史上初!野生のシャチの出産を撮影。ノルウェー北部の海で「群れが輪をつくり、赤ちゃんを背に乗せて呼吸を助ける」

生後15分ほど経つと自力で泳げるようになったそうです

ノルウェー北部スケルヴォイ沖で、野生のシャチが出産する様子が初めて観察・撮影されました。撮影したのは、ノルウェーのシャチの調査・研究・保全をしているNPO団体「Norwegian Orca Survey(ノルウェー・シャチ調査団)」とノルウェーのホウェールウォッチングなどの視聴を提供している「Orca Channel(シャチ・チャンネル)」で、11月2日の出来事でした。

同チャンネルはクリスティナ・バロタイさんが撮影した写真を公開。観察中に突然ボートの周囲が血に染まり、「何が起こっているのか分からなかったが、次の瞬間、小さな頭が水面から現れた。母シャチがすぐそばで出産したのです」と投稿しています。

出産直後、群れのシャチたちは赤ちゃんの周囲に保護の輪をつくり、呼吸を助けるように背中に乗せて水面へ押し上げていたといいます。

その場には複数のホエールウォッチング船がいましたが、調査団の要請で全船が退避し、ドローンでの観測が行われました。IFL Scienceによると、最初は「死んだ子どもを囲んでいるのでは」との懸念もありましたが、映像で赤ちゃんが生きていることが確認されました。生後15分ほどは浮上にもがいていたものの、その後は自力で泳げるようになったといいます。

調査団によると、母親は2013年に初めて確認された雌シャチ「NKW-591」で、出産経験の多い個体です。研究チームはこの群れを日没まで観察し、他の船舶の接近を防ぎながら安全を確保しました。

今回の撮影は、野生のシャチの出産と生後すぐの行動を記録した世界初の事例とされています。
調査団は「北極で新しい命の誕生を目撃した、まさに忘れられない一日でした」とコメント。今後はデータを整理し科学論文として発表する予定です。

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