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2018年05月16日 10時40分 JST | 更新 2018年05月16日 10時40分 JST

カンボジア:ラジオ・フリー・アジアの元ジャーナリストらを釈放せよ

政治的な動機でスパイ行為の容疑をかけられ6カ月間拘禁されたまま

Uon Chhin and Yeang Sothearin, former journalists of the Radio Free Asia (RFA), sit inside a police vehicle as they arrive for a bail hearing at the Appeal Court in Phnom Penh, Cambodia on April 19, 2018. 

© 2018 Reuters / Samrang Pring
© 2018 Reuters / Samrang Pring
Uon Chhin and Yeang Sothearin, former journalists of the Radio Free Asia (RFA), sit inside a police vehicle as they arrive for a bail hearing at the Appeal Court in Phnom Penh, Cambodia on April 19, 2018.  © 2018 Reuters / Samrang Pring

(ニューヨーク)—カンボジア当局はラジオ・フリー・アジア(RFA)の元記者Uon Chhin氏とYeong Sothearin氏に対する、でっちあげのスパイ容疑の訴追を取り下げ、無条件で即時釈放すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。6カ月前の2017年11月14日の逮捕は、フン・セン首相が現在遂行中のメディア・市民社会団体・野党に対する弾圧行為の一環だ。これまでに多くのRFA関係者を含むジャーナリストや活動家、野党党員が国外脱出せざるを得なくなっている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長ブラッド・アダムズは、「7月の国政選挙に先立ち、フン・セン首相が刑務所をジャーナリストや活動家、政治家でいっぱいにしている」と指摘する。「批判的な報道をしたRFAに対する報復として、政府が元記者のUon Chhin氏とYeong Sothearin氏に対し、馬鹿げたスパイ容疑をでっちあげ訴追した。両氏は即時釈放されなければならない。」

2017年初め以来、政府は批判的な報道を抑制しようとして、RFAやボイス・オブ・アメリカ(VOA)などの外国系報道機関に圧力をかけてきた。2017年9月12日、RFAは従業員の逮捕を避けるために、カンボジアで20年近く続けていた事業の閉鎖を決定。プノンペン支局のカメラマンUon Chhin氏(49歳)やニュース編集者兼事務所責任者Yeang Sothearin氏(35歳)を含む全員の雇用契約を打ち切った。内務省は9月22日に、RFAのために報道を続ける元記者は逮捕されるだろうとの声明を発表。11月14日に異なる部隊から成る一団が両氏を逮捕した。容疑はワシントンDCにあるRFA本部に報道を届けるために放送スタジオを開設したというもの。Chhin氏はホテルの一室で、小さなカラオケビデオ制作事業に携わっていたとしている。

11月18日、捜査判事がカンボジア刑法第445条「国防を損ねうる情報等の外国への譲渡し」の容疑で、両氏の公判前勾留を命じた。有罪判決の場合は最高で15年の刑期となるが、公判期日はまだ指定されていない。

検察は2018年3月に、Sothearin氏とChhin氏をさらに根拠のない容疑で訴追。証拠がないにもかかわらず、ポルノを制作していたとして、「人身取引および性的搾取の抑制」に関して刑法に触れたと主張している。

カンボジアの控訴裁判所は、2018年4月19日、国外逃亡の恐れおよび判事による捜査の妨げになる可能性という理由で、再び両氏の保釈拒否を却下。両氏は逮捕後に旅券と身分証明書を裁判所に提出しており、係争中は国を離れることはないと家族が保証しているにもかかわらず、こうした結果となった。

7月に行われる国政選挙での敗北を恐れているようにみえるフン・セン政権は、野党や政府批判者が国外の支援を受けて「色の革命」を起こし、体制転覆をはかろうとしていると根拠も示さないまま主張し、組織的な取締りを強行している。政府の行動は、国際人権法に基づく適正手続の権利、表現・結社の自由に抵触するものだ。

2017年9月4日、当局が独立系の英字新聞カンボジア・デイリーに対し税金滞納を主張。所有者を税金関連の容疑で訴追し、同紙は廃刊に追い込まれた。2017年6月に行われた地方選挙前後の報道をめぐり、2人の元記者が依然として扇動罪を問われている。政府は8月にRFAおよびVOAの番組を放送していたラジオ局の放送免許を取り消し、ボイス・オブ・デモクラシーという独立系の地元ラジオ局も閉鎖している。カンボジア和平パリ協定が調印された後の1992年に創刊された英字新聞プノンペン・ポストは、ここ最近の政府の動きが原因で、5月にフン・セン首相とビジネス関係にあるマレーシアのPR会社へ身売りを余儀なくされた。

アダムズ局長は、「カンボジアにおける民主主義への希望がまだあるとすれば、それは活気に満ち、オープンで自由なメディアの存在だ」と述べる。「ところが独立したジャーナリズムは今やカンボジアで犯罪扱いされている。フン・セン首相の逆行姿勢は必ずそれなりの結末を迎えることになると警告し、制裁措置をとる関係国が出てくるまで、はたしてこれから何人のジャーナリストがスパイ行為や扇動、反逆といった偽りの罪に苦しめられるのだろうか。」

(2018年5月12日ヒューマン・ライツ・ウォッチより転載)