「ヘイトクライムはヘイトスピーチから始まる」参院選で目立つ排外主義。国連広報センターが動画で訴えたこと

排外主義的な政策・主張が支持を伸ばす参院選。国連広報センターが発信したのは「言葉は平和のため、愛のため、私たちの世界の社会一体性や調和を向上させるためのツールとして使わなければなりません」というメッセージだった。
アダマ・ディエンさん
アダマ・ディエンさん
Anadolu via Getty Images

国連広報センターは7月8日、元国連ジェノサイド防止担当特別顧問のアダマ・ディエンさん(現スーダン人権専門家)がヘイトスピーチの危険性について語った動画を投稿した

参院選(3日公示、20日投開票)を前に、外国人を排斥しようとする言説が目立っていることを受け、公開したとみられる。

アダマさんは動画で「ヘイトクライムはヘイトスピーチから始まることを誰もが覚えておかなければなりません」と訴えている。

◆「言葉をジェノサイドや人権に反する罪を犯すツールとしてはなりません」

参院選では、排外主義的な政策・主張が支持を伸ばしているとみられる。東京新聞によると、参政党の神谷宗幣代表は3日、「観光は構わない。でも安い労働力だといって野放図に入れていたら、日本人の賃金が上がらない。いい仕事に就けない外国人が集団で万引とかをやって、大きな犯罪が生まれる」と、反グローバリズムに関する持論を展開している。

国連広報センターが投稿した動画で、アダマ・ディエンさんは「ルワンダでのツチ族のジェノサイドはヘイトスピーチから始まったことを誰もが覚えておかなければなりません。ホロコーストはガス室から始まったのではなく、はるか以前にヘイトスピーチ から始まったのです。ミャンマーで起きているロヒンギャの人々に対する残虐な行為も、ヘイトスピーチから始まりました」と指摘した。

また、「ヨーロッパであれアジアであれ世界の至るところで過激派が台頭し、ネオナチやネオファシストのグループが増え、移民や難民が非難されている状況」を目の当たりにしているとした上で、「私たちはヘイトスピーチへの対処に全力を尽くさなければなりません」と述べた。

ヘイトスピーチについては、「宗教、民族、人種、肌の色、出自、ジェンダーなどのアイデンティティーへの攻撃」だと指摘。「言葉は人を殺すことを、私たちは心に留めておかなければなりません。言葉は銃弾のように人を殺すのです。だからこそ次世代がともに平和に暮らすことの大切さを理解するように、あらゆる努力を払って教育と若者に投資することが必要なのです」とし、こう呼びかけた。

「言葉は平和のため、愛のため、私たちの世界の社会一体性や調和を向上させるためのツールとして使わなければなりません。言葉をジェノサイドや人権に反する罪を犯すツールとしてはなりません」

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