他のグローバルなファストファッションブランドとはポジショニングが異なり、まだまだ海外で伸ばせる余地が大きいだけに、ユニクロの快進撃はしばらくは続きそうな気配だと感じます。

ユニクロやジーユーを展開するファーストリテイリングの2013年8月期決算で売上高が1兆円を超えたようです。日本の衣料品企業としては始めての大台に乗ったことになります。

世界のアパレル業界ランキングで、現在はユニクロは第5位ですが第4位にランクをあげそうです。ちなみに第1位はZARAなどを展開するINDITEXで2012年の売上はおよそ1兆8千億円、第2位はH&Mで1兆6千億円、第3位のGAPは1兆4千億弱でまだ差がありますが、売上高9700億円の第4位のリミテッド・ブランズは、今年になって絶不調に陥っているようなので、ユニクロが追い越すことは間違いないと思います。

さて、国内ではかつての成長力を失いかけていたユニクロが再び復活する兆しが見えてきたのは今年の2月でした。

その後、機能性衣料で強みを持つユニクロにとっては追い風の猛暑も手伝ったとは思いますが、2013年3月から8月にかけての下期の既存店売上高が対前年で12.6%増、直営店で16.2%増、直営店とダイレクト販売で15.9%増といずれもが二桁増の結果です。ジーユーや海外展開で勢いづいただけでなく、ユニクロの国内も絶好調です。

月次情報から見るとこの好調を支えたのは客数の増加です。2013年3月から8月の既存店では、客単価は-5.5%と落ちていますが、客数は19.2%も増加しています。いよいよH&Mなどとは異なるユニクロの「ファッション性の高い実用衣料」というユニークな路線が鮮明になり、それが成功しているということでしょうか。

ユニクロの第三四半期決算でもコメントされていますが客単価が落ちたのは、「一品単価の低いレギンスパンツ、エアリズムなどの商品の販売が好調だったため」としていますが、それがユニクロらしさではないかと感じます。

ちなみに世界第7位の「しまむら」と既存店の売上高と客数の対前年比でグラフを作成してみました。やはりユニクロの好調が見て取れると思います。しかし「しまむら」が世界第7位とは、きっと意外だと感じる人も多いのではないでしょうか。

第3四半期までの累計をみると、売上総利益が落ちたと言っても、まだ売上比で47.3%の売上総利益、16.3%の営業利益と高収益を維持できているのもユニクロのビジネスの特徴かもしれません。

この秋冬商戦の行方が気になるところですが、秋冬向けの軽量上着「ウルトラライトダウン」は軽量化の追求などで携帯性を高め、また機能性肌着「ヒートテック」は「暖かさが5割増し」という新バージョンが登場してきます。

他のグローバルなファストファッションブランドとはポジショニングが異なり、まだまだ海外で伸ばせる余地が大きいだけに、ユニクロの快進撃はしばらくは続きそうな気配だと感じます。

(※この記事は9月26日の「大西 宏のマーケティング・エッセンス」より転載しました)

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