東芝問題の波紋はどう広がっていくのでしょうか。海外の個人投資家から不正発覚による株価下落で損失を被ったとして提訴されただけでなく、米国の法律事務所が集団提訴を呼びかけており、訴訟が広がりかねない状況のようです。東芝の経営はまるでテレビドラマにでてきそうなガラパゴスそのものであっても、資本はグローバル化しているので影響は国内だけに留まりそうにありません。
日本が経営の透明化、また信頼性を今後どう担保していけるのかも、おそらく国内外から注視されており、証券取引所の処分内容だけでなく、検察がどう動くのかも注視されているのではないでしょうか。
会計の不正操作は株価にも影響しただけでなく、不正操作のあった時期に行われた公募増資などが約一兆円あり、それは詐欺に当たる可能性が高いと思われます。
それに監査法人はなにをしていたのでしょうか。オリンパスの場合もそうでしたが、監査法人の役割にまた疑問符がつきました。
こういった事案で日本で実刑がでたといえばライブドアが思い浮かびますが、ほとんどのケースは刑事罰に問われていません。そういった甘さが、今回の東芝のような安易な会計操作がまかりとおることにもつながったのかもしれません。
さて、不正会計といえば、海外では2001年に経営破綻した米通信大手のワールドコムや米国大手のエネルギー会社エンロン事件を思い起こします。調べてみると、ワールドコムの元CEOバーナード・エバーズは25年の禁錮刑、エンロンの元CEOジェフリー・スキリングは24年の禁錮刑の判決を受けています。ちなみにエンロンの元CEOは刑を軽減され最近出所しているようです。
日本でも株主による訴訟が起こりそうな気配を感じますが、東芝の経営陣を検察が無傷で済ますのかどうかです。もし検察が立件し起訴に持ち込めなかったら、日本の企業の経営はガラパゴスであり、違法も放置する二流国だというレッテルが貼られてしまうのではないかと心配します。
それにしても、人の悪口をぶつぶつと並べ、自分は悪くないといわんばかりに記者を睨みつけ、「たった2500億円」と言い放った森喜朗さんといい、東芝の経営者の人たちといい、人相悪すぎです。
いやあるいは、「階層社会では、つまり会社などでは、すべての者がそれなりの昇進をかさね、おのおのが無能なレベルに達する」というピーターの法則の罠にはまってしまった人たちということなのでしょうか。
(2015年7月23日「大西宏のマーケティング・エッセンス」より転載)