようになり、挟まっているメッシュ部分を残して切り取り受診。陰茎外傷となった。
(3歳男児、2017年8月)
男児の海水パンツを母親が下ろすと、 男児が「痛い、痛い」と言った。見ると、インナーのメッシュ生地に陰茎部の皮膚が挟まれ、陰茎から出血していた。陰茎挫創となった。

なぜ陰茎部が挟まる?
では、なぜこのような事故が起きているのか。当時、専門家が国民生活センターに情報提供している。
まず、 水着のメッシュに陰茎部の皮膚が挟まる事故は、1998年頃から症例報告があり、中には鎮静させてから処置したり、成人に起きたりした事例もある。
男児の皮膚がメッシュ生地に密着すると、メッシュの穴より外部にはみ出し、メッシュから圧迫を受け始める。
局所的に小さな静脈が圧迫を受けると、採血の際に腕にバンドを巻いて血流を止めることと同じような状況になり、外部にはみ出した皮膚は徐々に腫脹(炎症が原因で隆起する)する。
そして、メッシュが皮膚を強く圧迫して激しい痛みが起こる。この状態になると、自らメッシュを解除することは難しくなる。
過去には、50円玉の穴より小さい2.5×1.8ミリ大のメッシュの穴に陰茎部が挟まる事故も発生。万が一挟まってしまった場合は、無理にはずそうとしたり、患部付近のメッシュを刃物などで切り離したりしてはならないという。
患部のまわりのメッシュを安全な範囲で切り取り、挟まっているところを残したまま、小児科や救急科、泌尿器科などの医療機関を受診する必要がある。
国民生活センターは「保護者はメッシュを使用した水着を子どもに着用させないようにしましょう」と注意喚起している。