武装組織「ウルヴァリン・ウォッチメン」に、同名コミックの作者の妻が当惑。「夫は墓の中でクラクラしている」

7人のメンバーが、ミシガン州知事誘拐と州議会議事堂の襲撃を企てた容疑で逮捕されました。
左がウルヴァリン、右がウォッチメンのコミック。(The Return Of Wolverine と、Watchmen: International Editionの表紙より)
左がウルヴァリン、右がウォッチメンのコミック。(The Return Of Wolverine と、Watchmen: International Editionの表紙より)
Panini Books / DC Comics

アメリカのミシガン州知事の誘拐未遂事件をめぐって、犯行グループの名前が話題になっている。

民主党のグレッチェン・ホイットマー知事誘拐と、州議会議事堂の襲撃を企てた容疑で逮捕された13人のうち7人は極右の武装組織のメンバー。自らのグループを「ウルヴァリン・ウォッチメン」と名乗っていた

このネーミング、アメコミに詳しい人ならピンと来たはずだ。「ウルヴァリン」とは、マーベル・コミックの「X-MEN」シリーズなどに登場する人気ヒーローで、単独のコミックも出ている。「ウォッチメン」はDCコミックスの人気漫画だ。どちらも実写映画化されており、多くのアメリカ人に知られているキャラクターと作品名だった。

■「ウルヴァリン」と「ウォッチメン」を生み出したレン・ウェインさんの妻が当惑

武装グループの名前に怒ったのは「ウルヴァリン」と「ウォッチメン」の制作者の妻だった。

2017年に亡くなったレン・ウェインさんは、「X-MEN」のストーリー制作者の一人で、「ウルヴァリン」のキャラクターを考案したほか、「ウォッチメン」にも編集者として関わっていた。

今回の事件を受けて、ウェインさんの妻のクリスティーン・ヴァラダさんが以下のようにツイートした。

「私の夫、 レン・ウェインはウルヴァリンのライター兼クリエーターであり、ウォッチメンの編集者でした。夫は墓の中でクラクラしていると思います。なぜなら、ウルヴァリンは人間であり続けるために、野蛮な本能を克服するキャラクターだからです。また、このクソ野郎どもは、ウルヴァリンの作者がニューヨーク出身のユダヤ人だということを気付いて腹を立てているでしょうね」

■ミシガン州の別名とは無関係と、ヴァラダさんは主張

なお、武装グループが「ウルヴァリン」と付けたのには別の理由があるという説も出ている。「ウルヴァリン」はもともと、英語でクズリというイタチ科の動物を指す。クズリは州内にはほとんど生息しないが、ミシガン大学のマスコットになっているほか、ミシガン州自体も俗称でWolverine State(クズリ州)と呼ばれているという。

これについてもヴァラダさんは否定的だった。連続ツイートの中で以下のように述べた。

「マーベルとDCコミックの弁護士は(訴訟に向けて)爪を研ぐべきです。そして、ウルヴァリンがミシガン州の動物であるクズリから名付けたなんてたわごとを言わないでください。それは武装グループが名前を選んだ理由ではありません。ウルヴァリンという名を聞いたときに人々がイメージするのは、そのウルヴァリンではありません」

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