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2021年04月08日 14時18分 JST

女性を脅して性搾取画像をチャットで共有「n番部屋」創始者に懲役34年の判決 韓国

韓国社会を揺るがした「n番部屋」事件、チャットの創始者とされるムン・ヒョンウク被告の判決。事件の舞台となったのは、メッセージアプリ「テレグラム」内のチャットルームだった。

慶北地方警察署
「n番部屋」創始者であるムン被告

女性をだまして性的な画像や個人情報を入手、脅迫してさらなる性的搾取を行い、秘密のチャットルームで共有する。それを見ていたのは26万人(重複含む)ーー。

韓国社会を揺るがした「n番部屋」事件、チャットの創始者とされるムン・ヒョンウク被告(24)、通称「ガッガッ」に、4月8日、韓国・大邱地裁は懲役34年(求刑・無期懲役)の判決を言い渡した。

検察側は、未成年者に対する性搾取物を制作・流布したとする児童青少年保護法違反など12の罪で起訴していた

検察側の起訴内容によると、ムン被告が「n番部屋」と呼ばれるチャットルームを創設したのは2019年2月。2020年1月までにムン被告が「n番部屋」にアップロードした性的搾取映像の数は3762本で、確認された被害者数は39人だとした。

また、ハンギョレによると、ムン被告は2017年1月から2019年7月にも、275回にわたって、児童・青少年ら21人に対して性的な映像を撮影するように要求し、送らせていた疑いがある。さらに、2018年11月から2019年3月まで、複数の共犯者と性搾取映像を制作していたことも捜査により明らかになっていた。

検察は、求刑の理由について「被告人は、緻密で計画的、そして個人の欲望の充足のために罪を犯した。多数の被害者が発生し、映像を流通させることで被害を受けさせ続けた」と述べていた。

 

n番部屋事件とは?

事件の舞台となったのは、メッセージアプリ「テレグラム」内のチャットルームだった。

2019年7月、大学生記者たちの取材でまず最初に報じられ、その後、「ガッガッ」の手口を模倣して、同様のチャットを始めた「博士」ことチョ・ジュビン被告の逮捕をきっかけに、一般に広く知れ渡るようになった。

ニュース1によると、捜査の過程で、被害者の女性が多数にのぼり未成年の女性も被害にあっていたこと、単純計算で女性たちを脅して撮影された性搾取動画や画像を見たのは26万人(重複含む)の会員であることなどがが次々と判明。

重複を考慮しても10万人以上とみられる人々が動画を密かに見ていたと推測され、韓国社会を震撼させた。その後の捜査で公務員や教員なども視聴者に含まれていたことがわかっている。

ハンギョレによると、「n番部屋」「博士部屋」などに関連した一連のデジタル性犯罪を捜査している警察は、2020年12月30日までにデジタル性犯罪を2807件摘発し、3575人を検挙、この中で245人拘束したという。

 

手口は?

「ガッガッ」は、まずSNSで自身の身体の一部の写真をのせた未成年を含む女性に接触し個人情報を入手。ハンギョレによると、自身を警察と詐称し、被害者にハッキングコードを送りつける手法も使っていた。加えて、被害者に「ハッキングされているから助けてあげる」と女性のふりしてメッセージを送るなどで接近し、被害者の個人情報や裸体の写真を入手。

これらを脅迫の手段として用い、女性に性搾取物を撮影させ、また自身が指定した人と性行為を強要するなどしていた。

「ガッガッ」は、SNSを通して共犯者を集め、自身の正体を一切明かさずに共犯者に陰で指示し、映像の撮影・配信などの性搾取を行っていた。犯行の痕跡が残らないよう、金銭取引は行われなかったという。

ハンギョレによると、「ガッガッ」は、2019年2月から、テレグラム上に1番から8番の8個の秘密のチャットルームを作り、脅迫で入手した映像や共犯者から得た数百の映像を流出させていた。そのことから、事件は総称として「n番部屋」事件と呼ばれている。

「ガッガッ」はその後、チャットルームを通称「ケリー」ら他の人々に引き継いで姿を消したが、2020年5月に警察が身柄を拘束した。

また、自身のチャットルームを作り、n番部屋にも画像を流出されていた「ワッチメン」こと、会社員男性のチョン被告(38、氏のみ公表)に対しては、2020年11月、韓国・水原地裁で懲役7年などの有罪判決が言い渡されている。「ワッチメン」は、自身のチャット部屋で、「n番部屋」へつながるリンクを掲載する「仲介役」もしていた

チョン被告の裁判が始まったのは「n番部屋」事件の全容が判明する前で、検察は当初3年6カ月を求刑していた。しかし、「刑が軽すぎる」との世論の高まりを受けて、検察が弁論再開を申請。ニュース1によると、10月19日、検察は「ワッチメン」に対し、懲役10年6カ月を求刑した。

 

「博士」は懲役40年の地裁判決、追加5年

Kim Hong-Ji / Reuters
「博士」と名乗っていたチョ・ジュビン

 一方、模倣者の中で、その手口が際立って残忍なことで知られ、児童・青少年の性保護に関する法律違反(わいせつ物制作・配布など)などに問われた「博士」ことチョ・ジュビン被告(24)に対する裁判も開かれ、ソウル中央地裁は2020年11月、懲役40年などの判決を言い渡した

その後、犯罪収益隠蔽などの罪で追加起訴され懲役5年追加の宣告を受けた。現在ソウル高裁で控訴審が進行中だ。

ハンギョレによると、チョ被告は被害者の女性に自ら性的な映像を撮影させるだけでなく、2019年10月には「博士部屋」の会員を被害者女性(15)の元に差し向けて性的暴行をさせ、その映像を流出させるなどの残虐な犯罪も行っていた。