セクストーションの被害に遭い、命を絶った17歳の高校生。母親が危険を訴える

ネットで出会った相手に裸の映像や画像などを送り合おうと持ちかけ、送信後に金銭の支払いなどを求めるデジタル性犯罪。FBIは、若い人々を狙ったセクストーションが、インターネットで増えていると警告しています。

「他の家族が私たちと同じ経験をしないために、ライアンの身に起きたことを知って欲しいのです」

アメリカ・カリフォルニア州に住むポーリーン・スチュアートさんは5月、息子が経験したセクストーションの恐ろしさについて語った。

セクストーションは、sex(セックス)とextortion(脅迫)をあわせた言葉で、ネット上でのやり取りで入手した裸の映像や画像などを元に、相手に金銭などを要求する行為だ。

17歳の高校生だったスチュアートさんの息子ライアン・ラストさんは、セクストーションの被害に遭い、その数時間後に自らの命を絶った。

犯罪者に狙われた高校3年生

スチュアートさんは、サンノゼ警察署が5月に公開した動画に出演し、セクストーションの脅威について訴えた。

スチュアートさんによると、ラストさんはオールAの成績優秀な生徒で、ワシントン州立大学で農業バイオ技術を学ぶ予定だった。

しかし大学入学を控えた2月に、ネット上で知り合った人物からセクストーションを受けた。

相手は自身を若い女性だと主張し、自分のものだというヌードの写真を送ってきた。そしてラストさんにも、裸の写真を送るように求めた。

ラストさんが要求に応じたところ、今度は5000ドル(約64万円)支払わなければ、写真を公開し家族や友人に送りつけると脅迫してきたという。

CNNによると、ラストさんが5000ドルは支払えないと伝えると、相手は支払い可能な150ドル(約1万9000円)に引き下げた。しかし相手はそれで満足せず、ラストさんの支払い後も要求を続けた。

追い詰められたラストさんは、自身の苦境と恥ずかしさを書き残し、自殺した。

スチュアートさんは「彼は、自分の写真がSNSで広がることより、自分の人生を終わらせることを選んだのです。悪い評判が流れ、友人や家族がどう思うかを恐れました」と動画で語った。

さらに、子どもたちがいかに簡単にネット犯罪の被害に遭うかを訴えている。

スチュアートさんと夫は、ラストさんのアカウントに、ペアレンタルコントロールを設定し、親の許可なしにアプリをダウンロードできないようにしていた。

それでも、ラストさんをセクストーションの被害から守ることはできなかった。

スチュアートさんは自らの経験から、ネット犯罪のリスクに普段から注意すると同時に、子どもと話をして、問題が起きたときに親に相談できる環境を作ってほしいと求めている。

<スチュアートさんが出演した動画>

若者を狙ったセクストーションが急増

FBIによると、10代の若者を狙ったセクストーションの被害報告が急増している。また同局のサンフランシスコ支局は5月に、セクストーションについて次のように警告している。

「セクストーションは、ゲームやSNSなど、さまざまなオンラインプラットフォームを介して、大人が未成年と会ったりコミュニケーションをしようしたりすることから始まります。

近年さらに広がっているこの手段で、相手(若い女の子を装っている)は若い男性、一般的に14~17歳の若い男性を騙し、巧みに操って、カメラの前で性的な行為をするよう求め、こっそりと録画します。

その後、録画した動画をネットに投稿すると脅して、被害者からお金をゆすりとります。

容疑者の多くは海外におり、要求に応じるとさらに請求額を引き上げます」

FBIは、被害を断ち切るためには「親や教師、保護者、警察などに相談することが不可欠である」と訴えている。

「心に傷が残るような経験をした子どもは、恥ずかしいと感じるかもしれません。しかし同じ人物の被害者が、世界中に何百人もいる可能性があります。相談が容疑者逮捕につながることで、他の事件や性的搾取の発生を防げるかもしれません」

さらに、FBIや警察などに相談しにくければ、信頼できる大人に話してほしいとも求めている。

「ネットで被害に遭って、助けてほしいと伝えてください。口にするのもつらい状況かもしれませんが、助けられる人がいます。被害に遭っているのは、あなただけではありません」

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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