なぜ、京津線の線路内歩行が後を絶たないのか

京阪電気鉄道京津線京阪山科―四宮間で、線路内歩行をする人が後を絶たないという。山科駅、京阪山科駅方面へ向かうのに、踏切を2回渡らなければならず、ショートカットして時間を短縮したいようだ。

■安易に線路内を歩いてはいけない

日テレNEWS24京都新聞によると、京阪電気鉄道京津線京阪山科―四宮間で、線路内歩行をする人が後を絶たないという。

前者の動画とYahoo!の地図を照らし合わせる限り、京津線四宮駅寄りにお住まいの住民が山科駅(JR西日本、京都市交通局の地下鉄東西線)、京阪山科駅(京津線)方面へ向かうのに、踏切を2回渡らなければならず、ショートカットして時間を短縮したいようだ。

京津線は日中15分間隔で、高頻度運行ではない。人々はそれを知っているから、危険であることを承知で、このような行為をするのだろうか。京都新聞の写真を見る限り、線路際に歩道を設けるほどの余裕がない。

踏切と踏切のあいだが「約15メートル」と「約40メートル」だからといって安易に線路内を歩いてはいけない。「踏切の警報音が鳴れば、走って早く抜ければいい」という問題でもない。列車がストップするなど、ダイヤに支障が出てしまう。京津線は東西線に直通しているので、東西線にも遅れが出てしまう。"遠回り"の公道を歩くのが当たり前とはいえ、沿線居住者の悪い習慣が抜けきれないようだ。

私が恐れているのは、小学生以下の子供たちが「ここは通っていいんだ」という誤った認識を持ってしまうこと。特に幼児は要注意だ。

■京津線の一部区間廃止が一因?

私は"住民がなぜ京津線四宮駅まで歩かないのか"に注目した。

地図と時刻表を確認すると、"京津線の使いづらさ"に気づいた。京阪山科―四宮間の距離は600メートルと短いので、大阪方面へはJR西日本山科駅、京都市中心部へは東西線山科駅まで歩くと、交通費の節約につながる。

京津線は1997年10月12日の東西線開業に伴い、京津三条―御陵(みささぎ)間を廃止したため、三条・京橋方面の交通費が高くなった。乗り継ぎ割引を適用したとはいえ、消費者の負担も大きい。このため、住民は「速いJR西日本」、「節約のため地下鉄だけ利用する」という流れになったのではないかと考えられる。

■ひたちなか海浜鉄道でも線路内歩行者がいた

話が変わり、過日、ひたちなか海浜鉄道阿字ヶ浦駅付近の踏切から、男が線路内歩行をしていた。その先の踏切まで歩き、家路についたものと考えられる。折り返しの勝田行き発車まで時間があることを知っているから、平気でできるのかもしれない。

実際、公道でその先の踏切まで歩くと、遠回りとなるので時間がかかる。さらに先の踏切までも遠回りで、"線路沿いの畑を歩く人がいるのでは?"と考えたくなる。

線路内歩行、踏切以外の横断は鉄道営業法に違反する(イベントや報道公開の際、安全が確保できる範囲で線路内歩行が認められているのは、旅客営業線ではないからだ)。「乗務員は人の命と財産を守る責務がある」ことを心の片隅に留めていただきたい。

Yahoo!ニュース個人より転載)

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